大きな第四点は、いわき市の再生と地域課題の解決について、です。
1点目、地域公共交通について、です。
地域公共交通は、少子高齢化などにより将来的に継続が難しい上に、コロナ禍が拍車をかけ、乗務員不足と燃料高で事業存続が危機的な状況に陥っています。令和6年4月の路線バスのダイヤ改正による系統運行の廃止や減便の影響が、通勤・通学はじめ移動手段をバスに頼る市民の生活に大きな影を落とし、高齢者などから悲鳴と共に改善を求める声が寄せられています。
23まず、路線バスの令和6年4月ダイヤ改正の影響について、団地乗入れ・系統運行の廃止や学校乗入れ運行の廃止・減便により、通勤・通学はじめ移動手段をバスに頼る市民の生活に大きな混乱が生じましたが、この影響について、本市はどのように把握しているか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
新常磐交通株式会社の令和6年4月ダイヤ改正においては、深刻な運転手不足と慢性的な赤字経営により、路線廃止を含む大幅な減便が実施されたところです。
ダイヤ改正の発表以降、新常磐交通や本市に対し、数多くのご意見や要望が寄せられています。そのー例を申し上げますと、「沿岸域では、日中の路線バスがほとんど無くなり、買い物や通院が困難になった」、また、土日の運行がなくなった地域からは「通勤や部活動に支障がある」、そのほか「通学に使用される路線では車内の混雑が増した」といった声と、その対策への要望が寄せられています。
このようなことからも、市としましては、今回の路線バスの廃止・減便が、市民の皆様の日常生活に大きな影響を与えているものと捉えており、その対策が急務であると認識しています。
24次に、路線バスの運行の維持等について、事業者は市との協議や補助金増額によって廃止路線の一部の運行を継続し、本市も市民生活への影響が大きいため協議を続けるとしていますが、本市として、既存路線の維持や廃止路線の復活などに向けて、運転手の確保策をふくめて、今後どのように対応していくのか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
運転手確保に向けましては、各交通事業者に対し、従業員が第ニ種運転免許を取得する際などの補助制度として、「担い手確保支援事業」を創設しました。
これまで3件の交付決定を行ったほか、複数の交通事業者から、補助制度への問い合わせが寄せられているところです。
さらに、本市の移住施策等と連携した、市外からの運転手の確保に向けても交通事業者とともに取組みを進めていきます。
これらの取組みと並行しながら、利用者の利便性の確保に向け、ダイヤの改善や経路の見直しなど、路線バスの効果的な運行について、交通事業者との協議を継続していきます。
25次に、既存タクシー事業との連携実証事業について、本年1月22日から3月17日まで久之浜・大久、四倉地区において、地区内のタクシー事業者と連携し、医療機関や商業施設などの目的地まで上限1,000円で利用可能な、定額タクシーの実証を実施しましたが、実証事業による移動実態の分析及び利用者や事業者へのヒアリング、財政負担等、検証結果はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
定額タクシーの実証事業については、地区内に居住する65歳以上の方、もしくは、運転免許証の返納者を対象とした登録制により、56日間実施しました。
その結果、115名の方が利用登録を行い、うち、53名が実際にご利用いただきました。利用者の6割以上が80歳代であり、ほとんどの方が複数回利用されています。
主な目的地は、地区内に立地するスーパーなどの商業施設や、医療機関となっています。
また、四ツ倉駅を目的地とする利用もあり、鉄道への乗り換え需要も確認できたところです。
実証期間中の運行回数は延べ298回、1日平均で5.3回となっています。
I 回あたりの平均利用額は2,560円、平均補助額は1,560円で、補助の総額は46万4,960円となっています。
実証後に行った利用者への聴き取り調査では、運賃に対する負担感も含めて、ほとんどの方から「今後も利用したい」との声をいただきました。
今後は、市内他地区における展開も視野に、これらの検証結果を基にした、当該地区における定額タクシーの実装に向け、地域との更なる協議を進めていきます。
26次に、タクシーの活用などの代替交通の確保等について、公共交通による移動手段が確保できない地域の現状と移動困難者のニーズを詳細に調査して、移動手段が確保できない地域における運行経路の見直しやダイヤ改正を検討しつつ、タクシー事業者との連携によりバスの幹線系統に接続する新たな移動手段の構築を図ることを検討するとされますが、具体的には、どのように進めるのか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
