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カテゴリ:脱原発( 1303 )

「全漁業者の意見をきいて」海洋放出に県漁連、森林組合が反対

 4月6日午後、経済産業省による「第1回多核種除去設備等処理水の取扱いに係る『関係者の御意見を伺う場』が福島市で開催されました。
 これは、経済産業省資源エネルギー庁の汚染水処理対策委員会「トリチウム水タスクフォース」による「希釈後海洋放出」が最も短期間・低コストで処分できるとの処分方法報告書をを受け設置された「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(ALPS小委員会)が本年2月提出した「海洋放出の方がより確実に実施できる」とする報告書に対する意見を伺うというもので、「今後、政府としてALPS処理水の取扱い方針を決定するため、地元自治体や農林水産業者を始めとした幅広い関係者の御意見を伺う場」とされています。
 そもそも、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(ALPS小委員会)は、2018年の公聴会での「海洋放出されれば、福島県漁業が壊滅的打撃を受ける」という漁業者の声や多数の意見であった敷地内でのタンク貯蔵を継続する等の陸上保管の声を切り捨て、敷地不足を理由に陸上保管の継続に難色を示す東京電力の説明のまま、「地元の生活を犠牲にして廃炉を進めるのは論理が破綻している」「風評に大きな影響を与えないと判断される時期までの貯蔵が必要ではないか」等の委員の意見も無視して、本年2月に「海洋放出の方がより確実に実施できる」とする報告書を提出したのです。
 こうした経過から、経済産業省が「関係者」として何の基準や根拠も示さず恣意的に選んだと思われる自治体や産業界の代表者による意見表明という会になりました。「意思決定まで時間をかけるいとまはそれほどなく、できる限り速やかに処分方針を決定したい」」という、安倍総理大臣の3月10日の新聞発言に沿って、7月ごろまでにタンク貯蔵汚染水の海洋放出決定というスケジュールありき、「はじめに結論ありき」のセレモニーという状況がにじみ出ています。
 意見表明者は、福島県、福島県旅館ホテル生活衛生同業組合、福島県商工会議所連合会、福島県森林組合連合会、福島県漁業協同組合連合会、福島県町村会、相馬地方市町村会(相馬市長、南相馬市長、新地町長、飯舘村村長)でした。
 この中で、海洋放出に明確に反対したのは、福島森林組合連合会、福島県漁連です。
 福島県漁連の野崎会長は、要旨、次のように述べました。
 「ALPS小委員会の提言、すべて理解できた内容ではない。われわれとしては、なんでこのようなことが起きたんだ、ということに立ち返えってしまう。やはり原子力災害だ。われわれ福島県の漁業者は、地元の海を利用して、その海洋に育まれた魚介類を漁獲することを生業としてきた。震災後、地元で土着しながら生活を再建するということを第一に考えている。その観点から海洋放出を反対するものという考えに至らざるを得ない。国の廃炉に向けて進めてきた汚染水の総量を減らすため、地下水バイパス、サブドレンの排出に苦渋の想いで協力してきた。トリチウムを含んだ水については、関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない、というご回答をいただいている。それ抜きに信頼関係は成り立たない。沿岸漁業では、1魚種1検体の抽出検査を行い、試験操業を実施していきている。令和元年度の漁獲高は、震災前の14%。本年2月に出荷制限が解除され、今後、増産に向けて舵を切ろうとしている。9年で若い漁業者の参入が進んだ。今後彼らに将来を約束していくためにも、海洋放出に反対する。また、海洋に県境はない。意図的に海洋にトリチウムを放出することは、福島県の漁業者だけで判断することはできない。全漁業者の意見をきいてもらいたい。」
 また、他の5者のうち賛成は旅館ホテル生活衛生同業組合でしたが、「海洋放出は風評被害ではなく実害なので、処分終了まで補償が必要」としました。他は、概ね、「国が責任をもって判断すべき」「トリチウムの安全性について、国民の理解が高まるように十分な発信を」「十分な風評被害対策を」「補償を」というものでした。
 経済産業省は、『関係者の御意見を伺う場』の開催について、新型コロナウィルスの感染拡大により収束を待って開催するよう求める声を無視して、市民の傍聴を排除し報道関係の入場制限を行ってまで、開催を強行しています。第2回は、4月13日午前に福島市で、午後富岡町で、福島県商工会連合会、ヨークベニマル、福島県農業協同組合中央会、いわき市、双葉地方町村会なのど意見表明を予定しています。
 また、「書面での意見公募」を4月6日から5月15日まで受け付けるとしています。
 書面での意見公募要領は、以下参照ください。https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/takakushu_iken/opinion_point.pdf

