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ゴミ焼却と南部清掃センター建設工事談合事件

いわき市議会の12月定例会には、南部清掃センター建設工事談合事件の住民訴訟にいわき市が補助参加する「訴えの提起」も議案提出され、全会一致で可決されました。

南部清掃センター建設工事談合事件は、公正取引委員会が談合の排除勧告を行い平成19年にごみ焼却炉5社に合計270億円の課徴金納付命令を出した全国自治体ごみ焼却場談合事件のひとつです。
市民が市に代わって代位請求した住民訴訟では、本年1月、福島地裁が三菱重工業(株)に対し工事契約金225億5400万円の5%相当額約11億円をいわき市に損害額として支払うよう命じ、「いわき市が、公正取引委員会の審決の確定まで、損害賠償請求権の行使を控えるのは、「民法709条に基づく損害賠償請求権を有しているのに違法にその行使を怠っている」と指摘しました。
これについて、わたくしは2月定例会で「事業者への損害賠償請求を実行すべき」と求めましたが、市は10月に東京高裁での公正取引委員会審決取り消し訴訟で、三菱重工業(株)が敗訴したのを受けて、予定価格の10.1%にあたる約22億円を三菱重工業(株)に損害賠償請求しました。
さらに、この損害額を主張するため、いわき市は既に審決した仙台高裁での住民訴訟控訴審に補助参加して、口頭弁論の再開を求めたのです。

いわき市は、市の幹部を含む官製談合の疑惑がもたれた事態を真摯に受け止めるべきあり、市の財政運営の公正確保と市民全体の利益の保護に全力をあげ、適正な損害賠償を早期に実現しなければなりません。
また、ゴミ焼却施設に巨額の費用がかかり、建設工事に談合による不正があったことを踏まえ、燃やせるか燃やせないかの分別では、有機物まで燃やし煙と灰になる一方、処理経費も増えていくことから、財政状況を踏まえ、ゴミの処分から資源として管理することに発想の転換が必要です。
ゴミの焼却・埋立ゼロをめざす「ゼロ・ウエイスト宣言」を行い循環型のまちづくりをはじめた自治体もあります。

12月9日の一般質問では「ゴミ焼却と南部清掃センター建設工事談合事件」として取り上げ、ゴミの処分から資源としての管理に発想を転換して、循環型のまちづくりを進め、厳しい財政状況に対応した選択を行うことをもとめました。

●以下はそのやり取りです。

1点目は、南部清掃センター建設工事談合事件の住民訴訟について

ア、官製談合の疑惑がもたれた当時の状況を含めて、本件住民訴訟の内容を市長は、どのように認識をしているか
(生活環境部長)
住民訴訟につきましては、南部清掃センター建設工事の入札に際し、事前に談合情報が寄せられたこと、また、その後、公正取引委員会の立入調査があったことなどから、住民の方々が、地方自治法の規定に基づき、認められた手続に沿って訴えを提起されたものと受け止めております。

イ 本市が「損害賠償請求権の行使を怠っていた」と判示されたことに本市としてはどのような反省をしているのか
(生活環境部長)
市といたしましては、南部清掃センター建設工事の入札に際し、入札参加業者から「誓約書」を徴するとともに、公正取引委員会からの排除勧告がなされた際にも三菱重工業株式会社と損害賠償請求にかかる「協定書」を締結するなど、市民の信頼に応えるため、その時々に応じ、対応を図ってきたものと認識しております。

ウ 本市の住民訴訟への補助参加について、原告の市民に対し事前または事後に何らかの形で連絡するなどして基本的な理解を得ているのか。
(生活環境部長)
市といたしましては、東京高等裁判所に係属していた公正取引委員会の審決取消請求訴訟の経過も踏まえながら、本年5月に、住民訴訟が係属している仙台高等裁判所に対して、共同訴訟的補助参加申出書を提出したところであり、市がはじめて住民訴訟へ補助参加しようとすることから、その申出と同時に、市の代理人を通じ、原告、被告双方の訴訟代理人に対し、その旨を伝えたところです。
本年10月10日の、補助参加の申請および控訴審の弁論再開申立ては、本年5月の申出と一体をなすものであり、あらためて事前に連絡をすることはいたしませんでした。
なお、今回の補助参加は、本市が被った損害を少しでも多く回復しなければならないという見地からのものであり、このことは、原告の方々も理解いただけているものと考えております。

