小名浜火力発電所計画に「燃料の転換や規模縮小」の知事意見、9日の一般質問
2008年 12月 11日
石炭の燃料コストは安いものの、化石燃料の中でCO2排出量が最も多く、小名浜火力発電所は、新規に年間228万トンの二酸化炭素を排出する計画です。斉藤環境大臣が、9月の記者会見で「二酸化炭素排出抑制が日本の大きな課題であるときに、そのような計画が国民の皆さんに受け入れられるとはとても思えません」と異例の発言をしています。
前日8日に開かれた福島県環境影響評価審査会では、小名浜火力の環境影響評価準備書について、「発電で二酸化炭素排出量が大きく増えるのは、排出削減を目指す県の取り組みとの整合が図られているとは言えない」とし、「排出を削減するため、抜本的な環境保全措置として燃料種の転換や規模の縮小などを検討するよう」求め、「建設を予定する地域では、すでに大気や水質の一部が環境基準を満たしていない状況にあるとして、重ねて環境影響の回避、低減の必要性を強調」する二酸化炭素の排出削減に向けた措置を強く求める知事意見の原案を了承しました。
「今どき、石炭による火力発電はないと思う」「温暖化対策に対応する施設なのか」「二酸化硫黄など有害物質の発生は大丈夫か」「二酸化炭素排出量抑制の課題を残しての設立には反対する」などの住民意見が出され、来年度から策定予定のいわき市の地球温暖化対策実行計画にも大きな影響を与えるため、いわき市として住民意見を十分反映した対応をすべきではないかと、訴えました。
●「(仮称)小名浜火力発電所の建設計画について」の主なやりとり
⑴ 地球温暖化対策と国、県、市民の動向について
ア 斉藤環境大臣の9月26日記者会見での発言について、本市はどう認識しているのか。
生活環境部長答弁:環境大臣発言の主旨は、「エネルギー安全保障上、石炭火力は否定しない」とした上で、「二酸化炭素の排出抑制対策がとられていない計画は、国民に受け入れられない」と述べられたものであり、今回の火力発電所の建設計画に対して、さらなる地球温暖化対策を求めたものと受けとめております。
イ 経済産業大臣に提出する知事意見について、本市はどのようにみているのか。
生活環境部長答弁:昨日8日午後から第3回県環境影響評価審査会が開かれ、知事意見(案)が示されたところであります。14項目にわたる市長意見については、この県知事意見(案)の中に、それぞれ取り入れられたことを確認したところであります。
特に地球温暖化対策については、当該計画に対して、二酸化炭素の排出削減を強く求める考え方が示され、審査会におきましても、この知事意見(案)が基本的に了承されましたことから、最終的な知事意見も、この方向でまとめられるものと考えております。
ウ 新規に年間228万tの二酸化炭素を排出する小名浜火力発電所の有無は、本市の地球温暖化対策実行計画に大きな影響を与えるのは必至ではないのか。
生活環境部長答弁:地球温暖化対策の推進に関する法律の改正に伴い、中核市である本市においても、地方公共団体実行計画を策定することが義務付けられたところであります。
市総合計画実施計画に位置付けられたこの実行計画の内容につきましては、自治事務となる新エネルギーの導入促進や市民、事業者における省エネルギーの取り組みなどについては明示されておりますが、具体的な内容につきましては、今後、国からガイドラインが示される予定であります。
お質しの発電所における二酸化炭素の排出量の取り扱いについては、それらのガイドラインの内容を踏まえながら、検討して、対応してまいりたいと考えております。
エ 10月27日の住民説明会では、計画を疑問視する意見が出されたが、今後、本市としては住民意見を十分反映した対応をすべきではないか。
生活環境部長答弁:去る10月6日に県に提出した市長意見の取りまとめにあたっては、庁内関係課からの意見に加え、7月24日に開催された住民説明会での意見や、事業者に提出された住民意見を十分に踏まえたものと考えているところであります。
また、市長意見への適切な対応を求める観点から、県への提出後、事業者に対し、直接、内容の説明及び要請を行ったところであります。
ただ今議員お質しの、住民意見につきましては、10月27日の鹿島地区住民に対する説明会での意見のうち、今回の法の趣旨に照らした地球温暖化対策やばい煙対策などの環境保全の観点からのものについては、県に提出いたしました市長意見に含めたものであります。