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入管法等の改正法案で意見書、日弁連

 日本弁護士連合会は、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する意見書」を11月13日付けで法務大臣及び衆参両院議長宛てに提出しました。以下に、紹介します。

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する意見書
                                                 2018年(平成30年)11月13日 日本弁護士連合会

 政府は,本年6月15日,「経済財政運営と改革の基本方針2018」(以下「骨太の方針」という。)を閣議決定し,深刻な人手不足を背景に,「真に必要な分野に着目し,・・・外国人材の受入れを拡大するため,新たな在留資格を創設する」ほか, 「外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組む」こととした。これを受けて,11月2日,新たな在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」を創設すること,新たに「出入国在留管理庁」を創設すること等を内容とする 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)が閣議決定され,第197回国会に上程された。
 改正法案は,外国人労働者の受入れが目的であることを正面から認め,制度構築を行っているものであり,その方向性は正しいと考える。しかし,改正法案については以下の問題点があるので,当連合会は,次のとおり意見を述べる。

 第1 技能実習制度との関係
 技能実習制度は,名目上は日本の技術を国際的に移転させる国際貢献のための制度であるとされているものの,実態は非熟練労働者の受入れのための制度とな っており,技能実習という目的のために,原則として職場移転の自由が認められず,不当な処遇や権利侵害を受けた労働者であっても帰国を避けるためにはこれ を受忍するほかないという構造的問題を抱えている。このような技能実習制度は直ちに廃止した上で,非熟練労働者の受入れを前提とした在留資格を創設し,外国人を受け入れることについて,その是非,その範囲などを,外国人の人権にも配慮した上で,国会などの場で十分に検討するべきである。改正法案は,非熟練労働者を含む外国人労働者の新たな受入れ制度を創設するものであり,なおさら 技能実習制度は直ちに廃止されるべきである(その際,既に現実に在留している技能実習生が不利益を被らないような措置を採るべきである。)。いわんや新たな在留資格の対象職種に合わせて,技能実習制度の対象職種を拡大するような運用はすべきでない。

 第2 職場移転の自由の保障
 前述のとおり技能実習制度では,原則として職場移転の自由が認められていない。
この点,改正法案では,入国・在留を認めた分野の中での転職を認めることとされており,一定の評価に値する。ただし,職場移転の自由を実質的に確保し, 保障するためには,ハローワーク等が特定技能所属機関(以下「受入れ機関」と いう。)としての条件を満たす同一分野の事業者のリストを公開し,転職相談を受けるなど,公的機関による転職支援を行うことが重要である。このことは,国内における悪質な紹介業者を排除するためにも必要である。

 第3 送出し国におけるブローカーの排除
 技能実習制度では,技能実習生がブローカーに多額の渡航前費用や保証金,違約金等を支払わされることなどが横行していた。外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下「技能実習法」という。)により一定の対応がなされたが,いまだ後を絶たない。このような問題を起こさないためにも,外国人労働者の募集と送出しを日本の出先機関(例えば,新たな独立行政法人等)又は送出し国の公的機関に担わせるべきである。公的機関による斡旋が困難な場合には,日本と送出し国の二国間協定により,高額の手数料や保証金を取ったり違約金を定めたりする民間仲介業者を排除するよう合意するべきであり, 排除が不十分であるときは当該国からの受入れの停止も可能とすることを検討すべきである。

 第4 受け入れた外国人に対する適切な支援
 新たな在留資格制度は,受入れ企業から費用を受領する登録支援機関が,外国人材の適切な支援を行うこととしているが,同機関は登録制であり,一定の欠格事由や一定の体制の不備等の登録拒否事由がない限り登録が可能となっている。 ところで,技能実習制度においては,「技能実習生の保護について重要な役割を 果たすもの」(技能実習法5条2項)とされている監理団体が実習実施機関を監督・指導することとなっている。しかし,監理団体は,実習実施機関から費用を受領して運営されているという構造的な問題もあって適切な監督・指導等を行えず,むしろ監理団体が技能実習生に対する人権侵害を放置する例もあった。この点も技能実習法により一定の対応がなされたが,いまだ後を絶たない。新たな在留資格制度における登録支援機関についても,同様な問題が生じないよう,その担い手は公的機関や適切な人的物的資源を持つNGO等となるような制度として,その厳格な運用を行うべきである。
 支援の内容についても,「一号特定技能外国人支援計画」(改正法案2条の5第6項)において,日本語教育や社会生活上の教育などについて基準を設けるべきである。
 支援の内容は,「職業生活上の支援」を含むものとされるが,職場における処遇に関する相談や紛争処理を,受入れ機関が自ら行うことや,受入れ機関から費用を受領して受託する登録支援機関が行うことは不適切であり,これらの支援は, 多言語による法律相談を,国,自治体等から委託を受けるなどして,弁護士会・ 弁護士が行ったり,労働基準監督署などが行ったりすることが必要である。
 このように,あらゆる支援を受入れ機関や登録支援機関に委ね丸投げするのではなく,国や自治体,NGO,弁護士会,法テラス等が連携して,支援の内容に応じて適切な仕組みを構築するべきである。

