北朝鮮の核実験予告と日米安保戦略
2006年 10月 07日
この北朝鮮の核実験予告に関し国連安全保障理事会は7日、北朝鮮に核実験の中止を求め、実験が実施されれば安保理が追加措置を取ると警告する議長声明を全会一致で採択した。
これには、中国の要請で平和的手段で朝鮮半島の非核化を実現するという6カ国協議を安保理が支持することも盛り込まれたが、日米は核実験実施の場合、米国が求めている制裁発動の根拠となる国連憲章第7章に基づく制裁決議採択を目指す方針だという。
去る8月東京で、日米国防族と日米英そしてイスラエルの軍需産業が参加した「日米安保戦略会議」第8回会議が開催された。ミサイル防衛を日米共同で早期開発するために、「日米でお互いに自国のはらわたまで見せ合うことが必要」として、集団的自衛権の行使や日米共同作戦を射程に入れ、「機密漏洩」の防止のため「軍事秘密一般保全協定」=「GSOMIA(ジーソミア)」の制定が目論まれているという。旗振り役は、戦略会議の主催団体である「安全保障議員協議会」の副会長を務める久間章生新防衛庁長官だ。
コーエン前米国防長官が北朝鮮のミサイル発射実験を指して、「北朝鮮の金正日はよくがんばってくれた」と話したのに対し、会議の司会者である宝珠山昇元防衛施設庁長官は「いや、これからもっと頑張ってもらわなければ」と応じたという。
3日の米下院情報特別委員会は、「北朝鮮の軍事的能力 やその影響を分析した報告書を公表、同国が核実験に踏み切った場合、「日本、台湾、そして恐らく韓国を独自の核兵器計画に駆り立てる可能性があり、 地域安全保障に深刻な影響を与えかねない」と警告した。北朝鮮の核兵器保有が北東アジア地域の核軍拡を招きかねないとの分析は珍 しくないが、米議会の報告書が日本の独自核計画着手の可能性に具体的に言及 するのは異例」と時事通信が報じた。
日本および米国政府は、北朝鮮の核開発・ミサイル発射を利用して、日米共同のミサイル防衛の早期開発を行い、集団的自衛権の行使や日米共同作戦を射程に入れている。
北朝鮮の民衆が飢餓に苦しみ、日本による過去の戦争も未解決であるなか、マスコミは感情的反応を煽るべきではない。
達成すべきは、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和である。