南部清掃センター談合事件住民訴訟、地裁で住民勝訴の判決下る
2008年 01月 28日
この金額は、工事契約額225億5400万円の5%相当額。
この住民訴訟は、いわき市の財政運営の公正を確保し、市民全体の利益を保護するため、元衆議院議員の上坂昇さんら市民が起こした住民訴訟である。
上坂昇さんはじめ原告の皆さんの今日までの並々ならぬご労苦に敬意と感謝、そして祝意を申し上げたい。
本件は、三菱重工業(株)など5社による平成9年の自治体のゴミ焼却炉に関する独占禁止法違反事件で、昨年6月、公正取引委員会が談合の事実を認め再発防止などの排除措置を求める審決を行った南部清掃センター談合事件に係るもの。
公正取引委員会が談合を認め排除勧告をした段階で、平成11年「工事請負代金の支出命令差し止め」と、平成12年「いわき市への損害賠償」を求めた代位請求だ。
昨年、原告側が高齢となったため、事業者への損害賠償請求訴訟の円滑な進行をめざして、元市長らへの訴えの取り下げは取り下げていた。
南部清掃センター談合事件では、事前に談合情報があり、事業者から「契約解除」を含む誓約書をとった経緯がある。
平成11年9月市議会に、私たち市民グループは、「残金支払いの一時保留を求める請願」が提出して、市の財政運営の公正確保と市民全体の利益を保護するよう訴え、請願審査の委員長報告では「談合の事実と認められた場合には、市は会社に対し損害賠償を請求すべき」との要望が付言された。
公正取引委員会の独禁法違反の審決に対する東京高裁の審理は、昨年7月結審し判決は出ていない。
しかし、被告の三菱重工業(株)は、いわき市民及びいわき市との今後の関係を考えるなら、東京高裁審理と切り離して、控訴せず、判決を確定させるべきではないのか。
被告の対応を注視したい。
福島地裁判決は、事実の判断の中で、「怠る事実」の存否について触れている。
「地方自治法の規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除することは許されない」として、いわき市が、公正取引委員会の審決の確定まで、損害賠償請求権の行使を控えるのは、「民法709条に基づく損害賠償請求権を有しているのに違法にその行使を怠っている」と指摘している。
いわき市は、市民全体の利益を保護するため、早急に違法状態を解決すべきである。
いわき市は、地裁判決を重く受け止め、損害賠償請求権を行使しなければならない。