原発の配管ひび割れ見逃し、制御棒破損で東電に抗議
2006年 03月 31日
今日で3月も終わり、明日から4月というのに、冬に戻ったような寒さ。今朝も4時過ぎから風が吹き出しました。折角膨らんだ桜のつぼみも凍えそうです。うちのカミサンは、庭の畑のアスパラガスの芽に枯れ葉をかけていました。写真は、庭で育つニンニクの芽たち、です。
さて、3月27日、東京電力に抗議を行いました。
それは、原発の再循環系配管ひび割れ見逃し、制御棒破損の抗議と耐震設計に関する申し入れ、です。
再循環系配管のひび割れ見逃しは、2月に福島第二原発3号機で交換して切り出した再循環系配管から新たな亀裂が発覚し、溶接痕だと思ったが実は亀裂で、3月23日、溶接部の近傍の全周にわたるひびを検査で見逃していたことが判ったもの。そもそも、今回の全周ひび割れは、福島県の要請によって配管を交換した結果、発見されたもので、県の要請を聞かなかったら、発見出来なかったものなのです。
再循環系配管は、原子炉の、いわば心臓直近の大動脈です。そこに問題があっても現行の検査では把握できないということ、です。
2002年の東電不正事件で全号機が停止した背景は、この再循環系配管の検査と評価の問題でした。不正事件の後、配管にひび割れがあっても運転を継続してもよいという、国の「維持基準」ができました。これは、検査で異常を察知することが前提になっていますが、今回の事態でその前提がくずれてしまいました。これでは、「維持基準」そのものが成立しないことになります。
また、福島第一原発6号機が発端となった東芝製ハフニウム板型制御棒破損問題は、3月7日、第一原発3号機でも発見され、東京電力は破損金属片を全量回収したとしていましたが、20日になって調査に誤りがあり未回収片がある、発表しました。
制御棒は、原子炉の心臓部、核燃料の反応をコントロールする、ブレーキの役目を果たす重要機材です。このため保安院は、各電力に一斉点検指示を出したところ、検査した制御棒の2割でひび割れを確認するという驚くべき結果でした。
制御棒破損は、ステンレスSUS316L系材の応力腐食割れとみられ、これこそ配管ひび割れ問題の重要部材であり、この事実を関係者が始めて知ったとは考えにくく、以前から判明していたものの問題の深刻さから公表が先送りされていたのではないか、と推察されます。
さらに、北陸電力志賀原発2号機差し止め訴訟の原告勝訴判決は、既存原発の耐震設計及び現行耐震設計指針の明確な不十分性と危険性を指摘しました。
すでに浜岡原発では、地震時の炉心損傷評価でIAEA推奨基準の6倍の危険性が示され、従来の600ガルから新たに1000ガルの揺れに耐えられるよう全て耐震補強工事を実施することになりました。双葉断層に位置する福島第一原発の耐震設計値は265ガルで到底安全・安心の領域にありません。
これらはすべて原子炉の安全上重大な問題です。
県民の安全・安心の確保のため、東京電力のお粗末な対応に抗議して、真摯な対応を求め、以下申し入れました。
1、福島第二原発3号機の事態で「維持基準」の前提がくずれたことを認めること。
2、再循環系配管は定検毎に全数点検を行い、減肉箇所を必ず交換する減肉管理を行うこと。
3、福島第一原発3及び6号機は、原子炉を停止して制御棒の破片を全量回収すること。
4、全原発を停止し、ハフニウム板型制御棒についての総点検を実施し結果を公開すること。
5、福島原発の地震津波対策を抜本的に再検討し10機全て耐震補強工事を実施すること。