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79回目の憲法記念日

 5月3日は、79回目の憲法記念日。
 ウクライナ、ガザ、イラン等各地で戦争が続き、市民の命と生活に深刻な被害が出ています。米国トランプ政権は、次々と主権国家に軍事攻撃を行い、戦後体制を根底から覆す帝国主義的凶暴性をあらわにし、多極化が進む世界が、ますます不安定な情勢に突入しました。
 日本政府は、2015年の安全保障法制により集団的自衛権の行使を閣議決定による憲法9条の解釈変更によって可能にし、2022年閣議決定された安保三文書に基づき、敵基地攻撃能力の保有、南西諸島へのミサイル配備など台湾有事に向けた準備を進め、防衛装備移転=武器輸出の拡大が図られていました。現在、政府・与党において、安保三文書の見直し、高市総理の「時は来た」の掛け声のもと、憲法改正の実現に向けた動きが加速しています。
 アメリカとイスラエルのイラン軍事攻撃による原油危機が世界経済に大きな打撃を与え、国内のでは、格差の拡大、貧困の深刻化の中、諸物価の高騰が人々の暮らしに大きな打撃を与え、日本で暮らす人々の生存権が脅かされています。

 日本国憲法は、アジア太平洋15年戦争の敗戦を受け、1947年5月3日に施行され、主権者である国民が国家権力を縛るという立憲主義の下で、個人の権利を保障するため国家権力を規制する最高法規です。 
 日本国憲法の前文は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という日本国憲法の三大原理を唱い、平和主義、個人の人権として平和的生存権を強調しています。
 平和主義の憲法9条と社会権である生存権を国民に保障し、国にその向上と増進を求める憲法25条の重要性が示されています。
 
 日本国憲法が施行されてから79年目の憲法記念日に、改めて、日本国憲法の三大原理を心に刻み、日本の現状を凝視し、人々の命と暮らしを守るために、決意を新たにするものです。

 5月3日に、日本弁護士連合会が公表した会長談話を、ご紹介します。


憲法記念日を迎えるに当たっての会長談話

本日、日本国憲法が施行されて79年目の憲法記念日を迎えました。

日本国憲法は、戦争の惨禍に対する深い反省の上に、国民主権、基本的人権の尊重及び恒久平和主義を基本理念として定め、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにするとの国民の決意を明らかにしています。当連合会もまた、これまで一貫して、この憲法の基本理念を擁護し、その実現に努めてきました。

しかし今、世界では多くの武力紛争が続いています。ウクライナ、ガザ、イラン等各地における紛争で多くの市民の命と生活が奪われ、子ども、高齢者、障害のある人を含む数多くの市民が深刻な被害を受け続けています。紛争の拡大・長期化が憂慮される中、市民が犠牲となる痛ましい事態が後を絶たず、家族を失い、住み慣れた家を破壊され、日常を奪われ、避難を余儀なくされている人々の苦しみに、私たちは深く思いを寄せたいと思います。このように、戦争においては、常に市民に大きな被害が生じます。

当連合会が繰り返し指摘してきたとおり、平和は基本的人権の基礎であり、戦争は最大の人権侵害です。戦争は、人の生命を奪うだけではなく、平穏に暮らす権利、家族とともに生きる権利、学ぶ権利、働く権利、医療を受ける権利など、あらゆる人権を根底から破壊します。だからこそ、日本国憲法の恒久平和主義や国連憲章等の条約・国際法の遵守を定める規範は、単なる理想ではなく、人間の尊厳を守るための現実的な「法の支配」の規範として、今こそ重く受け止められなければなりません。

2015年の安全保障法制は、政府自身が従来許されないと解釈してきた集団的自衛権の行使を、閣議決定による憲法9条の解釈変更によって可能にしようとし、さらには、2022年12月に閣議決定された安保三文書に基づき、いわゆる敵基地攻撃能力ないし反撃能力の保有が進められ、防衛装備移転の拡大も図られています。

そして、現在、政府・与党においては、安全保障環境の変化を理由として安保三文書の見直しが検討され、与党は憲法改正の実現に向けた取組を進める方針も示しています。

このような国の安全保障政策や憲法秩序の在り方に関わる問題は、立憲主義の下、国会における十分な審議と国民的議論によって慎重に検討されるべきものであり、ましてや、時々の政治的要請に基づいて、閣議決定により決められるべきものではありません。

戦争による市民の苦しみを目の当たりにする今、私たちに必要なのは、戦争の被害を受ける人々の痛みに真に向き合うこと、武力によらない平和の構築に向けて、外交、対話、国際協調、人道支援及び国際法を尊重し、遵守することであり、日本国憲法が掲げる恒久平和主義は、まさにその方向を指し示すものです。

当連合会は、昨年12月の人権擁護大会で「戦争をしない、させない 長崎宣言」を採択しました。戦争の被害を受けている全ての市民に深い連帯と哀悼の意を表するとともに、法律家団体として、日本国憲法の恒久平和主義、基本的人権の尊重及び立憲主義の理念を堅持し、その実現のために今後も全力を尽くす決意です。

2026年(令和8年)5月3日
日本弁護士連合会
会長 松田 純一

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by kazu1206k | 2026-05-04 21:17 | 平和 | Comments(0)