 第5 家族の帯同
 自由権規約23条,児童の権利条約9条は家族が共に暮らす権利を保障している。また,ILO条約143号(未批准)13条は,移民労働者の家族の同居の促進を定めている。さらに,ヨーロッパでは,欧州人権条約8条は家族生活の尊重を規定している。アメリカの非熟練労働者受入れ制度(H-2A・H-2Bビザ)は家族の帯同を認めている。これに対して,政府は,技能実習修了者が特定技能 1 号で就労する場合,最長で10年という長期にわたり日本に滞在・就労することになるにもかかわらず,家族の帯同を認めないとしている。このような長期間の家族帯同禁止は,上記の国際条約の趣旨に沿わないものである。家族の帯同を認めないという方針は,家族と共に暮らすという人間の自然な在り方に反するものであり,看過できない。
 よって,特定技能1号の場合でも,少なくとも一定期間以上滞在した者などについては,家族の帯同を認めるべきである。

 第6 在留基準の透明性・客観性
 改正法案では,受入れの基準は,法務大臣がその案を作成して閣議決定した「基本方針」と,法務大臣が,所管する関係行政機関の長,国家公安委員会その他の大臣と共同して制定した「分野別運用方針」によって定められることとなっているが,特定技能1号の「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」,特定技能2号の「熟練した技能を要する業務」の認定などの具体的基準は示されていない。
 このような状況では,行政庁による恣意的な運用がなされるおそれがあるので, 客観性・透明性のある基準を設けるべきである。

 第7 雇用形態
 改正法案に先立って政府が発表した政府基本方針(骨子案)は,雇用形態に関して,原則として直接雇用であることとしながら,分野の特性に応じて派遣形態も可能としている。しかし,派遣労働は低賃金・不安定雇用を固定化するものであり,専門職以外にはこれを認めるべきではない(当連合会の2010年(平成 22年)2月19日付け「労働者派遣法の今国会での抜本的改正を求める意見書」 など)。専門職とはいえない,特定技能の在留資格の労働者についても,派遣形態は認めるべきではない。

 第8 共生のための施策の位置付け
 外国人労働者を正面から受け入れることとなる今こそ,外国にルーツを持つ人々の権利を守り,差別を解消して社会での共生を実現する共生政策は国の責務である。骨太の方針においても,「法務省が総合調整機能を持って・・・関係省庁, 地方自治体等との連携を強化する。・・・外国人の受入れ環境の整備を通じ,・・・ 外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組んでいく」としていた。しかし,改正法案においては,外国にルーツを持つ人々と共生できる社会の 実現という点は触れられていない。法律において共生政策の実施を国の責務とし て明確に位置付け,財政的な手当てをすることが必要である。
 このような国や自治体の体制を整備するためには,共生政策のための基本法(仮称「多文化共生法」)を制定することが喫緊の課題となる。
 また,新たに設置する庁の任務として共生政策の実施,総合調整機能を明記するべきである。

 第9 国際人権基準に適合した出入国在留管理行政の実現
 骨太の方針を受けて本年7月24日に外国人の受入れ・共生に関する関係閣僚会議に提示された「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)」では,「不法滞在者等への対策強化」などの新たな在留管理体制の構築が検討されている。これに対して,出入国に関係する退去強制手続について,人権上の要請に基づく改正は予定されていない。しかし,出入国管理における身体拘束制度は,収容の必要性や相当性に関する要件や期限を設けないものとなっており, 国際的な基準に適合しているとは言えない(当連合会の2014年(平成26年) 9月18日付け「出入国管理における身体拘束制度の改善のための意見書」)。現 に,東日本入国管理センターでは,1年以上の被収容者が7割以上を占め,3年 以上収容されている者も10名以上いる(2018年7月31日現在1)。また, 在留特別許可の基準も,国際人権法上の要請を満たすことを明示していない(当 連合会の2010年(平成22年)11月17日付け「在留特別許可のあり方へ の提言」)。
 本改正案によって新たな在留資格で外国人を受け入れるに当たっては,国際人 権基準に適合した出入国管理行政を実現すべきである。

以上
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by kazu1206k | 2018-11-13 23:48 | 雇用 | Comments(0)

新しい外国人労働者受入れ制度の確立で、日弁連の宣言

 日本弁護士連合会は、10月5日、「新しい外国人労働者受入れ制度を確立し、外国にルーツを持つ人々と共生する社会を構築することを求める宣言」を人権擁護大会で採択しました。
 少子高齢化社会が進行する中、政府は、本年6月、「経済財政運営と改革の基本方針2018」において、建設業、農業、介護等の分野での人手不足による、経済界や地方からの、更なる外国人労働者の受入れを求める声があがっていることから、外国人労働者の受入れを想定して「就労を目的とした新たな在留資格」を創設する方針を示していました。しかし、新たな在留資格では、在留の期限は原則5年以内とされ、家族の帯同が認められず、新たな在留資格の創設後もなお技能実習制度は存続することとしています。こうした現状にあって、日本弁護士連合会の宣言を、ご紹介します。

