12月9日に行われた、いわき市議会12月定例会の私の一般質問の詳細報告の2回目です。
1 いのちを守る、子育て支援について(第1回)
(1)学校給食費の無償化について(第1回)
2 いのちを守る、災害に強いまちづくりについて(第1回)
(1)風力・太陽光発電施設の導入による災害等の防止と条例制定について(第1回)
(2)原発事故収束から廃炉への原子力災害対策について(第2回)
3 いのちを守る、いわき市の再生と地域課題の解決について(第2回)
(1)中山間地域への支援、「里山の暮らしを支える地域づくり方針」の位置付け事業について(第2回)
(2)小名浜市民会館と小名浜地区の公共施設の再編について(第2回)
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2点目は、原発事故収束から廃炉への原子力災害対策について、です。
福島原発事故から13年。今も、政府の原子力緊急事態宣言は解除されていない中、東京電力は、11月7日、福島第一原子力発電所2号機において、予定より3年遅れで紆余曲折の末、燃料デブリ約0.7グラムの試験的取り出しを行いました。
「福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」では、総量880トンとされる燃料デブリの取り出しの着手をもって、「第3期」という本格的な廃炉作業への移行とされますが、燃料デブリの本格的取り出しの方法は決まっておらず、原子力規制委員会は燃料デブリの性状を0.7グラムで全体把握するのは困難として、更なるサンプルの取り出しを求めています。
燃料デブリの本格的取り出しの着手時期は全く不透明です。原発事故から30~40年で終わらせるという中長期ロードマップの廃炉スケジュールは疑問視されており、日本原子力学会の専門家は、本格的取り出し着手は早くても2050年頃と指摘しています。
廃止措置とはどういう姿か。建屋の除却の有無、膨大な放射性廃棄物の処理、8兆円を超える廃止措置費用の財源の問題など、東京電力任せで廃炉は完遂できません。廃炉『2051年完了』のスケジュールには無理があり、中長期ロードマップの見直しは必須です。
⑦まず、廃炉と燃料デブリの取り出しについて、市長は廃炉の課題についてどう認識しているのか、お尋ねします。
—答弁(市長)
福島第ー原発の廃炉は、事故後完了までに30-40年を要するとされ、汚染水・処理水に係る対策をはじめ、今後予定されている燃料デブリの大規模取り出し工法に係る課題、さらには、廃炉を計画的に進める上で必要となる人材の確保など、様々な課題があると認識しています。
こうした中、去るI I月11日に開催された「廃炉汚染水処理水対策福島評議会」の場におきまして私も安全対策を最優先にしつつ、着実な廃炉作業を進めるよう意見を述べたところです。
具体的には、燃料デブリ試験的取り出しの準備段階でのミスや、情報共有不足に起因する人為的ミスが連続して発生していることに触れながら、安全管理を徹底した上で、スピード感を持って廃炉作業を着実に進めてくれるように申し入れたところです。
⑧次に、国と東京電力に対する要請について、東京電力は「福島への責任貫徹」が最大の使命と公言しており、事故処理と廃炉作業においては、放射性物質の環境飛散と労働者被ばくのリスクの最小化、国民の費用負担を最小限にすることを最優先に取り組むべきです。また、国も事故被災者である市民が安心して信頼でき実現性のある計画とするよう、「福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」を改訂すべきです。この際、国と東京電力に対し中長期ロードマップの改訂を求めるべきではないか、お尋ねします
—答弁(危機管理部長)
本年9 月に燃料デブリの試験的取出しが開始され、中長期ロードマップの第3 期に入りました。
ー方、現在の中長期ロードマップでは、第3期の具体的なエ程は示されていません。
このため、先日の国及び東京電カが参加する「廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会」において、市長から、燃料デブリの大規模取り出しに係るエ法選定をはじめ、廃炉完了に向けた作業工程等の検討を進めるよう要望したところです。
また、I I 月28日の東京電力への申し入れの際にも、国や関係機関と連携しながら、廃炉完了までの具体的なエ程を検討し、提示するよう申し入れたところです。
今後におきましても、国及び東京電力に対して、様々な機会を捉え、中長期ロードマップの改訂等について求めていきます。
●和良
今、現実的に、2050年で完了という現行のロードマップでは到底無理だということは、専門家もさらに一般新聞等でも指摘されているところでございますので、やはり被災者である、あるいは被災自治体であるいわき市、いわき市民が安心して廃炉に向かって進めるような態勢を基礎自治体として、いわき市の方からも改訂を求めるということで改めて要望していただくようにお願いしたいと思います。
大きな第三点は、いわき市の再生と課題の解決について、です。
1点目は、中山間地域への支援、「里山の暮らしを支える地域づくり方針」の位置付け事業について、です。
本市は中山間地域を維持していく重要性を市全体で共有し、一次生活圏のセーフティネットを確保して地域力の維持・強化を図るために「里山の暮らしを支える地域づくり方針」を策定し、これに基づき令和5年度から12年度までの位置付け事業を展開して2年目に入りました。
