許されない!福島原発でのトリチウムの大気と海への放出
2006年 08月 12日
東京電力によると、7月30日から8月5日まで、福島第一原発4号機で自然界の26万倍の高濃度の放射性物質トリチウムが弁の開閉のミスにより、第一原発6機全ての純水補給水系に流入し、洗浄水として使用され海に排出されたほか、ボイラーから蒸気として大気中に放出されるトラブルが発生していた。
ところが、東京電力は11日になって5日の放出停止の発表を取り消し、配管経路の把握ミスで、トリチウムを含んだ蒸気が11日まで大気中に放出され続けていたと、あらためて放射性物質が放出され続けていたことを発表した。
東京電力はこの放射性物質の環境への大量放出という一連の事態を、住民はじめ県や立地町に7日間連絡しなかった。
7月30日から8月11日までに発電所外に放出されたトリチウムは470億ベクレルという。多重防護を宣伝する東京電力は、環境中にこれだけ高濃度の放射性物質トリチウムを放出していながら、トリチウム濃度や放出量が法令や保安規定より低いため、周辺環境や人体への影響はないからだという。
しかし、はたしてそうか。
人体と環境に影響がある放射性物質を放出しておきながら、それを1週間も住民はじめ県や立地町に通報しないというのは、安全・安心の側にたった判断とは言えない。
2000年の不正事件以降も東京電力の安全にたいする企業体質は依然として変わっていない。
福島県が2000年の不正事件の風化を懸念し情報公開の徹底を東京電力に対し申し入れたことは当然だ。
私たち市民は東京電力に厳重に抗議するとともに、今月21日の東京電力との交渉で今回の事態の究明と対応について県民への釈明を強く求めていきたい。