新しい外国人労働者受入れ制度を確立し、外国にルーツを持つ人々と共生する社会を構築することを求める宣言

日本に在留する外国人労働者は、2016年10月には108万人、2017年10月には127万人を超えて増え続けている(特別永住者を除く。外国人雇用状況届出数)。
 
その主たる要因は非熟練労働者の増加にあるが、非熟練労働の担い手は、技能実習生、アルバイトで働く留学生等、本来は、労働者の受入れを目的としない制度によって入国した人々である。技能実習制度では、日本の技術の海外移転という名目上の目的のために実習先を定められ、原則として職場移転の自由が認められず、雇用主に従わざるを得ないという構造的な問題がある。このため、最低賃金法違反、強制帰国等の深刻な人権侵害が生じている。留学生の相当数は、来日時の多額の借入れの返済や学費の捻出等のため、本来の学業に加えて長時間労働を余儀なくされ、週28時間以内の就労を超えた資格外活動が発覚する等して在留資格を失う者もいる。
 
今もなお、建設業、農業、介護等の分野では人手不足が指摘され、少子高齢化社会が進行する中で、経済界や地方からも、更なる外国人労働者の受入れを求める声があがっている。これを受けて政府も本年6月、「経済財政運営と改革の基本方針2018」において、上記の分野等での外国人労働者の受入れを想定して「就労を目的とした新たな在留資格」を創設する方針を示している。しかし、新たな在留資格では、在留の期限は原則5年以内とされ、家族の帯同が認められず、また、この在留資格の創設後もなお技能実習制度は存続することとしている。
 
外国人労働者の増加に伴い、外国人の中長期在留者の数も増加を続けて2017年末には256万人を超え(特別永住者を含む。)、また、6万人以上の非正規滞在者も日本で生活している。さらに、出生後に日本国籍を取得した人や外国籍の親から生まれた日本人等も含め、今、日本は、外国にルーツを持つ多様な人々が暮らす国となっている。特に、上記の新たな外国人受入れ制度の創設に伴って、今後、多くの外国人労働者が日本社会の一員となることが予想される。
 
これらの人々が地域で生活する環境に目を向けたとき、日本語学習や母国の文化を保持するための取組は、いまだ国全体の十分な取組にはなっていない。外国籍の子どもやその家族の在留等の在り方も、国際人権諸条約の諸規定に従ったものとはなっていない。外国にルーツを持つ人々への差別的言動その他の差別を根絶するための立法府及び行政府の取組もようやく端緒に就いたにすぎない。
 
そもそも、人は、国籍、在留資格の内容、有無等にかかわらず、ひとしく憲法、国際人権法上の人権を享有する。国籍や民族の相異を理由に、時の在留政策や雇用側の利害等により、その人権を安易に制約することは許されない。新たな外国人受入れが始まろうとする今こそ、人権保障に適った外国人受入れ制度と多文化の共生する社会を構築することが喫緊の課題となっている。
 
よって、当連合会は、国や地方自治体に対し、以下のとおり求める。

1 人権保障に適った外国人労働者受入れ制度を構築するため、国は、以下の施策を実施するべきである。
 (1) 技能実習制度を直ちに廃止する。
 (2) 政府において検討中の新たな制度も含め、非熟練労働者受入れのための制度を構築するに際しては、労働者の受入れが目的であることを正面から認めた、以下のような条件を満たす制度とする。
  ① 職場移転の自由を認める。
  ② 国の機関による職業紹介、二国間協定の締結等により、送出し国を含めてブローカーの関与を排除する。
  ③ 長期間の家族の分離を強いず、日本に定着した家族全体の在留の安定を図る。
 (3) 外国人労働者全般の権利の保障のために次のことを実施する。
  ① 賃金等の労働条件における国籍や民族を理由とする差別の禁止を徹底する。
  ② 労働者の権利の保障等のための相談、紛争解決の仕組みを充実させる。
  ③ 日本語教育を含む職業訓練や職業紹介制度の充実を国の責務とする。

2 外国にルーツを持つ人々と共に生きる社会を構築し、全ての人に人権を保障するため、以下の施策を実施するべきである。
 (1) 国や地方自治体は、外国につながる子どもや成人の日本語教育、民族的アイデンティティを保持するための母語教育等のための専門的な教員の加配やスクールソーシャルワーカー等の配置を行うとともに施設を整備し、そのための国際交流協会、NGO等の活動を支援する。また、国は、家族滞在の子どもの定住者等への在留資格変更について一層要件を緩和することにより、外国につながる子どもの在留の安定を図る。
 (2) 国や地方自治体は、外国人が医療、社会保障等のサービスや法律扶助制度等に容易にアクセスし、十分に活用することができる制度を実現し、国際交流協会、NGO等と協力してその運用を支援する。
 (3) 国は、国際人権諸条約の諸規定に基づき、長期の在留資格や在留特別許可に係る法令の要件の緩和と明確化を通じて、外国人やその子ども・家族の在留の安定を図る。併せて、複数国籍の制限の緩和等を含め、国籍の得喪要件の見直しを行う。
 (4) 国や地方自治体は、調停委員等や教員の公務就任における差別をやめ、就職・入居等の私人間における差別的取扱い、及び差別的言動の禁止を含む法整備を行う。また、国は、国内人権機関の創設、人権諸条約の個人通報制度の実現を通じて権利救済を実効化する。

