条件そろわぬ福島原発での「維持基準」導入、福島県議会は冷静な判断を!
2008年 07月 14日
この日、東電は福島第2原発3号機で2006年2月発覚した亀裂の見落とし以降の再発防止策などを報告したとされ、議員から超音波検査の精度や、データ改ざん以降の東電の企業風土の改善状況についての質疑あったと報道されました。
県議会最大会派の自民党は「維持基準」導入容認の方向、第2会派の県民連合は慎重な立場と意見が分かれているが、維持基準に基づく補修を実施した浜岡原発の現地調査後の意見集約。共産は「エネ協は意見交換、協議の場」として意見集約に反対している。議長は「多数決で決めるようなものではないので、全会一致を目指したい」として7月18日にあらためてエネ協を招集するとの報道。
2006年2月の福島第二原発3号機で交換して切り出した再循環系配管から新たな亀裂が発覚した問題は、溶接部近傍の全周にわたるひびを東電は検査で見逃していたものです。再循環系配管は、原子炉冷却材圧力バウンダリを構成するいわば心臓直近の大動脈ですが、そこに問題があっても検査で把握できませんでした。この全周ひび割れは、福島県の要請によって配管を交換した結果、発見されたものであって、国の「維持基準」で運転継続していれば、発見出来なかったものです。
「維持基準」は検査で異常を察知することが前提ですが、この事態はその前提条件が欠如していることを意味します。安全確保上、看過できるものではありません。
中越沖地震の震源断層を国と一体となって隠すなど依然続く東電の不正体質と原子力安全・保安院の規制能力の現状では、検査体制の問題を含めて「維持基準」導入の条件はそろっておらず、福島原発での「維持基準」導入は強行すべきではありません。
福島県議会は県民の安心・安全の立場から、冷静かつ慎重な判断をすべき時です。