以下は、FoE Japanの満田さんの発言概要メモです。

内堀県知事:
トリチウムの安全性を国がしっかり発信し、風評被害対策をとるべき

福島県旅館ホテル生活衛生同業組合:
放射性物質をまきちらすことは実害。残念だが、他県に持っていくことは信義に反する。水蒸気放出、海洋放出の2択であれば、海洋放出。しかし、これは実害なので、補償が必要である。
→意見書:https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/takakushu_iken/pdf/0406_01_03d.pdf

福島県商工会議所連合会:
原発事故の影響はいまだに甚大。国が先頭に立って、正しい情報発信をしなければならない。今朝のトリチウム水を放出したときの影響範囲のニュースについても懸念している。(海洋放出の是非についてははっきり言っていませんでした)

福島県森林組合連合会:
海洋放出には反対。森林除染については人家周辺のみ。森林内の放射性物質についての不安の声がある。森林所有者の経営意欲の低下などにより適正な森林管理が実施できない。多くの組合員はセシウム、トリチウムなどではなく、放射性物質として理解している。新たな放射性物質の放出は、やっと構築した信頼関係がなくなる。
質問(横山復興副大臣):いずれについても反対? 大気放出について反対?
福島県森林組合連合会:
私の事務所は富岡町。帰れない。まず働く人がいない。放出ということになれば、住民が帰れない、という不安がある。住民が帰れるような体制をとってほしい。大気放出も海洋放出も反対。

福島県漁業協同組合連合会(野崎会長):
ALPS小委員会の報告をすべて理解したわけではない。われわれとしては、なんでこのようなことが起きたのか、ということに立ち返らざるをえない。原子力災害だ。
福島県の漁業者は、地元の海洋に育まれた魚介類をとることを生業としている。海洋放出は反対せざるを得ない。
国の廃炉に向けて進めてきた汚染水の総量を減らすため、地下水バイパス、サブドレンの排出に苦渋の想いで協力してきた。トリチウムを含んだ水については、関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない、というご回答をいただいている。今後の信頼関係を維持するために重要。
沿岸漁業では、1魚種1検体の抽出検査を行い、試験操業を実施していきている。令和元年度の漁獲高は、震災前の14%。本年2月に出荷制限が解除され、今後、増産に向けて舵を切ろうとしている。9年で若い後継者の参入が進んだ。今後彼らに将来を約束していくためにも、海洋放出に反対する。
また、海洋には県境もなく、意図的に海洋にトリチウムを放出することは、福島県の漁業者だけで判断することはできない。全漁業者の意見をきいてほしい。

福島県町村会(小椋会長、北塩原村)
水蒸気・海洋放出、いずれにしても国が責任をもって方針を決定してほしい。
トリチウムとはどういうものなのか、処分方法の安全性について、国民に周知されているとは思えない。風評被害を拡大させないために、大人から子どもまで広く理解が得られるように情報伝達をお願いしたい。処分の決定は、スケジュールありき、福島ありきで議論をすすめてはいけない。ALPS処理水が安全であるのであれば、県外の処分も検討すべき。福島県内のみで今日のような会を開催するのであれば、福島県が前提のように思えてしまう。全国各地で開いてほしい。福島県から処分がはじまれば、風評被害が起こるは必至。実効性のある風評被害対策をお願いしたい。

相馬地方市町村会
相馬市長:
相馬市は漁業の拠点があるので、風評被害がある。(タンク水の貯蔵について)物理的に限界がある。科学的な根拠に基づき、国が適切に判断すべき。利害関係者の意見をきき、彼らの合意のもとに決めるべき。

南相馬市長:
市議会で国が責任ある方針を示し、国民にわかりやすい説明と理解を求めるべき、と答弁。議員からは、安全性の説明と理解が不十分、風評被害への対応の具体策がみえない、という意見が多く出されている。安全性の理解がえられる一層の努力をお願いする。時間がかかるので、タンク増設も検討するなど期限ありきでは
ない対応をお願いする。