今年度は、小名浜、常磐地区において、交通弱者をはじめとした住民の域内移動方策の検討を行います。
具体的には、市の交通施策の推進にあたって協力体制を構築してきた福島大学と連携しながら、アンケート、ヒアリング等により移動実態やニーズの把握を行います。
その上で、交通事業者や地元のまちづくり団体等とともに新たな移動手段の構築も視野に入れた検討を行い、実証運行に向けた具体的な手法を地域に対して提案していきたいと考えています。
加えて、路線バスの廃止・減便による影響が大きい地域につきましても、新たな交通の利用ニーズや採算性を見極めるための実証運行に向けて、交通事業者や地域団体等と連携し検討を進めます。
27次に、中山間地の地域交通について、田人・三和の住民ボランティア輸送や川前の福祉と連携した自家用有償旅客運送等が実施されていますが、これまでの経緯を踏まえ継続・拡大など、今後はどうすすめるのか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
人口減少と高齢化が進む本市の中山間地域では、地域の実態に即した、セーフティネットとなる移動手段の確保を進めてきたところです。
しかしながら、公共交通事業者と同様に、担い手となる運転手の高齢化や、変化する利用者ニーズへの対応等が課題となっているところです。
これらの地域では、住民ボランティア輸送などの運行主体である地域団体と協議しながら、運転手の待遇改善や地域外からの担い手確保など、今後も移動手段として存続が留られるよう、必要な改善を進めていく考えです。
また、現在検討を進めている遠野地区や、今年度から検討に着手する小川地区につきましても、地域住民、事業者、及び有識者等と緊密に連携を圏りながら、地域の実情に即した移動手段の構築に取り組んでいきます。
28次に、公共交通の抜本的改革の必要性について、昨年9月、運輸総合研究所は、『~地域交通革新~』と題して今後の地域公共交通のあり方を示唆する提言を発表し、地域公共交通を「持続可能な社会の実現に必要な公共財と位置づけ」「利便性の高い地域交通は生活の質(QOL)を向上させ地域の価値を向上させる」「現状の赤字補填では地域交通の確保は困難で、現行制度は限界」「現行制度の抜本的な変革で法制上・財政上の措置を、時機を逸することなく実行する段階」と提言しました。本市は、先進事例を研究しつつ、人権として位置づけられた欧州の交通政策などを踏まえ、法改正を含めた、公共交通の抜本的改革を国など関係機関に働きかけるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
本市の公共交通に対する制度上の課題への対応や財政的支援については、これまでも中核市市長会などを通して国等の関係機関に対し要望を行ってきました。
また、国においては、令和5年6月に有識者等で構成する審議会において、今後の公共交通施策の方向性である『地域公共交通のリ・デザイン』の提言がなされ、以降、関係省庁による議論が進められています。
加えて今年度は、中核市市長会においても、その実現に向けた検討プロジエクトが発足するなど、地域公共交通活性化に向けた活発な議論が展開されています。
市におきましても、これらの動きと連動しながら、交通施策を推進するため、先日、庁内関係部署で構成する交通政策対策チームを設置し、横断的な体制を整えたところです。
今後は 他自治体における事例等研究を進めながら、本市の公共交通課題の解決に向けた取組みを加速させます。
施策推進にあたっては、必要となる国の支援や法制度の改正について、あらゆる機会を捉えて、関係機関に働きかけていきます。
●再質問
市長は、昨年の12月からですね、緊急プランということで、積極的に地域公共交通問題について取り組んでこられましたけれども、そういう意味では、国家的な、やっぱり地域交通の公共交通の抜本的な、改革の必要性ということが言われておりますんで、市長の決意を、ひとつお聞かせ願えればと思います。
—答弁(市長)
佐藤和良議員のご質問にお答えいたします。
中核市長会ございまして、そこにおきまして、地方公共交通のプロジェクトチームができましたので、私も入らせていただきまして、現状について、今お知らせをしております。