⑨まず、ひとづくりの「継続的な人材確保と核となる人材の育成」について、位置付け事業の、中山間地域集落支援員推進事業、明日をひらく人づくり事業の2事業のうち、中山間地域集落支援員推進事業については、その課題を踏まえて、見直しや改善など今後どう進めるのか、お尋致します。
—答弁(市民協働部長)
中山間地域集落支援員推進事業につきましては、現在、中山間地域に集落支援員を非常勤で配置し、集落の現状把握や維持・活性化に向けた活動に取り組んでいます。
ー方で、集落支援員の高齢化や、限られた人員で多様な地域課題に対応しきれていない状況も見受けられます。
そのため、本年度は、地区ごとに必要な取組みを精査し、業務内容を明確にしたうえで、活動計画を作成するなど、業務内容に応じた適正な配置体制や勤務形態について、検討を進めているところです。
●再質問
そうしますと今の検討状況を具体的に反映した方針という形では、来年度にはなるということですかね。その辺を少しお示しいただければと思います。
—答弁(市民協働部長)
佐藤和良議員の再質問にお答えします。現在ですね、見直し、先ほどの答弁で述べました通り、業務内容に応じまして、適正な配置体制や勤務形態について検討を進めておりまして、来年度に向けて、そちらの方、進めて参りたいと考えております。
⑩次に、位置付け事業の検証と見直しについて、中山間地域への支援に特化した政策と事業に必ずしもなっていないと危惧しますが、各対象地区の現状に根ざした事業化を進めるために、地域の声を聴き、位置付け事業を検証して、今後、どう見直すのか、お尋ねします。
—答弁(市民協働部長)
「里山の暮らしを支える地域づくり方針」に基づく位置づけ事業につきましては、自治会や地域振興協議会などとの意見交換、さらには、学識経験者などで構成する有識者懇談会との協議を踏まえ、その内容を担当部署ヘフイードバックするとともに、事業の点検を進め、改善や見直しを行ってい流ところで、今後におきましても、中山間地域を維持していくことの重要性を市全体で共有するとともに、中山間地域の皆様が安全に安心して生き生きと住み続けることができる地域社会の実現に向け、地域との意見交換や有識者懇談会を重ねながら、中山間地域の維持・活性化に向けた取組みを進めて参ります。
地域の現状は厳しさを増しており、地域住民のニーズを的確に捉え事業を進めることを要望して次に移ります。
2点目、小名浜市民会館と小名浜地区の公共施設の再編について、です。
小名浜市民会館の現状ついては、空調設備、音響、照明、座席、外壁など修理修繕の必要箇所が多く、特にホールの冷房機能停止により、多くの文化団体、学校、幼稚園保育所などが利用できない現状にあり、小名浜地区文化協会はじめ学校、幼稚園などから小名浜市民会館の機能維持を求め、根強い改善要望があります。
⑪まず、小名浜市民会館の機能維持について、「いわき市公共施設等総合管理計画」に基づく個別施設計画においては、大規模な修繕が必要となった場合には供用を廃止すると修繕対応しない方針を示していますが、小名浜地区の公共施設再編による複合化などの整備方針が確定しても、供用開始までは10年スパンを要し、その間サービス停止では、文化芸術のまちづくりを後退させるため、文化活動の発表、吹奏楽の練習会場等の機能を果たす小名浜市民会館のホールなどの機能維持を図るべきではないか、お尋ねします。
—答弁(観光文化スポーツ部長)
小名浜市民会館は、建設から64年が経過する旧耐震基準の建物であり、維持管理にかかるコスト面などの理由から、長寿命化の対象外として大規模修繕は行わないこととしております。
今後におきましては、市民の皆様の意見を踏まえながら、他の公共施設との集約化や代替手法の検討など、施設のあり方について検討を進めるとともに、現在の小名浜市民会館を安全に利用していただけるよう、適正に管理してまいります。
●和良
今の答弁では、ほぼゼロ回答だと思いますが、今後またいろいろと市民の皆さんの声を聞いていただき、より良い形にしていただきたいと思います。
⑫次に、小名浜地区の公共施設の再編について、「小名浜地区トークシェアミーティング」など、開始した市民対話を踏まえ方向性の整理を加速化して令和7年度中にも一定の方向性を示すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(財政部長)
小名浜地区におきましては、支所や公民館などの主要な施設の老朽化が特に顕著でありますことから、市といたしましては、まずは小名浜地区において、「トークシェアミーティング」に取り組むこととし、先月、これを開始したところです。
これは、真に必要な機能やサービスとは何か、固定観念にとらわれることなく市民の皆様と共に見出し、その実現にはどのような受け皿が必要となるか、という観点から、施設のあり方を検討していくための新たな試みです。
この市民対話の機会は、初回を終えたばかりでありますことから、当該地区の主要な施設につきましては、現時点では、本年5 月に公表しました「個別施設計画」に定めたロードマップに沿って、令和8 年度頃までに、そのあり方の方向性を整理したいと考えております。
しかしながら、当該地区内に所在する各施設の老朽化の状況からは、可能な限り早期の対応が望ましいということは御指摘のとおりです。
こうした状況を踏まえまして、小名浜地区における各施設のあり方につきましては、市民の皆様との丁寧な対話を前提に、可能な限り早期の検討と整理に努めてまいりたいと考えております。
●和良
ありがとうございます。市民の意見を取り入れ、共創のまちづくり、市民主体のまちづくりを進めるよう要望して、私の一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。