新地町長:
安全性、風評被害の大きさを十分検討して行うようにしてほしい。処理方法の決断は、国が責任をもって行うことを求めたい。処理方法の決断については、漁業関係者の理解を得た上での決断をお願いしたい。
方法によっては、農家、観光、林業などより広い。トリチウム以外の放射性物質以外の除去を行い、告示濃度比1未満にすることを絶対的に守ってほしい。関係者に十分に説明し、理解を得るようにしてほしい。それまではタンクによる全量保管が必要だと考える。
処理にあたってはIAEAの立ち合いのもとに行い、透明性を確保してほしい。トリチウムはベータ線のエネルギーが小さいとか、自然界にもあるとかと思うが、最低限でもWHOの飲料水のガイドライン(1万Bq/L以下)を守ってほしい。処理にあたっては風評対策を同時に実施してほしい。補償も考えなければならない。漁業者支援として、地元漁業の振興策を講じてほしい。

飯舘村長:
諸外国は海に流している。国が一つの方向を示さない限り、いくらみなさんの意見をきいても結論はでない。報道では、判断にぎりぎりのところにきている、ということだ。多くの人たちが心配し、たいへんな想いをしている。国はそのための安全性の確保、賠償、補償を、腹をきめてきちんと出し、頭を下げてやるということが大切ではないか。

※経済産業省:多核種除去設備等処理水の取扱いに係る「関係者の御意見を伺う場」
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200330003/20200330003.html

※多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場 書面による御意見の募集について
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/takakushu_iken/index.html

※多核種除去設備等処理水の取扱いに関する書面での意見公募要領
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/takakushu_iken/opinion_point.pdf

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by kazu1206k | 2020-04-06 23:50 | 脱原発 | Comments(0)

原発事故の損害賠償請求権の消滅時効を再延長する法改正を求め、日弁連が意見書

 日本弁護士連合会は、3月18日付けで「東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効期間を再延長する法改正を求める意見書」をまとめ、同月25日付けで内閣総理大臣、法務大臣及び文部科学大臣宛てに提出しました。
 東京電力福島第一原発事故により生じた損害賠償請求権については、2013年12月11日に特例法が公布・施行され、これにより民法第724条前段に定める消滅時効期間は、「3年間」から「10年間」に延長されました。その後、民法改正に伴い「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により、特例法が再び改正されましたが、民法第724条前段に定める消滅時効期間は「10年間」のままであり、2021年3月11日以降順次消滅時効期間が満了します。
 しかし、復興庁は、東日本大震災による福島県から同県外への避難者数は、2020年2月10日現在で30,914名1としており、間もなく本件事故後10年が到来する現在であっても、避難生活を余儀な くされている被害者が相当数存在しています。
 また、事故被害者の中には、東京電力ホールディングス株式会社に対する損害賠償請求未了の被害者も相当数存在します。未請求者には、避難指示区域からの避難者、避難指示区域以外の地域からの避難者のみならず、本件事故後も事故前から居住していた地域において引き続き居住を続ける被害者もいます。
 意見書では、こうした現状を踏まえ、国は「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成29年法律第45号)により改正された「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律」(平成25年法律第97号)に関して、対応を行うべきであるとして、下記の3点を挙げています。

 1 法律の改正
 「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成29年法律第45号)により改正された「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効の特例に関する法律」(平成25年法律第97号)(以下「特例法」という。)第3条を改正し、民法第724条第1号の時効期間を「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」から20年とし、同条第2号及び同法第724条の2の規定は適用しないものとすべきである。
 具体的には、特例法第3条の規定を「特定原子力損害に係る賠償請求権に関する民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百二十四条の規定の適用については、同条第一号中『三年間』とあるのは『二十年間』とし、同条第二号の規定は適用しない。この場合においては、同法第七百二十四条の二の規定は、適用しない。」と改正すべきである。

 2 改正施行5年後見直しの検討
 前項の改正法施行から5年経過後に、損害賠償の実施状況等を踏まえ、時効期間の更なる延長を含めた見直しを検討すべきである。

 3 情報提供体制の強化
 特例法第1条に規定する「特定原子力損害の被害者」が、「特定原子力損害に係る賠償請求権」の消滅時効の期間までに賠償の請求をすることを促すために、同法第2条に規定する「情報提供体制」を更に強化すべきである。

 意見書全文は、以下を参照願います。
https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2020/opinion_200318_2.pdf
by kazu1206k | 2020-04-04 22:29 | 脱原発 | Comments(0)