3 これらの施策を立案、実施するため、以下の体制を整備するべきである。
 (1) 地方自治体は、外国にルーツを持つ人々が地域の中で共に生きるため、上記を含めた施策を実施する部署の設置等をする。
 (2) 国は、外国にルーツを持つ人々が社会で共に生きるための施策を国や地方自治体の責務とし、これを実施する体制を定め、また、外国人受入れについての基本方針を定める法律(仮称「多文化共生法」)を制定するとともに、これらの施策の実施を所管する省庁(仮称「多文化共生庁」)を設置する。
 
外国にルーツを持つ人々がひとしく人権を保障され、全ての市民が共生できる、活力のある日本の地域社会を創造するため、今こそ、国や地方自治体は、具体的な行動に移るべきである。
 
当連合会も、上記の施策の実現に向けて、全力を挙げて取り組む所存である。
 
以上のとおり宣言する。

2018年(平成30年)10月5日
日本弁護士連合会
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by kazu1206k | 2018-10-07 09:17 | 雇用 | Comments(0)

高度プロ制度創設など働き方改革法案に反対、日弁連

 日本弁護士連合会は、「高度プロフェッショナル制度を創設する法案の国会提出に反対する会長声明」(3月8日)を発表、3月27日には「働き方改革法案の「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」部分についての意見書」(3月15日)をとりまとめ、厚生労働大臣に提出しました。
 安倍内閣による、今国会での「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の提出に反対しています。

●高度プロフェッショナル制度を創設する法案の国会提出に反対する会長声明

政府は、第196回通常国会に、企画業務型裁量労働制の拡大や特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設を含む「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の提出を予定していたところ、本年3月1日、安倍首相が、企画業務型裁量労働制の拡大については、今通常国会に法案を提出しないと発表した。他方、高度プロフェッショナル制度創設については、依然法案を提出予定であると述べている。

企画業務型裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の創設は、2015年の第189回通常国会に提出された労働基準法改正案にも盛り込まれていたものの、実質審議が行われないまま廃案となったものである。当連合会は、2017年11月22日付け「働き方改革を推進するための労働基準法の一部改正案の国会提出に反対する会長声明」において、企画業務型裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の創設について、長時間労働を助長しかねない内容を含むものであり、労働者の命と健康の保持の視点からすれば、これをそのまま法制化すべきでなく、法案が国会に提出されることに反対する声明を公表している。

政府は、企画業務型裁量労働制の拡大について、第189回通常国会以来、「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く者の労働時間の長さは、平均的な者で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」との説明により正当化してきた。しかし、今通常国会においては、政府は、このデータが不正確なものであるとして、答弁を撤回し、企画業務型裁量労働制の拡大について法案から削除するに至っている。政府が不正確であることを認めたデータは、高度プロフェッショナル制度導入の根拠としても利用されていたものである。根拠資料の不正確性が明確になった以上、労働時間規制を全面的に排斥する高度プロフェッショナル制度を創設する立法事実、正当化根拠は、疑わしい状況となっている。

当連合会は、2014年11月21日付け「労働時間法制の規制緩和に反対する意見書」においては、高度プロフェッショナル制度のような労働時間規制の適用除外制度を創設することの問題点を詳細に指摘し、労働時間規制の緩和に反対する意見を述べている。当連合会は、高度プロフェッショナル制度の危険性を改めて指摘するとともに、同制度を創設する法案を国会に提出しないことを求める。

  2018年(平成30年)3月8日
 日本弁護士連合会      
  会長 中本 和洋 

●働き方改革法案の「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」部分についての意見書

 2018年3月15日
 日本弁護士連合会

本意見書の趣旨

政府は、2017年9月15日、労働政策審議会の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」(以下「要綱」という。)をおおむね妥当とする意見をうけて、要綱に基づく法律案(以下「働き方改革法案」という。)を今通常国会に上程し、法律の成立を図るとしている。

要綱に基づく働き方改革法案により、有期契約労働者、短時間労働者及び派遣労働者の低い労働条件を改善するため法整備をすることは評価するものである。

しかし、当連合会のこれまでの意見にもかかわらず、要綱は、有期契約労働者、短時間労働者及び派遣労働者の労働条件を改善するため法の趣旨の明確化やその実効性を担保するための方策について、さらに慎重に審議すべき課題も少なくない。そこで、今国会における法案の審議に当たり、働き方改革法案について、改めて、以下のとおり意見を述べる。

1 働き方改革法案の通称は、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保法」とすべきである。

2 「不合理な待遇の禁止」と「均等待遇」の関係につき、労働契約法20条の均等待遇の適用が後退しないように規定を定めるべきである。

3 法的効力の問題について、以下のとおり規定すべきである。
(1) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正(以下「パート労働法」という。)の「不合理な待遇の禁止」規定が私法的効力を有することを明確化し、「差別的取扱禁止」規定については労働契約の内容を補充する効力を有するか否かを条文上明確に規定すべきである。
(2) 労働者派遣法の一部改正についても、「不合理な待遇の禁止」規定が私法的効力を有することを明確化し、「正当な理由がなく不利なものとしてはならない」とする規定については労働契約の内容を補充する効力を有するか否かを条文上明確に規定するべきである。

