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実効性なき避難計画、女川原発2号機の再稼働に強い憤り

 10月29日、東北電力は、2011年3月の東日本大震災と福島原発事故以来はじめて、宮城県石巻市・女川町にある女川原発2号機の原子炉を起動し13年ぶりに再稼働させました。
 女川・石巻の住民はじめ、多くの反対にもかかわらず、東日本での初の原発再稼働を強行しました。
 女川原発2号機は、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)です。福島原発事故を顧みず、実効性のない避難計画のもと住民合意のない、東北電力の女川原発2号機の再稼働には、強い憤りと抗議を表明するものです。東北電力に対し、あらためて女川原発2号機の停止を求めます。
 以下は、原子力規制を監視する市民の会、国際環境NGO FoE Japanの声明です。

声明:女川原発の再稼働に抗議する

https://foejapan.org/issue/20241029/21068/

本日、東北電力女川原発2号機の再稼働が予定されている。
女川原発をめぐっては数々の問題点が指摘されている。とりわけ避難計画に実効性がないことは大きな懸念である。万が一事故が生じた際には、5km圏で孤立する集落が生じる可能性があるなど、住民を守る計画とはなっていない。多くの市民が再稼働の是非をめぐって県民投票の実施を請求したのにもかかわらず無視されてしまい、民意を踏まえた地元合意がなされていないことも問題である。

原発はむしろ不安定
 福島第一原発事故後、東日本では11年以上、原発ゼロの状況が続いた。
 政府は、原発推進の理由として、電力の安定供給をあげるが、大規模集中型で柔軟性にかける原発の存在は、むしろ電力需給調整を妨げ、不安定化を生む要因となりかねない。
 また、事故、トラブル、訴訟、スキャンダルが相次ぎ、技術的にも社会的にも原発はリスクが高い。1997~ 2010年までの事故故障等の報告件数は267件にものぼる。
 ひとたびトラブルに突然見舞われ、停止した場合、その影響は広範囲に及ぶ。
 今求められているのは、大規模集中型電源ではなく、小規模分散型の電源および需給調整の仕組みである。

原発は高い
 あたかも原発が安いかのような言説が流布されているが、世界的に原発は最も高い電源となっている。日本においても新規制基準に対応するため、巨額の安全対策費が支払われている。大手10社の安全対策費は6兆円を超え、女川原発についても約7,100億円にのぼっている。これらの費用は、原発が稼働していないうちから電気料金が上乗せされ、広く一般市民から徴収されている。早い段階で廃炉を決断すれば、このような巨額の費用を支出せずにすんだはずである。「原発を再稼働すれば電気代が安くなる」というのは、印象操作に過ぎない。

被災原発
 女川2号機は東日本大震災で被災した。約13メートルの津波が押し寄せ、3基は冷温停止したが、外部電源が5回線中1回線のみとなり、2号機では建屋内に海水が逆流して非常用発電機2台が使えなくなった。また、地下から浸水して冷却ポンプが故障するなどの被害に見舞われた。危機一髪の状況であったといえる。
 福島第一原発の事故原因は完全に解明されたわけではなく、同じ沸騰水型の女川原発の稼働には、リスクがつきまとう。

無視された民意
 2019年1月、女川原発の再稼働の是非を県民投票によって決めるため、市民団体が11万筆を超える署名を集めて条例制定を求める直接請求を行ったが、県議会はこれを否決。
 宮城県、石巻市、女川町は、住民や市民団体から意見を聞く場を設けることもせず、また、避難計画の実効性について検証する作業も行わず、4年前の2020年に、早々に再稼働に同意した。
 今年7月には、住民団体が、避難計画の不備などを理由に、宮城県に対して合意の取り消しを求める要請を行ったが、県はこれを無視した。

問われる避難計画の実効性
 女川2号機の再稼働をめぐっては、運転差し止めを求める裁判が闘われている。原発事故が発生した際、避難のためのバスが来るのか、避難時に必要な検査を行う検査所が機能するのかどうか、といった避難計画の実効性が問われており、判決が11月27日に予定されている。
 能登半島地震では、道路が寸断されて孤立集落ができたこと、放射線防護施設が使えないことが問題になった。複合災害の際に避難も屋内退避もできない状況が起こりうることをまざまざと示した。しかし、能登半島地震を踏まえた原子力規制委員会の議論は、屋内退避問題に終始した。複合災害は問題にせず、原発の安全対策がうまく機能したことを前提に、屋内退避を解除するタイミングをどうするかという議論が行われているが、的外れとしかいいようがない。
 特に問題となるのが原発から5km圏(PAZ)である。5km圏の住民は、屋内退避をしても、安定ヨウ素剤を摂取しても、1週間で100ミリシーベルトという国際原子力機関の非常に緩い判断基準ですら超える恐れがある。このため、原子力災害対策指針においては、原発事故により放射性物質が拡散される前に避難することになっている。避難が困難な人については、「放射線防護施設」に退避することになっている。
 女川原発の場合、原発から5km圏に、女川町に450人ほど、石巻市に490人ほどの住民が居住する。県道41号線が避難道路だが、5km圏では代替の道路はなく、避難できなくなることが懸念される。
 原発から太平洋側に伸びる小さい半島の先にある寄磯浜地区の住民は約200人だが、一旦原発がある方向に向かわないと避難できない。津波の避難場所でもある寄磯小学校の一部が「放射線防護施設」となっているが、収容人数は70人で、全住民を収容することはできない。
 同じく5km圏にある泊浜地区の住民は約80人。同地区は県道からの脇道で山道を行ったところにあり、孤立する可能性が高い。避難所の泊コミュニティセンターが「放射線防護施設」にもなっているが、放射性物質の屋内への侵入を防ぐための装置が機能するのかという問題がある。 能登半島地震では、20ある放射線防護施設のうち、3施設で倒壊のおそれなどで施設としても使用できなかった。放射性物質の侵入を防ぐ装置については、3施設で起動不可などとなっている。
 このように女川原発の避難計画は、能登半島地震の経験や教訓を踏まえたものではなく、実効性はない。住民を守るものとはなっていない。

 私たちは女川原発の再稼働に反対し、同原発を直ちに停止することを求める。


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@tbc東北放送













by kazu1206k | 2024-10-29 22:42 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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