漁業者の意見をきき経産省に要請

FoE Japanから、「ALPS処理汚染水:漁業者の意見をきく会&東電・経産省ヒアリング」の報告です。

4月2日、いわき市小名浜から小名浜機船底曳網漁協の理事である柳内孝之さんをお迎えし、経済産業省・東電・国会議員がいる前で「お話しをきく会」を開催しました。

【柳内さんのお話しのまとめ】
・現在、ほとんどの魚種が出荷制限解除になっているが、なかなか震災前の水揚げが回復していない
・ALPS小委員会の報告書が、海洋放出を推奨しているともとれる内容でたいへん危惧している
・たとえ浄化して海洋放出が実施されたとしても水産業にとって大きな打撃となる
・海外の輸出禁止措置の解除もむずかしくなる
・漁業の先が見通せず、投資意欲も減退している
・投資をしたとしても売り上げが回復しなければ借金のみが残ってしまう
・事故前のトリチウムの放出量は年間2.2兆ベクレル、これが東電の「素案」では少なくとも年間22兆べくれるが放出されてしまう
・(2018年の)公聴会でいろいろな人が意見を述べたが、多くの人が陸上での保管継続をすべきと発言。しかし、それができないと。できない理由として(敷地外に持ち出すことについて)法律がネックになっているということであったが、たとえば中間貯蔵施設についても新たな法律をつくって対応していた。今回の水の件も同様に対応できるはず。
・事故前の漁業に戻すには、競争力を取り戻さなければならない。福島の海をよりよい海にしていく必要がある。さもないと私たちは復興できない。

質疑の中で、「関係者の意見をきく、というが、すでに公聴会のときに意見は言っている。意見をきいて、それをどう反映するかが問題だ」という趣旨のことをおっしゃっていました。まさに、その通りだと思いました。

そのあと、東電・経済産業省との交渉を実施。
進行上、最後まで到達できませんでしたが、東電・経産の書面回答は以下のサイトにアップしています。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/200402.html

東電は「処分素案」の中で、海洋放出についてあれこれ書いているわりには、日量何m3を放出するのかなど基本的な数字についても答えませんでした。
「現在、タンクにたまっている水のうち、トリチウムを除く核種の告示濃度比総和(各放射性核種の濃度を告示濃度で除し足し合わせたもの。放出する場合は1を下回る必要がある)の最高値は何倍か。主たる核種は何か」という質問については、以下の回答でした。

「ALPS 処理水タンクに貯留する水の実測が完了したもののうち、測定した核種(セシウム(Cs)-137、セシウム(Cs)-134、ストロンチウム(Sr)-90、コバルト(Co)-60、アンチモン(Sb)-125、ルテニウム(Ru)-106、ヨウ素(I)-129)の告示濃度比総和の最大は14442.15。なお、これらの核種で告示濃度比が最も高いのはストロンチウム(Sr)-90 。」

ちなみに2018年10月の東電の発表データをみますと、告示濃度比総和の最大は、約2万倍となっています。なぜ下がっているのかという問いに関しては、後日回答ということになりました。

また放出した場合の海洋拡散シミュレーションも現在、実質バックグラウンド値として1Bq/Lとし、それ以上となるところを示して、狭い範囲で収まるという結果を出していますが、その根拠がたいへんあやふやなものでした(福島県の水道水が1Bq/Lだから、と回答していますが、その出典も示せませんでしたし、そもそも海洋の拡散シミュレーションなのに、なぜ?という感じです。)

水深ごとの鉛直方向の結果を出してほしいと言っても、「表層から放出されたトリチウムは、海洋の混合の影響によって、鉛直方向に均一に分布する」というようなよくわからない回答でした。

モニタリングについても、たいへん難しく時間もかかるトリチウムのモニタリングについて、簡単にできるかのように書いていることを高木基金の水藤さんが指摘。オンラインでつながっていたたらちねさんにも、いろいろと貴重なご指摘いただいたのですが、十分な回答をきくことができず、後日文書回答をいただくことになりました。

YouTubeによる映像はこちらからご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=8pTfc918qrM

また、FoE Japanは、経済産業省宛てに、ALPS処理汚染水に関して、4月6日開催予定の「関係者の御意見を伺う場」は、当面、延期とすること、一般市民も含め十分な意見聴取を行うこと、十分な質疑の時間を設けること、各地で開催すること、聴取した意見を十分検討すること、それを行わない限りは処分を決定すべきではないことなどを求める要請省を提出しました。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/200402.html
→みなさんもぜひ、経産省に要請してください!