4 派遣労働者に関する労使協定について、実効性を担保するための手続や賃金水準などを明確化すべきである。

5 司法による判断のための訴訟支援策(労働審判や日本司法支援センターの教示など)を設けるべきである。

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by kazu1206k | 2018-03-28 23:37 | 雇用 | Comments(0)

労働時間法制を考える院内市民学習会

日本弁護士連合会から「労働時間法制を考える院内市民学習会の開催」のお知らせです。

労働時間法制を考える院内市民学習会の開催について

政府は、2013年6月14日に、「日本再興戦略」と「規制改革実施計画」を閣議決定して以来、労働法制全般の規制緩和を進め、本年の通常国会において、労働基準法改正法案を含めた「働き方改革関連法案」が提出される見通しです。

労働基準法改正法案は、長時間労働の実効的な抑制策が曖昧なままに、一定の労働者について、使用者による労働時間管理義務を免除し、かつ、いわゆる残業代の支払さえも免除しようとするものであり、経済的負担により長時間労働を間接的に抑制しようとしてきた我が国の労働時間規制の歴史に逆行するものです。労働法制の行き過ぎた規制緩和は、労働者の権利確保の観点から極めて問題が多いと言えます。

日本弁護士連合会は、2016年11月24日付け「『あるべき労働時間法制』に関する意見書」等を公表し、労働者の命、生活および健康を維持するため、労働時間規制の安易な緩和を進めないよう繰り返し求めてきたところです。本学習会では、みなさんと一緒に「あるべき労働時間法制」について考えたいと思います。
ぜひご参加ください。


日時 2018年2月28日(水) 18時00分~19時45分(17時30分開場予定)
場所 衆議院第二議員会館1階 多目的会議室
 (【最寄駅】地下鉄丸ノ内線・千代田線『国会議事堂前』駅、地下鉄有楽町線・半蔵門線・南北線『永田町』駅)
参加費 無料
参加人数 定員140名
内容
1 来賓挨拶
2 日弁連からの報告
3 基調講演 川人 博 弁護士(東京弁護士会)
4 当事者・会場からの発言
5 取材に基づく現場報告 東海林 智 氏(毎日新聞記者) 
申込方法事前申込要
※事前にFAXにてお申込みください(FAX 03-3580-2896)
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/event/data/2018/event_180228.pdf
主催
日本弁護士連合会
お問い合わせ先
日本弁護士連合会 人権部人権第一課 TEL:03-3580-9501

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by kazu1206k | 2018-02-25 16:44 | 雇用 | Comments(0)

労働時間法制を考える院内市民学習会

日本弁護士連合会の「労働時間法制を考える院内市民学習会」のお知らせです。

労働時間法制を考える院内市民学習会の開催について

政府は、2013年6月14日に、「日本再興戦略」と「規制改革実施計画」を閣議決定して以来、労働法制全般の規制緩和を進め、本年の通常国会において、労働基準法改正法案を含めた「働き方改革関連法案」が提出される見通しです。

労働基準法改正法案は、長時間労働の実効的な抑制策が曖昧なままに、一定の労働者について、使用者による労働時間管理義務を免除し、かつ、いわゆる残業代の支払さえも免除しようとするものであり、経済的負担により長時間労働を間接的に抑制しようとしてきた我が国の労働時間規制の歴史に逆行するものです。労働法制の行き過ぎた規制緩和は、労働者の権利確保の観点から極めて問題が多いと言えます。

日本弁護士連合会は、2016年11月24日付け「『あるべき労働時間法制』に関する意見書」等を公表し、労働者の命、生活および健康を維持するため、労働時間規制の安易な緩和を進めないよう繰り返し求めてきたところです。本学習会では、みなさんと一緒に「あるべき労働時間法制」について考えたいと思います。
ぜひご参加ください。


日時 2018年2月28日(水) 18時00分~19時45分(17時30分開場予定)
場所  衆議院第二議員会館1階 多目的会議室
 (【最寄駅】地下鉄丸ノ内線・千代田線『国会議事堂前』駅、地下鉄有楽町線・半蔵門線・南北線『永田町』駅)
参加費無料
参加人数定員140名

内容
1 来賓挨拶
2 日弁連からの報告
3 基調講演 川人 博 弁護士(東京弁護士会)
4 当事者・会場からの発言
5 取材に基づく現場報告 東海林 智 氏(毎日新聞記者) 

申込方法
事前申込要
※事前にFAXにてお申込みください(FAX 03-3580-2896)

主催
日本弁護士連合会
お問い合わせ先
日本弁護士連合会 人権部人権第一課 TEL:03-3580-9501

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by kazu1206k | 2018-01-30 23:20 | 雇用 | Comments(0)

労働時間法制を考える院内市民学習会

日本弁護士連合会から「労働時間法制を考える院内市民学習会」のお知らせです。

労働時間法制を考える院内市民学習会

政府は、2013年6月14日に、「日本再興戦略」と「規制改革実施計画」を閣議決定して以来、労働法制全般の規制緩和を進め、本年秋の臨時国会において、労働基準法改正法案を含めた「働き方改革関連法案」が提出される見通しです。

