「耐震偽装」、原発の想定地震過小評価
2009年 02月 15日
研究会では、地震学者の石橋克彦神戸大名誉教授が「柏崎刈羽原発:想定地震の過小評価問題を中心として」を報告。
柏崎・刈羽、浜岡、島根、志賀、六ヶ所、大間など各原発の耐震安全評価・訴訟等の状況も現地や弁護団などから報告され、耐震問題にどう対応するのか議論された。
石橋克彦先生の報告内容は、共同通信の配信で福島民友新聞の2月13日朝刊に掲載された評論がわかりやすい。
石橋克彦先生によると、東京電力柏崎刈羽原発が2007年の新潟県中越沖地震で被災停止している根本原因は、甘い活断層評価と地震想定を国の安全審査が認めたことであるが、今回運転再開のための再確認でも原子力安全・保安院と原子力安全委員会が東電の想定地震過小評価をまたも容認してしまった。
東電、原子力安全・保安院、原子力安全委員会は、柏崎刈羽原発沖海底の長さ36キロのF-B断層によるM7.0の地震を想定地震とそれによる基準地震動としたが、海底にある「佐渡海盆」の東縁の急傾斜地に東縁断層が推定され、全長約60キロでM7.5前後の地震が想定される。この想定では、基準地震動の最大化速度は東電が出した2,300ガルを大きく超える。
審査した原子力安全・保安院は、海上音波探査で東縁断層が確認できないことで東縁断層を否定しているが、保安院自らが行った海上音波探査で中越沖地震の断層を確認できなかった事実がある。海上音波探査は、海底下数キロしかわからず海底活断層の確認に万能ではない。
そもそも原子力安全委員会が定めた「活断層等に関する安全審査の手引き」では、音波探査で断層が認められなくとも変動地形学的に十分検討すべきことを明記している。
今回の審査はこの「手引き」にも明白に違反している。
審査結果は、政府主導の「耐震偽装」といえる。科学に誠実な姿勢で再審査すべきだ。
耐震補強が技術的・コスト的に厳しくなっても、地元と国民の信頼を裏切らないことが根本的に重要である。