漁業者の意見をきき経産省に要請_e0068696_10482933.jpg

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by kazu1206k | 2020-04-03 23:34 | 脱原発 | Comments(0)

「ALPS処理汚染水:漁業者の意見をきく会&東電・経産省ヒアリング」

FoE Japanから、「ALPS処理汚染水:漁業者の意見をきく会&東電・経産省ヒアリング」のご案内です。

「ALPS処理汚染水:漁業者の意見をきく会&東電・経産省ヒアリング」
日時:2020年4月2日(木)12:15~13:45
内容:12:15~12:45 漁業者のお話しをきく会
   12:45~13:45 東電・経産省ヒアリング
ゲスト:柳内孝之さん(小名浜機船底曳網漁協理事)

http://www.foejapan.org/energy/fukushima/200402.html

本来であれば、多くのみなさまに柳内さんの話を直接きいていただきたいのですが、コロナの感染拡大の状況下なので、YouTubeからご参加いただく形にいたしました。以下からご視聴ください。
https://www.youtube.com/user/FukurouFoeTV

資料>事前質問→後半のヒアリングはこれに対する回答と再質問という形で進行します。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/pdf/200402.pdf

東京電力多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書を受けた当社の検討素案について
http://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/reference/pdf/2020/1h/rf_20200324_1.pdf

★昨日も流しましたが、再度のお願いです。
ALPS処理汚染水に関して、経済産業省が、4月6日、福島市にて「関係者の御意見を伺う場」を開催しようとしています。
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200330003/20200330003.html

「関係者」の範囲を産業団体などに狭くしぼり、一般市民の意見は聞かない、傍聴はインターネットのみ、という実施方法です。
コロナの影響で、ということであれば、コロナが収まるまで意見聴取を延期すべきではないでしょうか? また意見聴取が十分行われるまでは、処分方法を決定すべきではないのではないでしょうか?
ぜひみなさまからも経済産業省に対して声をあげてください。

--

国際環境NGO FoE Japan
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
TEL: 03-6909-5983  / FAX: 03-6909-5986

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by kazu1206k | 2020-04-01 23:23 | 脱原発 | Comments(0)

避難者立ち退き提訴の撤回求め、緊急要請

 3月27日、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)などが、福島県に対して、原発避難者の住宅と人権保障を求める共同行動を実施し、国家公務員宿舎入居者に対する「2倍家賃の損害金」請求の中止や立ち退き提訴の撤回など4項目の緊急要請を行いました。
 緊急要請には、ひだんれんの武藤共同代表ら3名と避難の協同センターからも出席し、福島県の生活拠点課と避難地域復興課の各主幹に緊急要請を提出したものです。
 福島県は、3月25日、原発事故の避難指示区域外から、東京・江東区の国家公務員宿舎にの避難した4世帯に対し、部屋の明け渡しと賃料の支払いを求めて、福島地方裁判所に提訴しました。しかし、提訴された人の中には、障がい者年金で生活をしている人もおり、損害金を請求されている避難者には、請求額が収入を上回る人もいます。
 新型コロナウィルス感染症による社会的影響が拡大深刻化する中で、非正規雇用で働く避難者も影響を受け、減収や雇止めの不安に晒されているいます。このような緊迫した現状にもかかわらず、なぜこの時期に国家公務員宿舎の4世帯を提訴するのかと取り下げを求めたものです。
 福島県の生活拠点課などは、「話し合いでの解決に至らなかったため提訴した」と、これまでの主張を繰り返しましたが、ひだんれんの村田幹事は、「県民を裁判の場に被告として引きずり出して退去を迫るというのは前代未聞だ。次の住まいを探すなどしている避難者の現状を無視した行動は納得できない」と訴えました。

以下、要請書です。

福島県知事 内堀雅雄様 2020年3月27日

原発避難者の住宅と人権保障を求める共同行動・緊急要請
今こそ避難者住宅政策の抜本的な転換を求めます


 想定外の新型コロナウイルスのまん延により、政府と福島県が「福島原発事故からの復興」 を世界にアピールするはずだった2020東京オリンピック・パラリンピックの今夏開催は遠のき、 先の見えない不安が世界を覆っています。原発事故から10年目を迎えた被害者・避難者は、 未だ回復には程遠い現実に加え、この新たな災禍も加わり、二重三重の苦難を強いられていま す。知事は、今こそこの現状を直視し、喫緊の課題である避難者の住宅政策を抜本的に見直 し、県民の命と暮らしを守る責務を果たされるよう要請します。