労働基準法改正法案は、長時間労働の実効的な抑制策が曖昧なままに、一定の労働者について、使用者による労働時間管理義務を免除し、かつ、いわゆる残業代の支払さえも免除しようとするものであり、経済的負担により長時間労働を間接的に抑制しようとしてきた我が国の労働時間規制の歴史に逆行するものです。労働法制の行き過ぎた規制緩和は、労働者の権利確保の観点から極めて問題が多いと言えます。

日本弁護士連合会は、2016年11月24日付け「『あるべき労働時間法制』に関する意見書」等を公表し、労働者の命、生活及び健康を維持するため、労働時間規制の安易な緩和を進めないよう繰り返し求めてきたところです。本学習会では、みなさんと一緒に「あるべき労働時間法制」について考えたいと思います。

ぜひご参加ください。

日時2017年10月12日(木) 18時00分~19時45分(開場17時30分 予定)
場所衆議院第二議員会館1階 多目的会議室
 (【最寄駅】地下鉄丸ノ内線・千代田線『国会議事堂前』駅、地下鉄有楽町線・半蔵門線・南北線『永田町』駅)
参加費・受講料無料 
参加対象・人数   定員140名

内容(予定)
1 来賓挨拶
2 日弁連からの報告
3 基調講演 緒方 桂子 教授(南山大学法学部) 
4 当事者・会場からの発言
5 取材に基づく現場報告 東海林 智 氏(毎日新聞記者)


申込方法
事前申込要 ※事前にFAXにてお申込みください(FAX 03-3580-2896)

PDFチラシ兼申込書 (下記)

主催日本弁護士連合会
お問い合わせ先
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by kazu1206k | 2017-09-19 22:42 | 雇用 | Comments(0)

最低賃金額の大幅な引上げを求める日弁連声明

日本弁護士連合会は、6月2日、最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明を公表して、「当連合会は、2011年6月16日付け「最低賃金制度の運用に関する意見書」等を公表し、繰り返し、最低賃金額の大幅な引上げを求めてきたところであり、早急に1000円に引き上げることを求めている。2020年までに1000円にするという政府目標を達成するためには、1年当たり50円以上の引上げが必要であるから、中央最低賃金審議会は、本年度、全国全ての地域において、少なくとも50円以上の最低賃金の引上げを答申すべきである」と訴えています。以下に、掲載します。


最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明

中央最低賃金審議会は、近々、厚生労働大臣に対し、本年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を行う予定である。昨年、同審議会は、全国加重平均25円の引上げ(全国加重平均823円)を答申し、これに基づき各地の地域別最低賃金審議会において地域別最低賃金額が決定された。

しかし、時給823円という水準は、1日8時間、週40時間働いたとしても、月収約14万3000円、年収約171万円にしかならない。この金額では労働者が賃金だけで自らの生活を維持していくことは到底困難である。日本の最低賃金は先進諸外国の最低賃金と比較しても著しく低い。例えば、フランスの最低賃金は9.76ユーロ(約1218円)、イギリスの最低賃金は7.5ポンド(25歳以上。約1083円)、ドイツの最低賃金は8.84ユーロ(約1103円)であり、日本円に換算するといずれも1000円を超えている。アメリカでも、15ドル(約1667円)への引上げを決めたニューヨーク州やカリフォルニア州をはじめ最低賃金を大幅に引き上げる動きが各地に広がっている(円換算は2017年5月下旬の為替レートで計算。)。

我が国の貧困率は過去最悪の16.1パーセントにまで達しており、貧困と格差の拡大は女性や若者に限らず、全世代で深刻化している。働いているにもかかわらず貧困状態にある者の多数は、最低賃金付近での労働を余儀なくされており、最低賃金の低さが貧困状態からの脱出を阻む大きな要因となっている。最低賃金の迅速かつ大幅な引上げが必要である。

最低賃金の地域間格差が依然として大きいことも問題である。2016年度の最低賃金は、最も低い宮崎、沖縄で時給714円、最も高い東京で932円であり、218円もの開きがあった。しかも、このような地域間格差は年々拡大している。2006年の最低額と最高額の差は109円であったが、この10年間で地域間格差の額は2倍となっている。地方では賃金が高い都市部での就労を求めて若者が地元を離れてしまう現象も見られ、労働力不足が深刻化している。地域経済の活性化のためにも、最低賃金の地域間格差の縮小は喫緊の課題である。

なお、最低賃金の大幅な引上げは、特に中小企業の経営に大きな影響を与えることが予想される。政府は、最低賃金の引上げが困難な中小企業については、最低賃金の引上げを誘導するための補助金制度等の構築を検討すべきである。さらに、中小企業の生産性を高めるための施策や減税措置などが有機的に組み合わされることが必要である。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律や下請代金支払遅延等防止法をこれまで以上に積極的に運用し、中小企業とその取引先企業との間での公正な取引が確保されるようにする必要もある。

当連合会は、2011年6月16日付け「最低賃金制度の運用に関する意見書」等を公表し、繰り返し、最低賃金額の大幅な引上げを求めてきたところであり、早急に1000円に引き上げることを求めている。2020年までに1000円にするという政府目標を達成するためには、1年当たり50円以上の引上げが必要であるから、中央最低賃金審議会は、本年度、全国全ての地域において、少なくとも50円以上の最低賃金の引上げを答申すべきである。

