活断層上に原発を建設した東京電力経営陣の責任を明確に
2007年 11月 06日
11月6日は、中越沖地震によって被災した柏崎刈羽原発やその被災観測データに基づく福島原発の概略影響検討などについて、3回目の論議。
東京電力福島第一原発・第二原発の広報部は、東京電力が国に提出した柏崎刈羽原発の原子炉設置許可申請書で、活断層を過小評価したことは認めているものの、原発を活断層上に建設した経営陣の責任については、依然として明確にしていない。今回も、「来年3月まで調査が続いている」などと理由にならないことを持ち出し避けた。
中越沖地震を起こした海底活断層は、地質調査所の佐渡南方海洋地質図では、長さを25キロと評価されている。変動地形学の専門家からも柏崎刈羽原発の沖合に36キロに及ぶ海底活断層があり、「東電の設置許可申請書に掲載された資料から容易に推定されるもの」と指摘されている。しかし、東京電力は、これを8キロに切り縮め過小評価してきたのだ。
柏崎刈羽原発の被災観測データに基づく福島原発の概略影響検討についても、基礎版上で観測された床応答スペクトルの数値を使って検討し、「安全」を強調している。しかし、柏崎刈羽原発の岩盤の解放基盤表面はさらに250メートル地下にあり、最大加速度993ガルを示している。福島原発の影響を検討するのであれば、耐震審査設計指針のやり方どおり、解放基盤表面の地震動の数値から検討するのが当り前のやり方ではないのか。
折りしも、東京電力は、新潟県中越沖地震によって被災した柏崎刈羽原発の運転停止により、今期約6035億円の損失を計上して、過去最悪となる950億円の税引き後赤字、28年ぶりの赤字決算となる見込みを公表した。
大幅な業績悪化で、08年3月期末配当は1株あたり35円から30円に減配。1〜7号機の修理費は1615億円。今後実施する耐震補強工事費は今期の計上は見送られた。田村会長や勝俣社長など48人の執行役員報酬を11月以降、10〜20%減らすという。
しかし、この期に及んで、国民の前に経営陣の責任を明確にしないのは、如何なものか。