脱原発福島ネットワークの2024年の活動報告では、1月の再開76回交渉から11月の81回交渉まで6回の東電交渉を行い、「2号機燃料デブリ試験的取り出し及び廃炉「2051年完了」についての要請書」の提出やALPS汚染水処理施設での被曝事故、第二セシウム吸着装置サリーでの汚染水漏洩事故、ALPS配管洗浄による労働者被曝、汚染水放出による賠償等の費用と国民負担、デブリ試験的取り出しと個人被ばく線量などをめぐって質疑が重ねられたことが報告されました。
3月30日には、「福島第一原発事故13年、事故処理の現状と廃炉のゆくえを考えるつどい」を開催して、事故処理の現状はどうなっているか、中長期ロードマップの現状、廃炉の定義と実現性などについて、専門家などの報告を受けて、私たち市民のこれからを考えました。 また、ネットワーキングニュース「アサツユ」の月1回発行・配布を継続したこと、「これ以上海を汚さないで!市民会議」に参加して運動を推進し、トリチウム等汚染水の海洋放出反対の活動を進めたことが報告されました。
2025年の活動の柱の協議では、「東電交渉の継続→労働者の被曝事故・待遇改善、デブリ、廃炉、汚染水、スラリー、ほか」「汚染水海洋放出中止→これ以上海を汚さないで!市民会議による毎月24日スタンディング・海の日AC、汚染水差止訴訟」、3月29日に「原発事故から14年 福島に生きる私たちの未来」の開催、「アサツユ発行→エッセー執筆12人、郵送料値上げにより1部200円(年間2400円)」などを、協議しました。
1、2024年の活動報告
●脱原発福島ネットワークとしての取り組み
①東電交渉―再開76〜81回交渉・6回開催。要請書提出―回答、質疑、交渉。
・1.16再開第76回―ALPS汚染水処理施設での被曝事故をめぐって
①2023年11月15日提出の「増設ALPS配管洗浄作業での身体汚染による労働者被曝事故についての要請書」の回答と質疑、❶本件被曝事故と作業管理の失敗の原因を徹底究明し明らかにすること。❷身体汚染による被曝の実効線量や皮膚の等価線量の評価を明らかすること。❸作業管理の不備、効率優先の企業体質を改善し、装備の不備、作業計画の不備のまま危険業務に従事させないこと。❹身体汚染に関わる福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画を遵守し、労働者被曝事故の根絶を図ること。②前回の質問事項への回答と質疑など。
・3.14再開第77回―ALPS配管洗浄による労働者被曝をめぐって
前回に引き続き「「増設ALPS配管洗浄作業での身体汚染による労働者被曝事故についての要請書」への再回答と質疑。市民「多重労務構造の労働者の待遇改善、労災補償の発注者責任について考えていない。電離則の「第一義」を繰り返すだけでは発注者の責任を果たしているとは言えない」、2023年3月16日付「理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書」の再質問への回答と質疑、「便益と弊害というが、現時点で1400億円の費用支出があり、国民の税金ではないか?」などが行われました。
・5.15再開第78回―第二セシウム吸着装置サリーでの汚染水漏洩事故をめぐって
「増設ALPS配管洗浄作業での身体汚染による労働者被曝事故についての要請書」の再々回答と質疑から始まり、2月7日の第二セシウム吸着装置サリーでの汚染水漏洩事故についての説明と質疑などが行われました。
さらに、質問に対する文書による回答について、事前に書面質問をするので書面での回答を要望。東電は「1か月以内に書面回答は困難。すべて公開の情報であり、それを東電で事前に回答として送らなくても良いと考えている。文書で回答した後、市民側の意にそぐわない回答だったとウェブサイト上で公開されると困るため、文書での回答は控えたい」
・7.19再開第79回―汚染水の海洋放出の中止を求めて
第二セシウム吸着装置サリーでの汚染水漏洩事故に関連しての質問への回答から、「理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書」の再質問への回答と質疑。東電の回答は繰り返しが多く、聞きたい事に答えない。汚染水漏洩事故があっても放出を止めることはせず、改善策は今一つ納得がいきません。ALPS処理汚染水の海洋放出の東電以外の人々の便益については全く理解できません。また、健康被害に関しては、放射能被ばくを矮小化。
・9.18再開第80回―汚染水放出による賠償等の費用と国民負担をめぐって
