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小野町一般廃棄物処分場の埋立容量問題、不本意な調停案受け入れ

 昨年12月13日、いわき市民の水道水源の一つ夏井川上流の田村郡小野町につくられた小野町一般廃棄物最終処分場について、株式会社ウィズウェイストジャパンは、いわき市との公害防止協定第16条の施設の変更に係る事前協議を行わず、処分場の埋立容量を設置許可の85万7,860立方メートルからおよそ10%近い、8万1,862立方メートル増加させると福島県に届け受理された。
 本年2月、この事実を知ったいわき市は、ウィズウェイストジャパンの事前協議無視と福島県の届け出受理に対し、ダイオキシンの汚染をはじめ公害被害を被る下流部としては耐え難いとして、同社と福島県に白紙撤回を申し入れた。さらに、市議会も埋立容量変更を許さないとする反対決議を3月定例会で全会一致で可決した。
 これを受けて、いわき市と小野町、ウィズウェイストジャパンの間で3〜7月まで、4回にわたって3者の協議会を実施したが、平行線に終始したため、協議会の会長である小野町が福島県に対して調停を要請した。
 今月11日に開かれた5回目の協議会で福島県から示された調停案は、①事前協議の対象の明確化。見解の相違があった協定第16条について、3者で共通認識を持つように調整する。②3者協定の見直し。埋め立て終了後の維持管理の安全性を確保するため、平成23年3月末までに3者協定を見直す。③ダイオキシン類の測定。小野町が新たに最終放流口で年1回、事業者が浸出水処理施設の放流口での測定を1回増やし年3回、ダイオキシン類の調査を実施する。④電気伝導率を測定装置の設置。事業者は遮水シートの下の地下水の集水口で採取した水について、電気伝導率を連続測定できる装置を新たに設置し、断続的に測定を行うことの4項目。
 小野町と事業者は、調停案を受け入れるとし、協定第16条の事前協議の対象として埋立容量及び埋立て期間を認めた。
 いわき市は、4項目の調停案について、「水道水源としての夏井川の安全性に対する監視の強化と将来における事案の再発防止の2つの観点が組み入れられている」と判断。小野町から「今後増量を考慮する状況にない」「事業者への土地の賃貸契約については延長は考えていない」との説明をうけ、これらを踏まえて、県の調停案を受け入れ、近く小野町と事業者との3者による確認書を作成すると、10月19日発表した。
 今回の調停案受け入れは、市議会の反対決議による要請活動が後押しになったものの、同処分場の埋立て容量変更の撤回にはいたらず、市議会はじめいわき市民にとっては不本意ものとなった。昨年12月13日、事業者からの変更届を福島県が軽微な変更として受理し、いわき市に報告したのは今年2月14日だった。福島県の罪は大きい。
 今後、いわき市と市議会は、市民の安全を確保するため、3者協議の見直しや小野町によるダイオキシン測定調査の新たな実施、事業者による電気伝導率の測定装置の設置など調停案に示された4項目の確実な履行実施を迫っていかねばならない。
 いわき市と市議会は、引き続き処分場を厳しく監視するとともに、3者協議の見直しについては、処分場の浸出水処理の管理、異常事態発生時の責任と対応、事業終了後の管理責任の明確化などを具体化させていく必要がある。
by kazu1206k | 2007-10-22 19:00 | 環境保護 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k