上記答申がなされた後に各地の実情に応じた審議が予定されている各地の地方最低賃金審議会においても、以上のような状況を踏まえ、最低賃金額の大幅な引上げを図り、労働者の健康で文化的な生活を確保するとともに、これにより地域経済の健全な発展を促すべきである。

2017年(平成29年)6月2日
日本弁護士連合会      
 会長 中本 和洋 
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by kazu1206k | 2017-06-05 23:46 | 雇用 | Comments(0)

労働時間法制に関する院内市民学習会

日本弁護士連合会は、4月20日に、「あるべき労働時間法制に関する院内市民学習会」を開催します。以下、ご紹介します。

あるべき労働時間法制に関する院内市民学習会の開催について

政府は、2013年6月14日に、「日本再興戦略」と「規制改革実施計画」を閣議決定して以来、労働法制全般の規制緩和を進めています。

労働基準法改正法案は、長時間労働の実効的な抑制策が曖昧なままに、一定の労働者について、使用者による労働時間管理義務を免除し、かつ、いわゆる残業代の支払さえも免除しようとするものであり、経済的負担により長時間労働を間接的に抑制しようとしてきた我が国の労働時間規制の歴史に逆行するものです。労働法制の行き過ぎた規制緩和は、労働者の権利確保の観点から極めて問題が多いと言えます。

日本弁護士連合会は、2016年11月24日付け「『あるべき労働時間法制』に関する意見書」等を公表し、労働者の命、生活及び健康を維持するため、労働時間規制の安易な緩和を進めないよう繰り返し求めてきたところです。本院内市民学習会では、みなさんと一緒に「あるべき労働時間法制」について考えたいと思います。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。

日時 2017年4月20日(木) 18時00分~19時45分 (開場 17時30分予定)
場所 衆議院第一議員会館1階 多目的ホール
(【最寄駅】地下鉄丸ノ内線・千代田線『国会議事堂前』駅、地下鉄有楽町線・半蔵門線・南北線『永田町』駅)
参加費・受講料無料
参加対象・人数定員150名

内容①来賓挨拶
②野党法案の趣旨説明
③日弁連からの報告
④座談会 毛塚 勝利氏(法学者・元中央大学教授)他
⑤当事者・会場からの発言  など
申込方法事前申込要
※事前にFAXにてお申込みください(FAX 03-3580-2896)
チラシ兼申込書 (下記に掲載)
主催日本弁護士連合会
お問い合わせ先日本弁護士連合会 人権部人権第一課
TEL 03-3580-9857

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by kazu1206k | 2017-04-13 23:14 | 雇用 | Comments(0)

最低賃金大幅引上げ求め声明、日弁連

日本弁護士連合会は、7月13日付けで「最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明」を公表した。声明では「2020年までに1000円にするという目標を達成するためには、1年当たり50円以上の引上げが必要であるから、中央最低賃金審議会は、本年度、全国全ての地域において、少なくとも50円以上の最低賃金の引上げを答申すべきである」として、「最低賃金額の大幅な引上げを図り、地域経済の健全な発展を促すとともに、労働者の健康で文化的な生活を確保すべきである」と訴えている。

最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明

中央最低賃金審議会は、近々、厚生労働大臣に対し、本年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を行う予定である。昨年度の改定においては、全国加重平均18円の引上げ(全国加重平均798円)が行われた。

しかし、798円という水準では、フルタイム(1日8時間、週40時間、年間52週)で働いても、月収約13万8000円、年収約166万円にしかならず、労働者が経済的に心配なく暮らせる水準には程遠い。先進諸外国の最低賃金と比較しても、フランスは9.67ユーロ(約1219円)、イギリスは7.2ポンド(25歳以上。約1151円)、ドイツは8.5ユーロ(約1071円)であり、アメリカでも、15ドル(約1688円)への引上げを決めたニューヨーク州やカリフォルニア州をはじめ最低賃金を大幅に引き上げる動きが広がっているのに対し、日本の最低賃金はなお低い水準にとどまっている(円換算は2016年4月上旬の為替レートで計算)。

最低賃金周辺の賃金水準で働く労働者層の中心は非正規雇用である。非正規雇用は、全雇用労働者の4割にまで増加し、特に、女性の割合が多く、若年層で急増しており、しかも、家計の補助ではなく、主に自らの収入で家計を維持する必要のある非正規労働者が大きく増加した。貧困率が過去最悪の16.1パーセントにまで悪化し、女性や若者など全世代で深刻化している貧困問題を解決し、また、男女賃金格差を解消するためにも、最低賃金の大幅な底上げが図られなければならない。

最低賃金の地域間格差が依然として大きいことも問題である。昨年度の最低賃金時間額は、最も低い所では693円(鳥取県、高知県、宮崎県、沖縄県)、最も高い東京では907円であって、その間に214円もの開きがあり、地域間格差の拡大が続いている。急激な人口減少や県外への人口流出により労働供給が大きく減少している地域経済の活性化のためにも、地域間格差の縮小は喫緊の課題である。