第二セシウム吸着装置サリーでの汚染水漏洩事故に関連しての質問への回答から始まり、「理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書」の再質問の回答と質疑「便益と弊害というが、現時点で1400億円の費用支出があり、国民の税金ではないか?」ほか「スラリー安定化処理設備の運転開始までは」など、2号機燃料デブリ試験的取り出し作業中断に関する原因と対策の説明を聞き、質疑を行いました。
・11.14再開第81回―デブリ試験的取り出しと個人被ばく線量をめぐって
「2号機燃料デブリ試験的取り出し及び廃炉「2051年完了」についての要請書」を提出。❶2号機の燃料デブリの試験的取り出しの採取物の性状を早期に公表すること。❷燃料デブリ取り出し工法の設計検討状況と880t取り出しの有無を明らかすること。❸作業員の被ばく低減、被ばく事故リスク低減のため、燃料デブリ取り出しを拙速に行わず、安全貯蔵期間を設けること。❹廃止措置における建屋及び放射性廃棄物の扱い、廃止措置後の姿を明らかすること。❺廃止措置費用の準備状況及び8兆円を超える費用負担の財源を明らかすること。❻廃炉「2051年完了」とする「中長期ロードマップ」を抜本的に見直すこと。
また「理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書」の再質問への再回答と質疑、スラリー関係など再質問への回答と質疑、2号機燃料デブリ試験的取り出し作業中断に関する質疑への回答を行いました。
②「福島第一原発事故13年、事故処理の現状と廃炉のゆくえを考えるつどい」の実施
政府の原子力緊急事態宣言は解除されず、廃炉の最終形態も法的に定義されないまま、デブリの取出しも暗礁に乗りあげ、被曝事故が多発する困難な事故収束作業。政府と東京電力は、『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という約束を反故にして、ALPS処理汚染水の海洋放出を強行、差止裁判も提訴され漁業者はじめ市民の反対が続いています。
2024年は、能登半島地震で幕が開け、志賀原発はじめ柏崎刈羽原発など全国の原発が活断層の危険性と隣り合わせで、避難計画の非現実性が浮き彫りとなりました。
あらためて、原発事故に直面した、私たち市民のこれからを考えた。
・日時 2024年3月30日(土)13:30~16:00
・場所 いわき市文化センター 3F大会議室 (いわき市平堂根町1−4)
・内容 <報告1> 「事故処理の現状はどうなっているか――汚染水、労働者被曝、
放射性廃棄物」 ・おしどりマコ・ケン
<特別報告>「たらちね海洋調査8年の現状」・いわき放射能市民測定室たらちね
<報告2> 「廃炉のゆくえ――中長期ロードマップの現状、廃炉の定義と実現性」
・後藤政志さん (元東芝・原子炉格納容器設計者)
・澤井正子さん (元原子力資料情報室)
③トリチウム等汚染水の海洋放出反対・これ以上海を汚さないで 市民会議のキャンペーン
・毎月13→24日「原発汚染水の海洋放出反対13→24日一斉スタンディング」
・4.13 「国際フォーラム『放射能で海を汚すな!福島の海に生きる人々の声』」オンライン
・7.17「海の日アクション 2024 海といのちを守るつどい」
いわき市小名浜三崎公園の野外音楽堂。
・8.24「グローバルアクション2024」国内、世界。
・10.1「ALPS処理汚染水差止訴訟」第3回口頭弁論、福島地裁。
④アサツユの月1回発行・配布
●それぞれの団体・個人の取り組み
2、2025年の活動の柱
●脱原発福島ネットワークとしての取り組み
① 東電交渉の継続→労働者の被曝事故・待遇改善、デブリ、廃炉、汚染水、スラリー、ほか
② 汚染水海洋放出中止→これ海24日スタンディング・海の日AC、汚染水差止訴訟
③ 「原発事故から14年 福島に生きる私たちの未来」の開催→
・3月29日(土)13:30〜16:15 いわき市文化センター
・報告1「事故処理と廃炉の行方」、報告2「福島の現状と私たちの命と暮らしを守る」
特別報告「たらちねの海洋調査の現状」 トークセッション
④ アサツユ発行→エッセー執筆12人、郵送料値上げにより1部200円(年間2400円)。
●それぞれの団体・個人の取り組み
*脱原発福島ネットワーク
1988年の創設以来、福島第二原発3号機の再循環ポンプ破損事故と再稼動反対・廃炉要求、福島第一原発7、8号機の増設反対や軽水炉でプルトニウムを燃やすプルサーマル計画に反対する「ストップ・プルサーマルキャンペーン」の結成および県民署名運動の展開、原子力発電所の地震対策や津波対策、老朽化対策、度重なる事故やトラブルなどの原因追求、東京電力と毎月交渉する活動や監視活動を30年間続けてきました。2011年の福島原発震災以降、東電告発プロジェクトと被曝者援護法プロジェクトにより福島原発告訴団などを推進し、東電元3幹部の刑事起訴、禁固5年の求刑に至りました。