「障がい者と共に働ける場を」ー障がい者就労の事業所を視察
2007年 11月 07日
これは、市議会市民福祉常任委員会のメンバーが、市内の事業者や福祉施設、教育機関で組織する「いわき市障がい者職親会」の呼びかけに応えて実施したものです。
視察させて頂いた事業所は、福祉サービス事業所「つばさ」さんと村田基準寝具株式会社さんのふたつ。「つばさ」さんは、お弁当の製造と花壇などの環境整備を、村田基準寝具株式会社さんはリネンサプライを事業内容としています。
「つばさ」さんは、社会福祉法人いわき福音協会の事業所で、主に知的障がい者を対象として、就労移行訓練と就労継続などの事業を実施する定員40名の施設です。
このうち、雇用契約を持つ就労継続A型訓練事業は、福島県内初めてで、それが日替わり弁当を製造、宅配する「ひかり弁当部」。現在、12人の利用者が月曜から土曜日の毎日400食を製造、市内の企業などに宅配しています。調理自体は、委託しているそうですが、メニューは「350円」のひかり弁当や550円のデラックス弁当など4品。この日の昼食は、このお弁当。とてもおいしく頂きました。工賃は、一人月額8万円程とお聞きしました。
雇用契約を持たない就労継続B型訓練事業は、地域の園芸農家に出かけて花を栽培して販売、草引きや花壇の環境整備などの委託業務を行っています。年間100件程の仕事量で、こちらは工賃が一人月額2万円程とお聞きしました。
どちらも、利用者の能力と障害の特性を考慮して、職業支援を行い、社会参加と自立をめざしていました。
村田基準寝具株式会社さんは、病院やホテルのリネンサプライを内容とし、全従業員40名の内22名が障がい者の障害者多数雇用事業所です。平成8年に全国障害者雇用優秀事業所として労働大臣表彰を受けました。
創業者が職業安定所からの脱サラで洗濯会社を設立、安定所から知的障がい者の実習受け入れを依頼され、6名を本採用したのがきっかけだそうです。「障がいを持った人と共に働く普通の会社」をめざしています。
工場に勤務する従業員の3分の2が障がい者で構成されています。これは、洗濯業務の工程を細分化し単純作業の積み重ねとくり返し業務に単純化したこと、障がい者の中にリーダーを育成したこと、個々の障がい者の特性にあった適材適所を見つけていることにあると聞きました。みなテキパキと工場作業をこなしている姿が印象的でした。
しかし、「一旦採用したら40年以上給与を払い続ける」というリスクを持って企業は決断していることを忘れてほしくない」と事業主は仰っておりました。
障がい者の継続雇用の壁としては、加齢化、最低賃金の遵守、保護者の高齢化、生活と余暇の支援体制の不備などを挙げていました。
「障がい者の働きやすい環境の会社は、本当に働きやすい普通の会社になるはずだ」という理念に向かって邁進している先進、進取の気鋭溢れる事業所でした。
自立支援法という、障がい者切り捨ての時代に、障がい者が社会で生きるための社会全体のネットワークをどう強めていくか。依然大きな課題です。
こうした中でこそ、事業者や福祉施設、教育機関で組織するこの「いわき市障がい者職親会」の存在意義があると思います。行政としていわき市が雇用の場を創出して欲しいという要望も承りました。
障がい者の人生には、「たすきがけのセーフティネットの構築が不可欠」という言葉が心に残りました。