 福島県は、政府の復興政策に足並みをそろえ、「2020年避難者ゼロ」を復興ビジョンの柱と してきました。その実現に向けて知事は、避難指示解除区域外からの避難者に対する住宅無 償提供を2017年3月で終了とし、経過措置として続けてきた国家公務員宿舎入居者の有償提 供、民間賃貸住宅入居者への家賃補助も打ち切りました。そして今年3月末には帰還困難区 域(浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村)の住宅提供打ち切りも強行しようとしています。

 そればかりでなく、経済的困窮や健康障害などで退去できないでいる国家公務員宿舎の入 居者に対して、昨年4月以降、退去と家賃2倍相当の「損害金」支払いの請求を続け、一部の 入居者には強制退去を求める訴訟を提起するという強硬手段にまで踏み切りました。

 これらの措置は、「住宅無償提供ゼロ=避難者ゼロ」を前提にした現実無視の政策、それ以 外の何物でもありません。県当局が認めているだけでも、未だ4万人を超える県民が元の生活 の回復はおろか、ふるさとを離れて全国各地で避難生活を強いられ続けているのです。生活の 根拠である住宅を追われ、健康を害し自死した人、毎月送られてくる県からの「2倍家賃」請求 に怯え続ける人、民間借り上げ住宅の貸主からの立ち退きと家賃の倍額請求に追いつめられ る人...。これらの人々の上に、新型コロナウイルスの影響で、パート切りや雇止めによる収入減 などの深刻な状況が追い打ちをかけているのです。

 東日本大震災と原発事故10年目。新たな社会情勢を踏まえ、いまこそ立ち止まって、これら 「復興の陰」の部分を直視し、原発事故の被害者である県民一人ひとりの命と暮らしを守る政 策に転換する証として、下記の事項に直ちに応えられることを強く要請します。

                             記
 1.国家公務員宿舎入居者に対する「2倍家賃の損害金」請求を止めること
2.国家公務員宿舎入居者に対する立ち退き提訴を撤回すること
3.帰還困難区域からの避難者の住宅提供打ち切り通告を撤回し、すべての避難当事者の意向と生活実態に添った住宅確保を保障すること
4.新型 コロナウィルスによる経済状況が改善するまで、福島県はみなし民間賃貸住宅の家主に対し、被災者への立ち退き要求や未退去者への損害金請求を行わないよう要請す ること、また避難先自治体に対しても同様に要請すること


 原発事故被害者団体連絡会
連絡先:☎080-2805-9004 Email:hidanren@gmail.com
「避難の権利」を求める全国避難者の会
 連絡先:☎080-1678-5562 Email:hinannokenri@gmail.com

避難者立ち退き提訴の撤回求め、緊急要請_e0068696_8111422.jpg

by kazu1206k | 2020-03-28 08:12 | 脱原発 | Comments(0)

学習会:ALPS処理汚染水について知っておきたいこれだけのこと

FoE Japanから、「学習会:ALPS処理汚染水について知っておきたいこれだけのこと」のご案内が届きましたので、ご紹介します。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/200330.html

東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける「ALPS(多核種除去設備)で処理した放射性物質を含む水」(以下ALPS処理汚染水)について、政府の小委員会は海洋や大気へ放出することが現実的な選択肢だとする報告書をまとめました。
これを受け、東京電力は、ALPS処理汚染水の処分案を発表しました。
経済産業省は、地元関係者の意見を聞く会を4月6日に福島市で開くとしています(詳細は未定)。
一方、原子力市民委員会により、陸上に大型タンクを建設し保管する「大型タンク貯留案」や「モルタル固化案」が提案されていますが、そうした案については十分検討されていません。
「そもそもALPS処理汚染水って何?」「何がふくまれているの?」「トリチウムって安全なの?」「本当に海に流すしかないの?」「漁業者はどのように考えているの?」
そんな素朴な疑問の数々に答えるための学習会を企画しました。事前にご登録いただければ,、zoomをつかったインターネットでの参加もできます(ご登録いただいた方に、オンライン参加用のリンクや簡単なzoomの使い方についてお知らせします)。ぜひご参加ください。