この間の公共交通に関しましても、いわき市は非常に広域でございますので、広いんですが、他の自治体だと、市町村を跨いだ場合は、そういうバスに対して国の補助があるんですが、そういうのがないとかですね、あと、ライドシェアのような検討も始まっておりますが、既存のタクシー業界を圧迫するようなことでは困るので、共存共栄のような制度構築の可能性が考えられるんではないかとか、いろんな議論をさせていただいておりまして、そういった中核市の集まりの中でも、かなり発言をさせていただいて、いわきの現状を強く訴えていきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いしたいと思います。
改めて、地域公共交通を、持続可能な社会の実現に必要な公共財と位置付けて、現行制度の抜本的な変革で、法制上財政上の措置を、時期を逸することなく実行するよう、改めて国に強く求めることを要望しまして、次に移ります。
2点目、個別施設計画の策定と小名浜地区の公共施設の再編について、です。
本市は、いわき市公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画を策定、公表しました。これにより、個々の施設のあり方を市民と共有して、今後の方向性について市民対話を実施するとしています。
29まず、いわき市公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画について、その内容と進め方など計画の概要はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(財政部長)
今般、公表した「個別施設計画」では、施設ごとに、今後の施設のあり方の方向性や検討スケジュール、改修の見通しなどを整理しています。
この計画は、市が、施設再編の方針などを、決定事項としてー方的にお伝えする、といった性格のものではなく、市民の皆様と、本市の公共施設等を取り巻く厳しい現状や危機感を共有し、施設のこれからについて意見を交わしていくための計画であると捉えています。
今後は、将来にわたって地域に必要な行政機能やサービスのあり方を中心に、市民の皆様と意見を交わしていきます。
また、この「市民対話」の状況などを踏まえながら、「個別施設計画」自体を定期的に更新していくこととしています。
30次に、小名浜地区の公共施設の再編について、個別施設計画で示された、小名浜公民館、小名浜市民会館、小名浜図書館、小名浜支所などの方向性は「あり方見直し」とし、多くは令和8年度まで検討としていますが、複合施設化も含めた検討をどのように進めるのか、お尋ねします。
—答弁(財政部長)
小名浜地区は、公民館や支所なと、主要な施設の整備時期が特に古く、 検討の緊急性が高い地区のーつであると認識しています。
小名浜地区における主要な行政機能やサービスのあり方と、その受け皿である施設のあり方の検討・整理には、本年度下期をめどに着手し、「市民対話」を通じて、市民の皆様の意見を聴き取った上で、令和8年度ごろまでに、一定の方向性を整理したいと考えます。
その方向性に沿って、複合化も含めた施設整備や改修などの内容について、具体的な検討を進めます。
31次に、市民要望と市民対話について、本市とまちづくりパートナーシップ協定を結ぶ小名浜まちづくり市民会議からは、「市民サービス機関の集約」、支所機能と地域活性化を図る総合施設の事業計画を策定し、協議の場を設定して整備してほしいとの要望が寄せられてきましたが、本市は市民要望の実現を含め、市民対話をどう進めるのか、お尋ねします。
—答弁(財政部長)
小名浜まちづくり市民会議が、令和4年3月に策定した「第3期港まち小名浜のグランドデザイン」の中では、支所、公民館などの公共施設等の集約という、まちづくりのアイデアが示されました。
市といたしましては、これも市民意見のーつであると受け止めております。
「市民対話」の進め方といたしましては、地区内で活動されている団体等の皆様と、対話の持ち方なども
含め、意見を交わしていきたいと考えています。
その上で、広く地区内の市民の皆様と意見を交わしていきます。
この「市民対話」の場では、 市民の皆様が、暮らしの中で真に求める行政機能やサービスについて、実生活に根差したそれぞれの声に耳を傾け、当該地区における持続可能な公共施設等の実現を目指していきたいと考えます。
公共施設の再編をめぐっては、公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画を従来のように、事業説明型で市民説明を繰り返すのではなく、双方向の市民対話を実現することで、共創のまちづくり、市民主体のまちづくりを進めるよう強く要望して、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。