5月28日、福島原発刑事訴訟支援団、福島原発告訴団による「今こそ最高裁へ!東電旧経営陣の責任をただす 第5次最高裁前行動&東京集会」が行われました。
東電福島第一原発事故の責任をめぐり、東京電力元経営陣3名が業務上過失致死傷罪に問われている東電刑事裁判(強制起訴事件)は、一審、二審と全員無罪とした判決が下されましたが、23年1月に指定弁護士が最高裁に上告、23年9月に上告趣意書を提出して、現在最高裁に係属中です。
福島原発刑事訴訟支援団は、最高裁前で毎月行動を行い、この不当判決の破棄と、日本における最大の公害事件であることを鑑み、大法廷に回付して口頭弁論を開くよう求めてきました。さらに、この刑事事件の係属部である最高裁第二小法廷の草野耕一裁判官が、東京電力と密接な利害関係のある西村あさひ法律事務所の代表を務めていたことから、草野裁判官にこの事件の審理から外れるように署名を集め、同裁判官の回避を求めてきました。
午前10時、夜半からの雨もおさまろうとする、最高裁正門前には、弁護団も含めて多くの人が参集しました。福島原発刑事訴訟支援団団長の挨拶、弁護団の海渡雄一、大河陽子両弁護士の力強いスピーチ、全国からかけ参じた避難者のアピールに続き、最高裁正門前から最高裁判事の部屋に向かって、「最高裁は口頭弁論を開け!」「草野判事は自ら身を引け!」「最高裁は原発事故の被害に向き合え!」とシュプレヒコールをあげ訴えました。
その後、草野判事の回避を求める署名の第4次分1,047筆(累計13,620筆)を担当官と面談して提出し、面談した弁護団はじめ被災者ら17人が、口々に最高裁への意見を述べ、司法の独立した判断の重要性、原判決の破棄、口頭弁論の開催、草野判事の回避、公正判決の実現などを訴えました。
午後からは、集会が開かれ、支援団団長の挨拶後、大河陽子弁護士が「東電株主代表訴訟と東電刑事裁判が明らかにしたこと」を報告、海渡雄一弁護士が「福島イノベーション・コースト構想の危険」、佐藤和良支援団団長が「原発サイト内の状況と汚染水の海洋投棄」、武藤類子告訴団団長が「福島の現状 甲状腺がん・住宅問題など」をそれぞれ報告しました。
東電福島第一原発の事故は、今も収束せず、被災地に新たな被害を引き起こし続けています。
ALPS処理汚染水の海洋投棄とその作業に伴う事故、小児甲状腺がんの多発や災害関連死の増加、避難者住宅の提供打ち切りによる裁判や追い出しの強制執行、イノベーションコースト構想のもとに行われる被害者の望みとは乖離する復興策など、福島原発事故の事故責任取られない中で、福島は人間の復興を目指す本来の姿とは異なる世界に変貌しつつあります。
事故後も悪化する東京電力の企業としての無責任体制を変えるためにも、東電刑事裁判の最高裁の判断は極めて重要です。最高裁は、国や東電への忖度せず、被害にしっかりと向き合い、公正な判決を下すことを求めます。