36番、創世会の佐藤和良です。
9月の市議会議員選挙におきましては、「いのちを守る」という訴えに多くの市民の皆様の共感とご支持をいただきました。あらためて、心より感謝申し上げます。
私は「いのちを守る!」を原点に、「市政を正し市民主体のまちづくり」をめざし、「誰もがくらしやすいまち」「災害に強い安全なまち」「農林水産業の再生、中小・小規模企業の活性化」の実現にむけて、市民の声に耳を傾け、一緒に考え、要望や課題の解決に尽くす覚悟でございます。
市長はじめ執行部の皆様におかれましても、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、通告順に従い一般質問を行います。
大きな第一点、いのちを守る、子育て支援について、です。
1点目は、学校給食費の無償化について、です。
国の「こども未来戦略方針」に基づき、文部科学省が「学校給食費の無償化を実施する各教育委員会における取組の実態調査(令和5年9月 1日現在)」を行なったところ、全国1,794自治体のうち547自治体・30.5%で小・中学生全員が完全無償、175自治体・9.8%でいわき市のように多子世帯が一部無償という結果でした。県内59市町村でも、35自治体、約6割近くが完全無償です。子育て世帯は物価高騰の影響を強く受けており、少子化が加速している現状では、国の動きを待つのではなく、本市の子育て施策として、早期に給食費の無償化を実現して、子育て世帯の負担軽減を図る必要があります。
①まず、本市における学校給食費の無償化の課題について、市長選挙公約を踏まえて、多子世帯などへの対応を進めてきましたが、国の方向性を踏まえ、完全無償化に向けた課題解決にどう取り組むのか、お尋ねします。
—答弁(教育部次長)
本市の学校給食について、経済的理由によりお困りの世帯等に対しては、生活保護や就学援助制度による支援を行い、実質的に給食費を無償としています。
また、多子世帯の負担を軽減するため、「学校給食費第3 子以降支援事業」を実施し今年度においては約8,700万円を市負担としております。
さらには、物価高騰に伴う食材高騰分について、今年度においては約I 億6,000万円を市の負担としていますが、さらなる高騰に対応するため、約8,500万円を市が負担する補正予算を本定例会に提出したところです。
学校給食費の完全無償化の実施に当たっては、多額の財政需要が伴うことから、財源の確保が課題であると考えています。
●再質問
課題解決にはどう取り組むのかという質問でありますので、教育部長か、教育長かどちらですか。課題解決に向かってどう取り組むかということ。
—答弁(教育部次長)
課題解決に向けては全庁的な視点に立って検討していく必要があるという風に考えております。
②次に、令和7年度予算への対応について、骨太の方針2025の令和7年度に取り組む6つの重点施策の一つ「教育」の「教育環境の整備」で「学校給食費のさらなる軽減」をあげていますが、学校給食費の完全無償化に向け、市長としては当初予算に盛り込むべきではないか、お尋ねします。
—答弁(市長)
学校給食費のさらなる軽減に向けては、来年度の予算編成に向け、軽減の対象とする範囲や軽減の方法等について具体的に検討を進めているところです。
●再質問
先ほども御答弁あった内容と同じでありますけれども、やはり今検討中だということではございますが、もう2月定例会には当初予算、具体的に提案せざるを得ないわけですから、どのような点で大体の骨子がまとまっているのか、あるいはどの辺で今もう一つやらねばならないことがあるんだとか、その辺の具体的な検討状況をちょっとお知らせいただければと思います。
—答弁(市長)
佐藤和良議員の再質問にお答えいたします。ただいま答弁申し上げました通り、軽減の対象とする範囲、軽減の方法等につきまして、やはり財源を大きく伴うものですから、今慎重に検討を進めておりまして、検討中でございますので、現時点でお話できる内容はございませんので、それは次回のですね、予算編成の過程におきまして、また改めて、御説明をさせていただければと思います。
●和良
これについては大体の会派でですね、こうした完全無償化に向けた要望があるんではないかと思うんです。それ具体的には、今その範囲と方法ということで財源が伴うということでありますけれども、先ほどから申し上げてるように、相当の基礎自治体で、実施しているってこともございますし、国の方もそういう方向に向けての調査をしているわけですから、ここはやはり子育て支援の重要な柱として、是非ともですね、次年度予算で計上していただきたいと。これ予算は選択の問題ですからどこにどういうふうに配分するのか、その選択の問題ですから、是非ともここは市長の御勇断を要望いたしまして次に進みたいと思います。
大きな第二点、いのちを守る、災害に強いまちづくりについて、です。
1点目、風力・太陽光発電施設の導入による災害等の防止と条例制定について、です。
近年の集中豪雨により、市内各地で太陽光発電施設の設置に伴う土砂災害が発生しています。遠野町の旧鶴石牧場跡地では、実施区域面積が約142.1haという大規模な土地の形質変更と環境負荷により、土砂災害を誘発する可能性がある、スーパーソーラ発電事業の計画が進行中です。
こうした現状で、本議会による、再生可能エネルギー発電施設の適正な導入及び管理に関する条例の制定の提言書を受けて、本市は現在、条例制定に向けて準備を進めていますが、市民からは、保水力を低下させ土砂災害や洪水を誘発する不適切な事業を抑制できる実効性のある条例を求める要望が出されています。
③まず、(仮称)再生可能エネルギー発電施設の適正な導入及び管理に関する条例案について、基本内容、手続きなど、本市条例案はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
