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創世会の行政視察、岡山市「岡山市立市民病院の運営について」

 10月6日、いわき市議会創世会の行政視察で岡山市に伺い、岡山市立市民病院の運営について、調査研修させていただきました。
 以下のテーマで、地方独立行政法人岡山市立総合医療センターの法人本部理事長先生並びに市民病院の院長先生はじめ担当者の皆様からご説明並びに意見交換いただき、「24時間365日断らない救急」を目指すERはじめ施設もご案内いただきました。ありがとうございました。

[調査事項:岡山市立市民病院の運営について]

1、第3期中期計画及び公立病院経営強化プランの概要について
・経営形態が独立行政法人となったことでのメリット、デメリット
・医師看護師等の確保と働き方改革
・財政収支における黒字化の取り組み
2、令和7年度計画の進捗状況

[調査の質問事項とご回答]

質問①収支改善にかかる取り組みについて

回答
○岡山市立市民病院の令和6年度決算
  ・経常収支から経常費用を差し引いた経常損益は5.7億円の赤字。
  ・医業収益は過去最高となり、赤字額は令和5年度から若干改善しているものの、物価高騰や人件費増加等の影響で費用も増加し、コロナ禍以前の経常損益と比べると、大幅に悪化している状態となっています。
→収支改善に向けて、重点的に取り組んでいるもの
[収入]
・入院患者の在院日数が伸びないように注意し、入院単価の改善に努めています。
・運用益を見越した国債等への投資。今年度から10億円。
・増患のためのYouTube チャンネル及び公報LINE 開設等の広報活動。
[支出]
・医療機器等、必ず必要なもの以外は購入しないよう努めています。

岡山市立市民病院の給与費、材料費の推移

・独立行政法人化後は、人事院勧告は適用していない。
・独立行政法人化後は、医師数が1.5倍になった。

質問②選定療養費について
 本年4月から光熱水費の高騰や諸経費の上昇及び療養環境の改善に伴う「室料差額」の料金見直しを実施しましたが、価格引き上げに対する、患者さん等の反応や収益効果等について。

回答
・室料差額引き上げに対する患者さん等の反応
→変更初月は患者さんからの質問がありましたが、光熱水費の高騰や諸経費の上昇等への理解をいただいており、今のところ大きな問題はございません。
・収益効果
→前年度に対して、約20%前後の増収となります。
・診断書料などの「保険給付外サービスの料金」引き上げについても検討しているのか。
→検討中。市内の総合病院を調査中。

質問③材料費、薬品費等の削減対策について
 医療資機材の調達に関して、工夫している点。

回答
・医薬品・医療材料の購入選定は、薬事委員会・物流委員会で行い、採用の適否・削除等を審議しており、原則一増一減で採用を決定しています。価格交渉は、経営コンサルタント業者のベンチマークを活用して行なっています。
・医薬品の価格交渉は、ベンチマークを活用して薬価改定時及び新規採用時に価格交渉を行なっています。また、新規発売されたバイオシミラー品や後発品については、薬剤部と協力し速やかに切り替えを行なっています。
・医療材料の価格交渉は、基本的にはSPD業者に委託しています。当院でも償還価格が据置で定価が上がっているため、一部で仕入れ価格が逆ザヤとなっているものもあるが、同等品への切り替えや同種の製品の集約を行い、購入価格の削減を実施しています。
・在庫管理の無駄を省く。

質問④入退院管理支援センターでのベッドコントロールについて
 高い病床利用率を維持していくための情報共有や運用について工夫している点。

回答
・ベッドコントロールは主に入退院管理支援センター看護師が行なっています。夜間休日は、管理師長が当番で実施。
・ベッドコントロール看護師は、全ての病棟の入院状況を把握し、各病棟間の転棟患者についても調整する。当日のベッドスケジュールを毎朝各管理師長と共有・調整しています。
・クリニカルパスについては、医事課の事務業務として管理しています。作成・修正は、医師・看護師と協力して行なっています。日数の設定は、DPCⅡの期間内で原価等を考慮して設定しています。また、DPCについては、入院当日または翌日に決定し医師・看護師が早期に退院日の目安として活用できるように取り組んでいます。ベッド状況やベッド稼働予測等の情報は、ベッドコントロール事務が担当しており、院内のホームページにて全職員が共有しています。

質問⑤地方独立行政法人化後の病院運営等について
・独法化に至った経緯、背景。
・不採算医療等に対する一般会計からの繰入れ金の状況、運営費負担金。
・独法化後における医療職待遇の変化。
・事務局職員の一般行政職との人事交流状況。
・独法化したことによる効果、課題。

回答
・独法化に至った経緯、背景
 平成18年6月、厳しい経営状況や施設老朽化の進行、市内に病床数400床以上の病院が6病院ある現状から、岡山市立市民病院あり方検討委員会を設置して検討開始。
 平成19年1月、検討委員会が市民病院の地方独立行政法人化が、必要とされる医療を提供し将来的にも市民負担を抑制する方策として最も有効な手段になり得るとの提言。
 平成24年2月、せのお病院と合わせて、平成26年4月に地方独立行政法人岡山市立総合医療センターの設立を決定。平成27年5月、新病院開設。
 
・不採算医療等に対する一般会計からの繰入れ金の状況、運営費負担金
 病院の建設改良に要する経費や救急医療の確保に要する経費などについて、運営費負担金を交付している。平成25年度(直営)11億1,625万円、平成26年度(独法化)10億2,126万円、平成27年度(新病院建設)11億8,583万円、令和元年度14億2,434万円、令和2年度10億8,557万円、令和4年度9億1,750万円、令和6年度8億9,909万円。

・独法化後における医療職待遇の変化
 独法化前に比べて、現場の実態に即した諸手当の創設など容易に行うことができている。働き方改革で、医師が自身の週の勤務時間を36〜40時間の間で任意に決定でき、かつ週36時間長の勤務時間に対し固定時間外手当を付与する、柔軟な制度設計を行うことができている。

・事務局職員の一般行政職との人事交流状況
 法人職員の岡山市への派遣は、これまで行なっていない。

・独法化したことによる効果、課題
 効果は、人員配置の自由度が高まったこと。岡山市の定員規制や人事制度に縛られず、病院のニーズに応じた多様な職種・勤務形態を設定したり、随時採用活動が可能になった。独法化以降、看護師は1.5倍に増員された。
 財務面では、中期計画の範囲で柔軟な予算運用を行えるようになった。薬剤購入方法を見直して費用削減につながっている。
 課題は、岡山市で、市民病院の経営や実務に精通した職員が減少していること。市の法人担当部署は、市民病院での勤務経験のある市職員が減少し、病院運営の実情把握に苦労している。

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by kazu1206k | 2025-10-07 22:00 | 議会 | Comments(0)