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東電株主代表訴訟、上告受理申立て理由書を提出

 11月6日、東電株主代表訴訟は、東京の司法記者クラブで会見し、10月10日に書面提出した「上告受理申立て理由書」等について、弁護団長の河合弘之弁護士、海渡雄一弁護士、甫守一樹弁護士、大河陽子弁護士らが説明しました。
 東電株主代表訴訟は、東電元役員ら被告4名の東京電力福島第一原発事故の責任を認め、13兆3210億円を支払うよう命じた一審判決を取り消した、東京高裁の控訴審判決を不服として、上告期限である6月20日、上告の提起及び上告受理申し立ての提出を行いました。
 上告審は、裁判所が上告に理由がないと考えるときは口頭弁論を開かなくてよいことになっており、控訴審以上に、上告理由書で裁判官に原判決に誤りがある、破棄する必要があると考えさせられるかが重要です。
 上告裁判所が最高裁判所の場合は、上告理由は憲法違反と特定の手続上の違反だけで、その代わりに判例違反と法令の解釈に関する重要な事項を含むときに上告受理申立という最高裁独特の手続があり、今回、東電株主代表訴訟は上告受理申立てに絞ることにして、上告を取り下げました。

 以下に、「上告受理申立て理由書(第1分冊~第3分冊)」の要旨を紹介します。

⚫️10月10日提出 上告受理申立て理由書(第1分冊~第3分冊)
 
・理由要旨
1 過酷事故が生じた場合の被害の甚大性と電力供給義務の重要性とを当時の知見及び社会通念に照らして比較、検討した原判決は、安全の確保を旨とした原子力基本法2条に反する誤りがあり、また社会通念の評価についても誤りがある(第2分冊 第1)。

2 会社法423条1項の任務懈怠責任について、取締役の判断過程の審査を捨象し、実質的な判断代置方式によって判断した原判決には、経営判断原則にしたがった審査を行うべき会社法423条1項及びこれについての最高裁判例に反している(第2分冊 第2)。

3 10m盤を超える津波が想定される場合の結果回避措置について、原子炉の稼働停止が必ずセットになることを前提とし、相手方らの任務懈怠責任を否定した原判決には、委任の本旨にしたがって過酷事故を防止する義務を尽くすべきとした民法644条の解釈に誤りがある(第2分冊 第3)。

4 過度に高度な予見可能性を要求した原判決には、原子力発電所が引き起こす過酷事故がもたらす被害の甚大性と津波の予測に係る不確実性を十分に考慮しておらず、会社法423条1項その他民事損害賠償責任の前提となる予見可能性の程度に関する判断の誤り及び環境基本法4条に反する誤りがある(第2分冊 第4)。

5 会社法423条1項において具体的な法令違反が問題となる場合に取締役の法令違反の認識可能性の立証責任を原告側に課した原判決は、同条項の立証責任についての解釈を誤り、電気事業法39条1項及び省令62号4条1項による技術基準適合維持義務違反を見過ごした誤りがある(第2分冊 第5)。

6 福島第一原発事故前には求められる安全性のレベルが同事故後よりも低かったことを前提としている原判決には、同事故前後の原子力関係法制についての解釈に誤りがある(第2分冊 第6)。

7 原判決は、相手方らの善管注意義務違反の判断において、相手方らが、原子力発電所の安全性に係る重要な情報を隠蔽・秘匿し、規制機関に対して情報提供しなかったことが、伊方最高裁判例に反し、また、電気事業法40条に反することについての検討・判断をしておらず、原判決は最高裁判決に反し、また、法令の解釈に関して重要な誤りがある(第3分冊 第1)。

8 原判決は、相手方らの善管注意義務違反の判断において、危険増大型施設の事故について、あえて危険を増大させてまで設置した施設である以上、常に安全を確保すべき義務がより高まっている領域であることに鑑み、特段の合理的理由がない限り、管理瑕疵が認められるという最高裁判例が示してきた標準的な規範から大きく逸脱した判断を行っており、最高裁判例違反である(第3分冊 第2)。

・専門家意見書(五十音順、敬称等略)
 ■伊藤雄司(法政大学法学部教授)
 ■内田樹(思想家)
 ■大塚正之(弁護士、元裁判官)
 ■佐藤嘉幸(筑波大学人文社会系准教授)
 ■下山憲治(早稲田大学法学学術院教授)
 ■谷井悟司(中央大学法学部准教授)
 ■濵田信生(元気象庁職員、元原子力安全基盤機構(JNES) 技術顧問)
 ■樋口英明(元福井地方裁判所部総括判事)
 ■福井秀夫(都市開発研究所主席研究員)

・その他
・上告提起については10月10日付けで取下げ
・2012年に証拠保全申立て、その後和解により裁判所に保管されている東電テレビ会議の記録について、裁判所での保管を求める上申書提出(10月16日付)。

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by kazu1206k | 2025-11-06 22:17 | 脱原発 | Comments(0)