本条例案は、本年4月、市議会からの提言を踏まえ、検討を開始したものです。
制定の目的については、脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの利用を推進するにあたって、市内の再エネ発電施設の適正な設置や管理を促すこととしています。
対象とする事業は、発電出力10キロワツト以上の再エネ発電施設としています。
事業開始前にあたっては、事業計画の概要の提出や、住民説明会の開催義務化などを規定しています。
また、建設着工後、事業者においては、再エネ発電施設の安全かっ適切な維持管理に努める規定を盛り込んでいます。
更に、市による行政指導としての立入検査をはじめ、施設の運営に関する「指導・勧告」や勧告に従わない場合の「国等への通報」、「事業者名等の公表」などの規定も位置付けています。
④次に、本市条例案と他自治体条例の違いについて、宮城県が2024年4月に施行した「再生可能エネルギー地域共生促進税条例」は、「課税」と「非課税」の仕組みにより森林の乱開発防止、地域共生型の再エネ事業を支援するものです。また、福島市が来年4月の施行をめざす「福島市再生可能エネルギー発電施設の適切な設置及び管理に関する条例」は、太陽光及び風力発電施設を対象に、山地等を中心に発電施設を設置してはならない「禁止区域」を定め、禁止区域以外では、発電施設の設置にあたって許可制を導入し、発電施設の適切な設置及び管理を確保するものです。本市条例案との違いはどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
宮城県の条例は、再エネ発電施設に独自に課税し、「促進区域」においてはこれを減免することで、再エネ発電施設の立地を誘導しようとするものです。
また、福島市の条例案につきましては、再エネ発電の設置について「禁止区域」を設け、それ以外の場所での設置を許可制とするものです。
ー方、本市の条例案につきましては、再エネ発電事業が、各種法令に基づく許認可等を適切に取得しているか、また、施設が将来的にも適切に運営されるのか、といった点を確認することを基本としています。
さらに施設の稼働後において、不適切な事案が発生した場合には、速やかな是正を促す行政指導等を行っていくこととしています。
これらの手続きを通じて、再エネ発電施設の適正な導入や、安全な事業運営、事業終了後の確実な撤去を誘導していく考えです。
⑤次に、大規模な太陽光及び風力発電事業に関する市民の要望について、「避けるべき地域」のゾーニングによる事業の許可制や保水力を低下させ土砂災害や洪水を誘発する不適切な事業を抑制できる条例制定について、市民要望が出ていますが、本市は今後どのように対応するのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
現在、市内各地では、多数の再エネ発電施設が稼働しております。
また、電カの固定価格買取制度いわゆるFitの認定等を受け、施設の設置を計画している案件も数多くあります。
このような各種法令の手続きを適切に実施しながら、事業を進めている案件に対し、後から制定する条例において、禁止区域等を設定して、事業を制限した場合、事業者や土地所有者などに対する権利侵害として、行政訴訟により条例の適法性が問われる恐れがあります。
このため、現在の条例案では、禁止区域等は設けず、必要な情報の把握や、行政指導を確実に行うことに主眼を置いています。
なお、条例案の今後のスケジュールについては、パブリツクコメントや、環境審議会での市民意見の反映を図った上で、今年度内に「最終案」として整理し、令和7年6月定例会に提案する予定です。
●和良
宮城県条例、福島市条例との違いとして、禁止区域、あるいはそこにゾーニングをして誘引していくことではないということはわかりました。また、既存の、既設の事業についてのアミカケということになると、行政訴訟等のリスクがあるんだということに配慮した条例になっているんだということでございますね。
その意味では、市民の方から、やはり大きな災害に結びつくような乱開発ができないようにという実効性を高めてもらいたいという要望はでてきておりますので。また、パブコメや6月条例制定に向けて、よくよく市民の意見を聞いていただいて、正すべきは正して条例化していただきたいと思います。
⑥次に、(仮称)いわき太陽光発電事業の環境影響評価手続きについて、事業者による準備書の提出や住民説明会の開催など手続きの進捗状況を踏まえ、本市は今後どう対応していくのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
議員お質しの事業につきましては、令和4年I I月に、環境影響評価の第2段階となる「方法書」の手続きが終了しております。
第3段階の「準備書」の進捗について、県に確認したところ、現時点で、事業者からの相談や事前協議はなされていない、とのことです。
今後、提出予定の「準備書」では、土砂災害の未然防止に係る地盤の調査や、雨水排水対策などの具体的事項などが明示されます。
市といたしましては、「準備書」が提出された場合、事業者が、これまでに地域から出された意見等に対し、真摯に対応しているのか、確認していきます。
また、土砂災害の未然防止対策など、追加的な対応の必要性についても、全庁的に確認し、県に対してその旨をしっかりと意見していきます。
今のところ、準備書の手続きは始まっていない、ということでありますが、何せ相当大規模な計画でございますので、慎重に対応することを重ねて要望したいと思います。
本市としては、環境保全と災害防止に役立つ実効性ある条例をあらためてめざすよう要望して、次に移ります。
(第2回に続く)