※発熱・咳などの症状のある方はご来場はご遠慮ください。

「学習会:ALPS処理汚染水について知っておきたいこれだけのこと」
日 時:2020年3月30日(月)18:00~20:30 (受付開始:17:30)
会 場:福島県教職員組合郡山支部(郡山市桑野二丁目33-9)
内 容 1.「ALPS処理汚染水」の処分をめぐる論点
2.トリチウムって安全なの?
3.陸上保管案とモルタル固化案
4.測定から見えてくること
5.国際的な動向
6.私たちにできること
7.質疑

発言(敬称略)
 佐藤和良(これ以上海を汚さないで!市民会議)
 満田夏花(国際環境NGO FoE Japan)
 伴 英幸(原子力資料情報室)
 川井 康郎(原子力市民委員会規制部会、オンライン参加)
 水藤周三(高木仁三郎市民基金)
 鈴木薫(いわき放射能市民測定室たらちね、オンライン参加)
 鈴木かずえ(グリーンピース・ジャパン、オンライン参加)
参加費:無料

申し込み:オンライン参加の場合は前日までにお申込みください(定員90名)。
参加可能なリンクをお送りします。
https://pro.form-mailer.jp/fms/b26ebea1192337
会場参加の場合は、申し込み不要です。
共 催:これ以上海を汚さないで!市民会議、ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)、 国際環境NGO FoE Japan、原子力資料情報室
問合せ:国際環境NGO FoE Japan
Tel:03-6909-5983 E-mail: info@foejapan.org

※汚染水Q&Aをまとめてみました。以下のリンクからご覧ください。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/200324.html
(内容)
Q:そもそも「処理水」って何?
Q:「処理水」には何が含まれているの?
Q:トリチウムって何?
Q:トリチウムは安全?
Q:海洋放出しか現実的な手段はないのでは?
Q:大型タンクに保管するというのは、どういうメリットがあるの?
Q:「モルタル固化処分案」とはどのようなもの?
Q:敷地は本当に足りないの?
Q:漁業者は何と言っているの?
Q:もう一度、冷却水に使えないの?
Q:福島県の世論は?
Q:トリチウムの規制はないの?

--
国際環境NGO FoE Japan
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
TEL: 03-6909-5983  / FAX: 03-6909-5986

学習会:ALPS処理汚染水について知っておきたいこれだけのこと_e0068696_821648.jpg

by kazu1206k | 2020-03-25 22:55 | 脱原発 | Comments(0)

原子力損賠請求権の消滅時効の延長等の立法措置の早期検討を求め声明、福島県弁護士会

 3月11日、福島県弁護士会は、「東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から9年を迎えるにあたっての会長声明」を公表しました。

 「被災者・被害者一人ひとりの「人間の復興」を目指し、支援を継続していく決意を改めて表明するとともに、国及び東京電力に対し、本件原発事故被害者の自己決定を尊重した賠償や生活再建支援を十分に行うこと、国に対し、原子力損害賠償請求権の消滅時効期間の延長等に関する立法措置の検討を早期に開始することを、改めて求める。さらに,国に対し,災害被災者一人ひとりの生活再建のための公的支援施策の充実を求めるものである。」としています。


