原発隣接自治体議員からみた原子力安全行政 原子力委員会に改善を求める、政策評価のご意見を聴く会
2006年 06月 09日
わたしのところに原子力委員会の担当者からメールが届いたのが5月22日。
これは、昨年8月、国の原子力推進のための「原子力政策大綱の意見を聴く会」に参加して、反対意見を述べたためだ。
この種の会が、結局、反対意見も聞きましたという、国の原子力推進策の露払いにしかならない、という批判も当然だが、誰かがきちんと言うべきことは言わねばならない、との想いで参加し発言している。
今回は、原子力安全行政がテーマ。
原発立地県の県民としては、大いに意見があるところだ。
今日は、150名程度の参加者。相変わらず事業者系の参加者が多かった。
3名の有識者がそれぞれ15〜20分の発言後、事前通告の12名が3分以内という制限のもとで、それぞれ意見発表したが、原発の賛否をこえて共通していたのは「高経年化対策」、つまり老朽化だ。
私の発言の要旨は以下の通りです。
原発隣接自治体議員からみた原子力安全行政の評価、を述べます。
いわき市は、東京電力福島第二原発に15キロメートルで隣接する自治体であります。
防災上重要な範囲=EPZに入っておらず、安全上の諸問題についても、保安院や事業者から便宜的な事象連絡のみで事情説明もない、原子力安全行政の光が及ばない、谷間の区域です。
そこで、原発隣接自治体議員から原子力安全行政の評価をさせていただくと、現状は「三ない」の評価になります。
「三ない」の 1点目は、安全分析・調査研究があてにならいこと。
大きくは耐震対策の遅れ、定期事業者検査も2F-3号機の再循環系配管の亀裂のように欠陥を発見できず、維持基準制度の前提が崩壊している実態があります。
1F-6号機等のハフニウム制御棒の破損、1F-3号機金属片未回収運転等の過小評価。
高経年化対策の定期安全レビュー制度も、1F-1〜5号機のレビュー撤回のように欠陥ありです。
2点目は、住民への説明責任を果たしていないこと。
隣接自治体や立地県民への説明責任を果たさない広聴・広報の体制の実態。
3点目は、自治体の要望を受け入れないこと。
知事が再三再四要望する原子力安全・保安院の経産省からの分離。独立性の確保。
原子力防災対策の実効性の確保が依然問題であり、EPZ30キロ圏への拡大など自治体要望を受け入れるべきではないか。
これら「三ない」の改善をぜひともお願いしたいと思います。
さらに、有識者の発言を聴いて、抜けている問題をのべます。
それは、被曝労働の問題です。
下請け孫請けの現場作業をしている労働者の実態です。
昨年も落下事故で労災事故が発生しましたが、労働安全衛生法さえ遵守されていない実態があるのです。
東電は他の会社のことだと言って、調査報告書さえ公開しない、この原子力安全行政の実態を改善しないといけないのです。