11月13日午前、いわきを変えるゾ市民の会がいわき市長宛に「大規模な太陽光発電や風力発電事業について規制を求める要望書」を提出しました。会は、市民生活の安全安心のために発言行動する市民団体で、わたくしも同行いたしました。
提出は、会の代表らが、所管部のいわき市生活環境部長と面会して要望書を手渡し、意見交換を行いました。
参加した代表等は、中山間地での風力発電施設や太陽光発電施設などの建設に伴い、大規模な山林の地形改変が行われ、森林伐採による山の保水力の低下が土砂崩れや下流域での土砂災害、洪水被害の激甚化の危険性を高めていることなどを指摘しました。また、入遠野の旧鶴石牧場跡地に142haのスーパーメガソーラー施設建設の計画が進んでいることから、「水源涵養保安林」を解除したり、土石流危険渓流内や土砂災害警戒区域の上流には、発電施設は造らせるべきではないとしました。
会は、宮城県条例や福島での規制条例の例をあげて、いわき市でもしっかりとした規制条例を作ってほしいと訴え、市民生活の安心安全を守るため、「大規模な太陽光発電や風力発電事業により様々な弊害が予想される『避けるべき地域』を早急にゾーニングし、さらに適正な設置を事業者に求めるため、市内全域を許可制とする条例の制定を要望」しました。
●大規模な太陽光発電や風力発電事業について規制を求める要望書
いわき市長 内田広之殿
私たち「いわきを変えるゾ市民の会」は市民の立場で市政を考え、「市民生活の安全安心のために発言行動する」市民団体です。
私たち市民は、令和元年の台風19号および昨年の台風13号による河川氾濫や土砂災害により、あらためて水害の怖さを再認識させられました。世界的に異常気象が当たり前のようになった今、日本もかつて経験したことがないほど頻繁に集中豪雨や巨大台風に見舞われています。そういった中で、夏井川や鮫川の下流域に生活する私たちは、上流域での大規模な開発には敏感にならざるを得ません。私たちは決して再生可能エネルギーそれ自体に反対するわけではありません。ただ山間部の大規模な開発の場合は、基礎工事や作業用道路工事などでかなり広範囲の森林伐採を伴い、山の保水力の低下により今以上に土砂崩れや下流域での洪水被害の激甚化が危惧されます。
ご存じのように、夏井川・藤原川・鮫川などの上流は「水源涵養保安林」になっており、いわき市の大切な水源地帯でもありますが、ここに既設のものも含めると94基の風力発電施設の設置が進められています。さらに入遠野の山中にある鶴石牧場跡地に142haものメガソーラー基地の計画が進んでいると聞くにつけ、これらはさらなる自然災害を誘発するのではと流域住民は不安を感じています。基本的に、土石流危険渓流内や土砂災害警戒区域の上流には、こういった構造物は造らせるべきではないと考えます。
いわき市は従来から、これらに関する許認可権等は市にないので有効な手立てはない、県の問題とのことですが、もっと積極的な姿勢はとれないものでしょうか。現に、福島市は先達山の60haのメガソーラー計画をきっかっけに、「禁止区域」を除く市内全域を許可制とする条例制定に向けて動き出しました。宮城県は昨年、再エネの適地を非課税にすることで、開発を平地などの適地に誘導するという、全国初の条例を県議会で可決しました。「地方自治研究機構」によりますと、他にも説明会や同意の手続きを課した再エネ施設の設置を規制する条例は、全国で既に250件ほど公布されているとのことです。
以上の理由により、私たち「いわきを変えるゾ市民の会」は市民生活の安心安全を守るため、以下の具体的項目を強く要望させていただきます。
※大規模な太陽光発電や風力発電事業により様々な弊害が予想される「避けるべき地域」を早急にゾーニングし、さらに適正な設置を事業者に求めるため、市内全域を許可制とする条例の制定を要望いたします(環境省の「風力発電等に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業」が採択された浜松市方式や先進的にゾーニングに取り組んできた長野県などに倣って、エリアの抽出基準や課題等を明確化することを求めます)。
水源地を荒らし保水力を低下させ下流域の土砂災害や洪水を誘発する不適切な事業を抑制するには、一刻の猶予もありません。本市も即刻動き出すべきではないでしょうか。適切な設置、管理を通して、環境を守ることと再生可能エネルギーの推進は必ず両立できるものと考えます。
内田市長におかれましては、私たちの要望するところをお汲み取りいただき、ぜひ強力なリーダーシップを発揮していただけますようお願い申し上げます。
令和6年11月13日
いわきを変えるゾ市民の会代表 佐藤雅子
【賛同団体】は以下の通りです。
・石城山岳会
・いわき地域学会
・生涯学習ともの会
・遠野町の環境を考える友の会
・夏井川流域住民による川づくり連絡会
・小野町水害被害者の会