政府は、2015年11月、最低賃金を毎年3パーセント程度引き上げ、全国加重平均が1000円程度となることを目指すとの方針を示したが、方針どおり、毎年3パーセントずつ引き上げたとしても、1000円に達するには2023年までかかる。しかし政府は、2010年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」においては、2020年までに「全国平均1000円」にするという目標を明記しているのであるから、目標を後退させるべきではない。

当連合会は、2011年6月16日付け「最低賃金制度の運用に関する意見書」等を公表し、繰り返し、最低賃金額の大幅な引上げを求めてきたところであるが、2020年までに1000円にするという目標を達成するためには、1年当たり50円以上の引上げが必要であるから、中央最低賃金審議会は、本年度、全国全ての地域において、少なくとも50円以上の最低賃金の引上げを答申すべきである。

上記答申がなされた後に各地の実情に応じた審議が予定されている各地の地方最低賃金審議会においても、以上のような状況を踏まえ、最低賃金額の大幅な引上げを図り、地域経済の健全な発展を促すとともに、労働者の健康で文化的な生活を確保すべきである。


 2016年(平成28年)7月13日
日本弁護士連合会
   会長 中本 和洋
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by kazu1206k | 2016-07-14 23:09 | 雇用 | Comments(0)

派遣法改正に抗議・見直しを求め日弁連声明

日本弁護士連合会は、10月1日、「労働者派遣法の本件改正に抗議する。そして、国に対し改正法の附帯決議を重く受けとめ、常用代替の防止の理念を維持しつつ、均等待遇規定の導入、派遣先の団体交渉応諾義務の導入などにより派遣労働者の労働条件を向上させるため、労働者派遣法の速やかな見直しを行うよう求める。」とする「労働者派遣法の改正に抗議し速やかな見直しを求める会長声明」を公表した。以下に、紹介する。

労働者派遣法の改正に抗議し速やかな見直しを求める会長声明

通常国会において審議されていた労働者派遣法改正案(以下「改正法」という。)が、本年9月11日、施行日を本年9月30日と修正した上で可決成立した。

改正法は、派遣労働者について、派遣元で有期雇用であるか無期雇用であるかによって区分けした上で、派遣元で有期雇用されている派遣労働者については、政令指定26業務を含めて派遣労働者個人単位で3年を上限とする期間制限を設定し、他方、派遣元で無期雇用されている派遣労働者については期間制限を撤廃している。

改正法は、有期雇用の派遣労働者について、派遣先・派遣元事業者が3年経過するごとに派遣労働者を入れ替えさえすれば派遣労働を永続することが可能となり、派遣労働の固定化につながって、常用代替防止の理念は果たされないことになる。

無期雇用の派遣労働者について、均等待遇の確保策が盛り込まれていない中で派遣可能期間を撤廃すれば、直接雇用労働者がより低い待遇の派遣労働者に置き換えられ、常用代替を促進することになりかねない。すなわち、今回の改正法は、直接雇用の原則から導かれる常用代替の防止の理念を著しく軽視するものというべきであり、極めて問題である。

また、改正法は、派遣期間の満了した派遣労働者の雇用安定措置として、派遣先への直接雇用申入れ、派遣元での無期雇用化等を挙げているが、雇用契約を直接的に変更する効力はなく、実効性を欠いている。

そして、改正法は、当初の施行予定日であった本年9月1日を過ぎても成立しない中、2012年改正労働者派遣法で成立していた「直接雇用申込みなし」制度の施行日前日である本年9月30日に施行日を変更して再議決されるという極めて拙速な経過で可決された。派遣労働者の7割近くが改正法に反対しているとの報道もある中、十分な審議もなく改正法の可決が強行されたことは極めて遺憾である。

当連合会は、2013年11月21日付け「『今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書』に対する意見書」において、本件改正のような方向性での労働者派遣法改正に反対するとともに、2010年2月19日付け「労働者派遣法の今国会での抜本改正を求める意見書」の方向性を提言することを改めて確認した。本件改正は、当連合会が上記意見書で述べた常用代替防止の理念を維持すべき等の意見に真っ向から反する。

改正法は、参議院厚生労働委員会で修正可決された際、過去に例をみない8分野39項目もの附帯決議が付けられたが、同附帯決議は、常用代替防止が派遣法の根本原則であることを確認するとともに、「派遣労働者と派遣先に雇用される労働者との均等・均衡待遇の実現のため、法改正を含めた必要な措置の在り方について議論を開始すること」、「派遣先の団体交渉応諾義務の在り方について、法制化も含めた検討を行うこと」等、上記意見書で求めた抜本的改正の足がかりになる内容も含まれている。

以上により、当連合会は、労働者派遣法の本件改正に抗議する。そして、国に対し改正法の附帯決議を重く受けとめ、常用代替の防止の理念を維持しつつ、均等待遇規定の導入、派遣先の団体交渉応諾義務の導入などにより派遣労働者の労働条件を向上させるため、労働者派遣法の速やかな見直しを行うよう求める。

2015年(平成27年)10月1日
日本弁護士連合会      
 会長 村 越   進 
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by kazu1206k | 2015-10-09 22:49 | 雇用 | Comments(0)