いわき市が南部清掃センター建設工事談合で三菱重工に損害賠償請求
2008年 10月 11日
これは、三菱重工業(株)など5社による平成9年の自治体のゴミ焼却炉に関する独占禁止法違反事件で、平成18年6月、公正取引委員会が談合の事実を認め再発防止などの排除措置を求める審決を行ったのに対し、5社が審決取消訴訟を東京高裁に起こしていました。本年9月26日、東京高裁は5社の審決取消請求を棄却する判決を下したため、これ受けていわき市は、三菱重工業(株)との損害賠償請求に係る協定書に基づき、損害賠償請求を実行したものです。
損害賠償請求額は、本件工事の落札率99.86%から談合5社以外の工事の平均落札率89.76%を引いた差である10.1%を損害額と考え、予定価格の10.1%である22億8109万2020円。これに年5分の法定利息、約9億5961万円を加え、総額は約32億4071万円になります。
本年1月、福島地方裁判所は、本件の住民訴訟で、被告の三菱重工業(株)に対し、損害額11億2770万円と支払日までの遅延損害金の支払いを命じています。この金額は、工事契約額225億5400万円の5%相当額です。
福島地裁判決は、「地方自治法の規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除することは許されない」として、いわき市が、公正取引委員会の審決の確定まで、損害賠償請求権の行使を控えるのは、「民法709条に基づく損害賠償請求権を有しているのに違法にその行使を怠っている」と指摘していました。
いわき市は、この住民訴訟にも補助参加の手続きをとり、仙台高裁に弁論再開の上申書を提出しました。
公正取引委員会が談合を認め排除勧告をしたゴミ焼却炉をめぐる住民訴訟は、全国で13件争われて、昨年末段階で、高裁判決は、福岡市など8件で6勝2敗となり、最高裁判決も3件、すべて原告勝訴。京都市等の高裁判決が確定しています。平成19年4月に最高裁から京都市での談合で、過去最高の工事契約金額の8%の損害賠償を命じる判決を受けた川崎重工は、京都市に損害額18億円に年5分の利子をつけ25億円近くを返還しました。
自治体は、平成18年の公正取引委員会の談合排除の審決以降、高等裁判所に提訴されているのを承知の上で、まず、名古屋市が受注業者に対し、契約額の10%にあたる約44億7600万円の損害賠償請求に踏み切りました。
これを皮切りに、損害を被った自治体が、相次いで事業者に対し損害賠償請求を行ったり、監査委員が自治体に損害賠償を勧告しています。
平成19年3月になると、公正取引委員会は、ごみ焼却炉5社に合計270億円の課徴金納付命令を出しました。