南部清掃センター談合事件、独禁法違反の審決下る。市は毅然と損害賠償請求を。
2006年 06月 29日
経過を振り返ると、1997年9月に、214億円で契約されたいわき市南部清掃センター建設工事は、事前に談合情報があり、市当局が事情聴取し「契約解除」を含む誓約書をとった上で、情報どうり三菱重工業(株)が落札したものだが、公正取引委員会が、1998年9月、自治体のゴミ焼却炉入札談合疑惑でプラントメーカーに立入検査、同12月いわき市に対する工事発注と契約についての報告依頼をした上で、三菱重工業(株)を含む5社に対し、独占禁止法の規制対象である「不当な取引制限の禁止」に違反するとして、排除勧告を行った。これを不服とした5社は、裁判にあたる審判に持ち込み、審決にも2度異議を申し立てるなど7年にわたって抵抗してきたもの。
214億円で契約されたいわき市南部清掃センター建設工事は、同時期に同規模の性能を持ち129億円で契約された岡山市のプラントに比べ、トン当たり単価が約2倍弱の高値になったため、市議会でも大きな議論をよんだ。
本件契約は、談合情報への対応が不十分ではなかったか、機種や業者の選定に問題はなかったのか、落札価格が予定価格に限り無く近い99.86%で高止まりしているため、業者の入札談合疑惑が消えず、市民は「いわき市は100億円も高い買い物をしたのではないか」という疑問を持ち市民運動を続け、訴訟に至っている。
「経済憲法」ともいわれる独占禁止法に違反する本件について、
1999年当時、市民グループは、①市長は、経過の問題点・今後の対応・事件への行政としての責任を明らかにすべき。②市長は、三菱重工業(株)に対し、不正防止と業界の競争喚起のため、誓約書に基づき契約の解除や損害賠償請求などの厳しい処置をとるべき。と署名運動を行い陳情などを行った。
今後、公正取引委員会は、三菱重工業(株)を含む5社に対し、談合が行われた約9600億円の受注について課徴金納付を命ずることになる。
いわき市としては、審決が出た以上、三菱重工業(株)との協定書にもとづき損害賠償を請求するという毅然とした態度が必要である。