東電のデータ改ざん、福島県は国に原子炉規制法による厳正な処分を求めるべき
2007年 02月 14日
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福島県知事 佐藤 雄平 様
福島県議会議長 渡辺 敬夫 様
要 望 書 (東京電力のデータ改ざん・ねつ造問題について)
平成19年2月14日 脱原発福島ネットワーク
(要旨)
1、 国に対し、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に違反したプラントは、設置許可の取消しまたは運転停止の厳正な処分を求めること。
2、 東京電力に対し、1年間の運転停止処分受けながら再犯の福島第一原発1号機の設置許可の返上を求めること。
3、 国に対し、原子力行政における規制と推進の分離をはかるため、日本版NRCともいうべき各省庁から独立した規制権限をもつ独立行政委員会の設置を求めること。具体的に、①原子力安全委員会を国家行政組織法の8条委員会(諮問機関)から公正取引委員会同様の3条委員会とする。②原子力安全保安院は経済産業省から内閣府に移行する。③事故トラブル時の調査委員会は航空機事故調査委員会設置法にならい厳密に第3者性を保証する。
4、 県は、原子力安全対策グループに、原子力保安専門官を配置すること。
5、 県は、東京電力との「発電所周辺地域の安全確保に関する協定」を改定補強すること。具体的に、①事前予告なしの立ち入り調査権、原記録の提出や閲覧持ち出し権の追加。②調査結果に伴う改善勧告権の追加。③安全確保技術連絡会安全対策部会の強化、原子力に批判的な学識経験者の委員への指名。④住民による調査請求権の追加。⑤労働者被曝低減の追加。⑥違反時の罰則規定の追加。
(理由)
日頃より原子力行政の発展のためにご尽力を賜り厚く御礼申し上げます。
1月31日、とうとう東京電力は、非常用発電機、ECCS、総合負荷性能検査、安全保護系設定値確認検査、原子炉停止余裕検査などの法定検査に関するデータ改ざんねつ造が199件もあることを公表しました。
福島第一原発では、全機で総合負荷性能検査を1977年から2002年まで20年以上改ざんを繰り返し、ECCSでは福島第一原発の6基で79年〜2002年まで日常的に改ざんされていたのです。電気事業法及び原子炉等規制法に基づく法定検査等のデータ改ざん、偽装、ねつ造…まして福島第一・1号機は、格納容器漏洩率の不正で1年間の運転停止処分を受けたプラントであり、もはや設置許可取り消しに該当する事案です。不正は、原子力ばかりか水力火力と全部門であり、明確な法令違反が行われていました。まさに不正企業です。
東京電力は、2002年の不正事件の時も、第3者機関による徹底的な究明と責任の所在の明確化が問われましたが不徹底に終わりました。不正体質の蔓延、繰り返される法令違反に、経営のトップ勝俣社長は、この改ざんと偽造を「生活の知恵的なものではないか」と発言して恥じる所がありません。
企業倫理の欠如です。ふつうの企業であれば経営不振から倒産に至るケースさえ考えられる所ですが、地域独占企業のため安穏としています。
保安院は3月1日まで、再発防止対策の報告を求めていますが、保安院が何も見抜けず、むしろ放置してきた保安院の責任も重大です。不正の背景にあるのは、国と事業者の一体となった原子力推進体制です。原子力の推進と規制が一緒であるというおかしな行政機構が続く限り、不正はなくなりません。
国は保安院の経産省からの分離を決断すべきです。
いまこそ、保安院を改組し、米国原子力規制委員会並みの独立した規制機関として、十分に専門家を配置し、国民の安全を確保すべきです。
福島県においては、維持基準の導入やプルサーマルの論議など、到底ありえない話であります。
つきましては、県民の安全・安心の確保のため、今回の東京電力のデータ改ざん問題について、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に違反したプラントに対する厳正な処分を求め、国と事業者に対し毅然たる態度で臨むよう、特段のご配慮をお願い申し上げます。