不十分な福島原発の耐震安全性評価、第三者評価が不可欠
2008年 04月 05日
東京電力は、従来18キロとしていた双葉断層の活断層を宮城県亘理町長瀞から南相馬市原町区馬場までの47.5キロに見直し、旧指針では対象にしていなかったいわき市の井戸沢断層も新たに対象に変更。「基準地震動」の算出も、最大加速度は370ガルから600ガルに上げましたが、「安全性は確保」としています。
しかし、この再評価は、双葉断層の総延長約70キロを依然として対象とせず、1920年12月の福島第二原発近傍のJR常磐線金山トンネル付近で発生したM6.8の地震も考慮していません。断層の総延長など評価の前提が違えば、基準地震動Ssも大きく変化することから、その不十分性が指摘されます。福島県東方沖地震の震源域断層も震源断層ではないとしており、その客観性も大いに疑問です。
東京電力は、5年も前、柏崎刈羽原発付近の複数の断層を2003年の時点で活断層と判断し、しかもそのうちのひとつが中越沖地震の本震の震源断層と推定される情報であったにもかかわらず、地震発生後長期にわたって沈黙し、国と一体となった活断層隠し、を行っていました。隠蔽による原子炉設置許可の実態は明らかです。
福島原発周辺の断層は、「地震活動を伴う震源断層ではない」と結論づけた、この評価が妥当なのか、その解明と評価の検証作業が必要であり、地質学や構造地震学の専門家による第三者評価が不可欠です。