浜岡原発2基を廃炉、耐震安全性から原発廃炉の時代へ
2008年 12月 14日
東海地震の想定震源域の真上に位置する浜岡原発。
12月13日、中部電力が耐震補強工事のため長期運転停止中の浜岡原発1号機、2号機
の廃炉を検討していることが報道された。
浜岡原発1号機は1976年、2号機は78年の運転開始。配管破断事故で1号機は01年、2号機は04年から耐震補強の工事に入った。炉心シュラウド交換や地震動1000ガルの強度対応のため、工事費用が数千億円規模に膨らみ、新規に6号機を建設した方が経済的との判断のようだ。
「地震の前に原発を止めよ」と、中電や国を相手に浜岡原発の差し止め訴訟を起こし裁判で闘ってきた住民側にとって、浜岡1,2号機の廃炉は、東京高等裁判所の和解勧告なども含めて、やはり裁判と運動で追い詰めた成果ともいえる。
この波紋は、東京電力の柏崎刈羽原発の設置許可取り消し訴訟はじめ、耐震安全性評価の最終報告書の提出を来年3月から無期延期した福島原発にも、大きな影響を及ぼさずずにはおかない。
下記は、原発震災を防ぐ全国署名連絡会のアピール。
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浜岡原発閉鎖への一歩 〜浜岡1・2号廃炉を歓迎する〜
地震学者が「地球上でもっとも危険な場所にある原発」と指摘する浜岡原発。
住民や専門家からそう指摘されながら、5号機まで増設を強行してきた中部電力。そ
れを許可し続けてきた政府。ようやく中部電力はそうした愚行に自ら終止符を打つ日
が来たようだ。
1号機が事故で停止したのは7年前。この間、数々の事実が明らかとなり、耐震安全
性への不安が非常に高まったと言える。今や多くの国民が原発震災の危険性を強く感
じるに至っている。地元でも不安の声は根強く、原発廃止を受け入れられる土壌がで
きたとの判断に至ったのは自然な流れだ。
問題は、残る3・4・5号機だ。東海地震を乗り越えられるという技術過信を改め、
少なくとも東海地震が過ぎるまでの間、運転を停止しておく英断をすべきだ。1・2
号機廃止の見返りにと6号機を増設するなど言語道断である。
浜岡3・4号機については、改訂された耐震設計審査指針に基づく耐震再評価報告書
を国に提出してからまもなく2年になろうというのに、その審議は未だに決着がつか
ず、見通しも立っていない。
それどころか昨夏の中越沖地震による柏崎刈羽原発での揺れが、設計時の想定を数倍
も上回ったことが判明したため、新たに地下構造の詳細調査が課せられている。その
結果を待つまでもなく、中部電力がこれまでの申請時に提出した資料を見る限り、す
でに報告済みの想定を大幅に修正する必要に迫られていることは間違いない。 こ
うした事実が今回の経営判断を促したものと推察できるが、これは浜岡の地盤そのも
のの課題で、1・2号機だけ廃炉にして済む問題ではない。
さらなる増設などという欺瞞を重ねるのではなく、むしろ廃炉にした1・2号機を原
発の耐震安全性実証試験施設として積極的に位置付けてはどうか。そのための国際的
プロジェクトを立ち上げる。あるいはまた商業用軽水炉の国内廃炉1号として、他電
力事業者・メーカー、国などの援助を取り付けることで、地域振興に一役買うなどの
発想の転換が期待される。
以上。
2008年12月13日
原発震災を防ぐ全国署名連絡会
会長 鈴井孝雄
〒422-8067 静岡市駿河区南町11-22
TEL: 054-287-7198 FAX: 054-280-0235
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