新潟県中越沖地震の柏崎原発被害で見えてきた原発震災の現実
2007年 07月 26日
隠されたその実態が少しずつ明らかになってきている。
波打つ敷地内の地盤、荒々しい隆起と沈降の傷痕をみせる構造物と破損したダクト、台風の時の荒海のように波打つ使用済燃料プール、原子炉建屋の圧力容器上のクレーンの破損…・
柏崎刈羽原発は敷地内の地盤も配管も機器も炉内の構造物も重大な損傷を受けた。
原子力発電所が地震で大事故を起こし、通常の震災と放射能災害とが複合・増幅しあう破局的災害である「原発震災」の現実がそこまで来ていたことが見えてきた。
日本海東縁から山陰地震帯の柏崎刈羽・若狭湾岸・島根、スラブ内地震型の地震が起こる女川・福島・東海・伊万、東海地震の予想震源域の浜岡と、地震列島=日本の原発のほとんどは、もともと地震に直撃されやすい場所にある。
そして、いずれも原子炉設置許可の際、 過去の地震や既知の活断層しか考慮せず、マグニチュード6・5までしか考慮してこなかった。
このままでは、日本中の原発どこでも、想定外の地震に襲われる可能性がある。
しかし、想定外の事態のため電力会社は対処できず、最悪の場合、炉心溶融などの過酷事故、水蒸気爆発が起き、炉心の放射性物質が環境中に放出されることが想定されよう。
ここで発生する原発震災は、膨大な急性、晩発性の死者を生み出し、国土の喪失、社会の崩壊、未来世代まで甚大な影響が想定される。
中越沖地震の発生で、政府と東京電力による、「原発は耐震設計審査指針で耐震性が確保されているから大地震でも大丈夫」いう論理は現実の前に破綻した。
柏崎刈羽原発に反対する地元の住民団体が、33年間にわたって指摘し続けきた、地震想定の甘さが現実のものとなり、国も想定の甘さを認めるにいたった。
住民団体は、「中越沖地震の発生で、柏崎刈羽原発の設置許可の前提の地震想定の誤りが証明され、許可は無意味となった」としている。
塑性変形した可能性が高い機器や建屋など現在の施設の再使用は、あり得ないと考えるのが順当だ。
いまこそ、原子力の本質的な恐さを見据えることが肝心である。
新潟県中越沖地震によって柏崎刈羽原発で何が起きたのかを東京電力は隠蔽することなく全てを公開しなければならない。
敷地内の地盤、配管や機器、炉内の構造物の損傷をくまなく総点検しなければならない。
それを踏まえて、国の杜撰な新原発耐震設計指針は見直さなければならない。
地震列島=日本の原子力政策は、根底から考え直す必要に迫られている。
中越沖地震では、海底から陸側へゆるく傾いた活断層が動いて生じたと報道されていたが、実はそこから派生して原発方向へ延びる陸の活断層も動いていた。。。。。。。。