維持基準の導入は安全軽視!変わらぬ東電の不正体質と保安院の現状
2008年 05月 12日
5月9日、昨年秋に続いて、立地4町の原発所在町協議会が「維持基準」導入の議論再開を県と県議会に申し入れた。これを受け、県議会は、要請への対応を協議、維持基準の議論を再開する、との報道されている。
もともと、原発の機器にひび割れなどが見つかっても安全性に問題がなければそのまま運転を認める「維持基準」は、2002年、東京電力のシュラウドや再循環系配管の自主点検記録改ざん不正事件を受け、経済産業省原子力安全・保安院が再発防止策として導入したものだ。
「維持基準」は、安全よりもコスト抑制を目的としており、福島県や県議会をはじめ原発の安全性確保を求める県民が、国の原発安全規制の大幅後退になりかねないと反対してきた。
2002年に議論の凍結の意見書を国に提出した県議会が、6月定例会中に「エネルギー政策議員協議会を開き、意見集約の議論に入る方針」というが、東京電力の不正体質と原子力安全・保安院の規制能力の現状で、安全・安心が確保されると県民に説明できるのか、甚だ疑問だ。
予測を超えた老朽化の進行の中で、依然続く東京電力の不正事件と原子力安全・保安院の規制能力の現状では、「維持基準」導入の条件は何一つそろっていない。
維持基準導入によって、第一原発7・8号機増設やプルサーマル受け入れの突破口にしようという一部の狙いは、許されるものではない。