新火葬場、維持管理費の受益者負担は、市民への新たな負担転嫁
2007年 09月 10日
「いわき市火葬場条例の改正」は、建設中の新火葬場いわき清苑が平成20年4月から供用開始予定のため、その管理運営に指定管理者制度を導入すること、火葬場使用料の見直しによる新料金の設定を行うことなどが改正の内容である。
施設使用料については、これまで本市住民は平、内郷、小名浜の3火葬場は無料であったが、新火葬場いわき清苑はこれまでにないサービスができるとして有料1万円とする提案だ。
市民の間からは、「新火葬場と勿来火葬場との使用料の差額が1万円となり不公平」という声がある。公平性の観点から両火葬場の使用料設定に整合性はあるのか、という疑問の声だ。また、指定管理者制度の導入について、行政の関与が間接的なため葬祭に係る個人情報流出が不安だという声や中心業務である火葬業務を担える管理者が限定されることから競争原理が働きにくいとの指摘もでている。
マスコミからも「人生の最後の場は無料でもとの声が聞かれる。他市の状況を参考にすることも行政として大事なことだが、ここは右にならえでなく、市の独自性も必要だろう」との指摘もある。
平成16年12月議会で、環境部長は「利用料金や指定管理者制度の導入など施設の管理運営については、市民サービスの観点や管理運営の効率性などを踏まえ、今後検討したい」と答弁した。経緯をみても、施設名称は検討委員会を設立して答申を得たものの、管理運営について検討委員会を設置して、専門家、学識経験者、市民から意見を聴取する手続きはとらなかった。
火葬業務は、市民の人生終えんの基礎的サービスであるため無料としてきた経緯からして、新火葬場の受益者負担は、基本施策の大転換である。
厳しい財政の中、設計段階で管理運営費の増額を招かない身の丈にあった設計にしなかった責任は、むしろ行政側にある。
維持管理費を受益者負担とするのは、市民への新たな負担転嫁だ。