福島県内市民団体が「2号機燃料デブリ試験的取り出し及び廃炉『2051年完了』についての要請書」を東電に提出
2024年 11月 15日
東京電力ホールデングス(株)代表執行役社長 小早川 智明 様
2024年11月14日
2号機燃料デブリ試験的取り出し及び廃炉「2051年完了」についての要請書
貴社は、2024年11月7日、福島第一原子力発電所2号機において、燃料デブリの試験的取り出しを完了したと公表しました。「福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」の最重要課題である燃料デブリの取り出しの開始は、予定より3年遅れ、初号機の2号機の燃料デブリの試験的取り出しとなりました。
本年8月22日、原子炉格納容器の内部調査に向けたロボットアームの導入が実行できず、1回につき取り出す量は3グラム以下という試験的取り出しは、テレスコ式装置を貫通孔の一つから挿入しましたが、接続のミスで作業が中断、9月10日にパイプの復旧作業を終えて作業再開後、今度はテレスコ式装置先端部のカメラの不具合が確認され、カメラを交換して、10月28日に試験的取り出し作業を再開、燃料デブリに到達したとしています。
高線量のため24mSv/h以下のものを取り出す計画でしたが、今回の採取物は、0.2mSv/hのため、ガレキ片の可能性も指摘されています。
今後、日本原子力研究開発機構大洗研究所などで詳細分析が行われ、本格的取り出しに向けた計画の立案や、従事者の教育・訓練に利用するといいますが、総量880トンとされるデブリの性状をこれで全体把握できるはずもなく、本格的取り出しの方法も決まっていません。政府の「原子力損害賠償・廃炉等機構」は、「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン2024」において、大規模な燃料デブリ取り出し工法の「具体的な設計検討は 2025 年度半ばを目標に検討を完了させる」としています。
2011年3月の原発事故から30~40年で終わらせるという中長期ロードマップの廃炉作業スケジュールに現実味はあるのか、原発事故被災者はもとより専門家、報道機関が疑問を呈しています。日本原子力学会・福島第一原子力発電所(1F)廃炉検討委員会委員長の宮野廣氏は、東洋経済のインタビューで「最初の号機で本格的な取り出しに着手できるのは早くても2050年頃。準備作業にはそれなりの年月がかかるので、すぐにはできない。2050年あたりをターゲットにして、具体的な方針を示すことが現実的だろう」と述べています。
廃炉『2051年完了』には無理があります。廃止措置後の姿はどのようなものか、建屋は除却するのか、放射性廃棄物はどうするのか、8兆円の見積りの廃止措置費用は貴社が準備できるのか、それを超える費用は誰が負担するのか、難題が山積しています。
この際、「福島への責任貫徹」が最大の使命という貴社に対し、放射性物質の環境飛散と労働者被ばくのリスクの最小化、国民の費用負担を最小限にすることを最優先にすることを前提に、以下、要請し誠意ある回答を求めるものです。
記
1、 2号機の燃料デブリの試験的取り出しの採取物の性状を早期に公表すること。
2、 燃料デブリ取り出し工法の設計検討状況と880t取り出しの有無を明らかすること。
3、 作業員の被ばく低減、被ばく事故リスク低減のため、燃料デブリ取り出しを拙速に行わず、安全貯蔵期間を設けること。
4、 廃止措置における建屋及び放射性廃棄物の扱い、廃止措置後の姿を明らかすること。
5、 廃止措置費用の準備状況及び8兆円を超える費用負担の財源を明らかすること。
6、 廃炉「2051年完了」とする「中長期ロードマップ」を抜本的に見直すこと。
命を守る三春の会 風下の会福島 脱原発の日実行委員会福島 脱原発福島ネットワーク
脱原発緑ネット ハイロアクション福島 福島原発30キロひとの会 双葉地方原発反対同盟 フクシマ原発労働者相談センター ふくしまWAWAWA―環・話・和―の会