獣害、イノシシによる梨畑など農作物の被害を見る
2007年 11月 24日
内郷地区は、好間、赤井、平窪、小川などともに、いわき特産の「サンシャインいわき梨」の産地ですが、梨畑がイノシシの被害を受けたのは、初めてと聞きました。
写真のように、梨の木の根本が掘られ、梨畑が全面的に荒らされていました。
近くのサツマイモ畑では1000本のサツマイモが全滅。生産農家にとっては、痛い話です。
猟友会の方の話では、沢の付近に6頭ぐらいいる、といいます。
昨年秋から出没しているため、内郷支所にも昨年12月と今年4月に連絡したが、写真を撮っていっただけとのことでした。
最近では、夕方になると、「庭先まででてくるので怖い」と切実です。
イノシシは、山奥に棲む動物ではなく、もともと人間に近い里山に棲息しています。
肉食獣ではなく、雑食性で、土の中を掘ったり、石をひっくりかえしたりして餌を探しています。
近年、里山の手入れがおろそかになっているために、イノシシが人間の畑まで押し出してきているのが現状です。
中山間地域の活力が失われて耕作放棄地が増加し、農業集落が衰退して、狩猟形態も変化し、イノシシが里山への再び侵入してきました。
防護柵や電気柵も1〜2mはジャンプするイノシシの前には、あまり役に立っていません。
イノシシ被害の特色は狩猟、捕獲しても繁殖力が高く、被害がおさまらないことだといいます。猟友会もいまでは20万人と半減し、年齢構成も高くなってきたといいます。
イノシシ被害を防ぐには、個体管理で駆除が必要なのですが、場当たり的に駆除しても、イノシシが分散し、被害を増やしていることも考えられます。
専門家は、イノシシは、排他的な行動圏で、狭い場所にとどまる性質を持つため、無理に追い立てず、一定の場所に留めることで、生態学でいう「密度効果」によって、個体当たりの資源を減少させ、繁殖も自然に抑制させる方法を進めてはといいます。猟友会と協力して情報を集め、科学的データを蓄積して対処すべし、と指摘します。
イノシシの防護柵などの整備費は、自治体が補助負担しているところもありますが、いわき市は受益者負担です。
今後、いわき市として、猟友会と協力して科学的データを収集すること、JAと協力し実情に応じ役割を分担して、獣害被害を地域として抑制していくことが大切です。
そして、農業と中山間地域の活性化の視点から、山を利用し、人が山に入る方策を考えていかねばならないところです。