2点目は、本市のゴミ焼却と処理費用について

 本市のゴミ排出量は、平成7年度以降、家庭系の一般ゴミは微減、事業系は横ばいから微増で、総じて減っておらず、一人当たりの量も全国平均を超え、焼却率が高くリサイクル率が低いという実態で推移しています。
 埋立処分場は、満杯までくりんぴーの丘があと10年、くりんぴーの森があと20年です。

ア、本市のゴミ焼却率は、全国平均と比較して10%以上高いのはなぜか、
(生活環境部長)
環境省の一般廃棄物処理事業実態調査によれば、平成18年度の各自治体のごみ焼却率は、平均では77.7%となっておりますが、そのおかれた状況の違いによるものか
相当の幅があります。本市の場合、古紙類については、他に回収を委ねておりますので、全体のごみ処理量には含まれておりませんが、仮に、その量を含めて焼却率を計算いたしますと、79.7%となります。いずれにいたしましても、今後、ごみ焼却率の低下に向け、ごみ分別のあり方等について、検討してまいりたいと考えております。

イ、燃やしているゴミには、どのような資源が含まれているのか
(生活環境部長)
燃えるごみとして排出されるものの中には、例えば、生ごみのような有機物の堆肥化など、資源循環の仕組みが確立していれば、燃やさずに資源化できるものが含まれております。また、一部には、分別の不徹底により、リサイクルできるプラスチック、ペットボトル、古紙類などが含まれていることもあります。

ウ、ゴミ処理経費は、平成16年度の約52億円をピークに微減傾向にありますが、ゴミ処理経費の6割強を占める焼却処理費額はどのように推移しているのか
(生活環境部長)
焼却処理費につきましては、平成16年度が約33億2,000万円、平成17年度が約32億7,000万円、平成18年度が約31億2,000万円、平成19年度が約30億8,000万円であり平成16年度以降の4年間で約2億4,000万円の減となっております。

エ、平成16年度以降、業務委託費は、いくらで推移しているのか
(生活環境部長)
ごみの収集及び処理に係る業務委託費につきましては、平成16年度が約15億2,000万円、平成17年度が約14億1,000万円、平成18年度が約15億1,000万円、
平成19年度が約16億1,000万円となっております。

オ、平成16年度以降、公債償還費用は、いくらで推移しているか
(生活環境部長)
ごみ処理施設に係る公債費につきましては、平成16年度が約26億1,000万円、平成17年度から平成19年度が、各年度、約24億5,000万円となっております。

カ、平成16年度以降、4人家族1世帯当たりのゴミ処理経費の年間負担額は、いくらで推移しているか
(生活環境部長)
 1人あたりのごみ処理経費を単純に4倍して計算いたしますと、平成16年度が約5万9,000円、平成17年度が約5万8,000円、平成18年度が約5万6,000円、平成19年度が約5万6,000円であり、平成16年度以降の4年間で約3,000円の減となっております。

キ、そこで財政難の折、循環型のまちづくりを促進しゴミの資源化をすすめて焼却量を削減することで、数百億円の建設費が予想される北部清掃センターの改築は避けるべきではないか
(生活環境部長)
本市においては、北部・南部の2場体制でごみの焼却処理を行っておりますが、このうち、北部清掃センターが、供用開始以来27年を経過しておりますことも踏まえ、本年6月に、生活環境部内に、今後のごみ処理のあり方についての検討組織を設け、将来のごみ排出量の推計や収集体制など、総合的な検討を開始したところであります。
ごみの適正な処理は、市民の日々の暮らしを支えるものであり、できるだけ早期に、よりよい方向性を打ち出してまいりたいと考えております。
by kazu1206k | 2008-12-23 10:12 | 議会 | Comments(0)