東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から9年を迎えるにあたっての会長声明

 本日,2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故(以下,「本件原発事故」という。)から,9年を迎えた。
 本件原発事故は,県内の広範な地域に放射性物質汚染をもたらし,政府等の避難指示によって避難を余儀なくされた人のみでも10万人を超える住民らが突如として生活基盤を失った。この9年間に,多くの地域で避難指示が解除され,避難住民の帰還に向けた取り組みが続いている。しかしながら,避難が長期化し居住環境が荒廃していること,生活インフラや就労環境等の回復が十分ではないこと,除染によってもなお放射線量の高い箇所が残存していることなどの複合的な理由から,本件原発事故以前と同様の生活が成り立つ状況にはなく,避難者が帰還を決断するのは容易なことではない。当会は,これまで,本件原発事故により,避難を余儀なくされた被害者が,帰還,移住,避難継続などいかなる選択をしたとしても,その選択を最大限尊重し,一日も早く生活基盤の再建ができるよう,被害者の選択や意向に応じた最大限の賠償や支援を行うことを,加害者である国及び東京電力ホールディングス株式会社(以下,「東京電力」という。)に対して求めてきたが,いずれの対応もまだ不十分と言わざるを得ない。また,東京電力は,原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を合理的な理由なく拒絶し続けるばかりか,最近では裁判所の和解案すら拒絶するに至るなど和解案尊重の約束も反故にし,賠償に対する誠実な態度は見られない状況である。当会は,このような状況に鑑み,改めて,国及び東京電力に対し,被害者の自己決定を尊重した賠償や生活再建支援を十分に行うことを求める。
 本件原発事故による賠償請求権の時効期間は,2013年(平成25年)12月に成立した「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律」(以下,「特例法」という。)により,被害者が損害及び加害者を知った時から10年,損害が生じたときから20年とする特例が適用されている。しかし,本件原発事故による損害賠償は,極めて多数の被害者が存在すること,個々の被害者に性質や程度の異なる損害が同時に,かつ日々継続的に発生していること,長期の避難生活等の事情により,損害額の把握やその算定の基礎となる資料収集に支障をきたす被害者が存在すること,ことに不動産等の賠償については,数次にわたる相続関係の処理等に長期間を要する事例があることなど,一般的な不法行為に基づく損害賠償とは異なる特殊性があり,特例法にもかかわらず,このままでは賠償請求権が時効により消滅してしまう事態が強く懸念されるところである。当会は,2019年(令和元年)10月16日付「原発事故損害賠償請求権の時効消滅に対応するための立法措置を求める会長声明」において,時効再延長のための再度の立法措置を求めているところであるが,消滅時効期間の完成が早ければ1年後にも迫っていることから,国に対し,再度の立法措置に向けた検討を早期に開始することを強く求める。
 また,東日本大震災からの9年間の間に,わが国では,大規模な自然災害が頻発している。この1年間においても,2019年(令和元年)10月の令和元年台風19号災害及びその後の豪雨災害(以下,総称して「令和元年台風19号等災害」という。)により,福島県を含む広い地域に甚大な被害が発生している。大規模な自然災害は突如として生じ,生命身体に対する甚大な被害をもたらすとともに,その生活基盤である住家や生業の基盤等を喪失・損壊する。自然災害からの生活再建は,被災者個人の自助努力のみではいかんともしがたく,いわゆる「災害ケースマネージメント」に基づき各人の被災状況やニーズに応じたきめの細かい公的支援が必要不可欠である。当会は,国に対し,災害被災者一人ひとりの生活再建のための公的支援施策の充実を求めるものである。
 当会は,東日本大震災及び本件原発事故から9年を迎える本日,被災者・被害者一人ひとりの「人間の復興」を目指し,支援を継続していく決意を改めて表明するとともに,国及び東京電力に対し,本件原発事故被害者の自己決定を尊重した賠償や生活再建支援を十分に行うこと,国に対し,原子力損害賠償請求権の消滅時効期間の延長等に関する立法措置の検討を早期に開始することを,改めて求める。さらに,国に対し,災害被災者一人ひとりの生活再建のための公的支援施策の充実を求めるものである。

2020年(令和2年)3月11日

福島県弁護士会
会長  鈴 木 康 元






by kazu1206k | 2020-03-22 22:03 | 脱原発 | Comments(0)

タンク貯蔵汚染水の海洋放出は許さない

 福島原発事故によるタンク貯蔵汚染水の海洋放出問題が急展開しています。
 経済産業省のALPS小委員会による海洋放出報告書を受けて、3月10日、安倍首相は五輪・パラリンピックの後か、前かということを含めて「意思決定まで時間をかけるいとまはそれほどなく、できる限り速やかに処分方針を決定したい」と新聞社のインタビューに答えました。経済産業省は、県内関係自治体や15市町村議会、関係者のヒヤリングを開始しています。4月6日には、福島市で関係省庁が地元の関係者から意見を聞く会を開くとしています。
 これに対し、福島民報社が3月14日「時間切れ許さない」という社説を出し、17日には浪江町議会が海洋放出反対決議を行いました。
 わたくしたちは、一昨年の説明公聴会で圧倒的多数を占めた陸上保管を求める声を、一顧だにしない政府の強硬姿勢を許すわけにはいきません。
 この間の事態を受けて、あらためて、かけがえのない海をこれ以上汚すな!漁業者を孤立させるな!と訴えてまいります。
 「トリチウム水問題を考える」は、認定NPO原子力資料情報室の山口幸夫共同代表が、『原子力資料情報室通信』第532号(2018/10/1)に公表された論考です。改めて、ご紹介いたします。
 
トリチウム水問題を考える

トリチウム水の海洋放出の是非をめぐって、大きな議論になっている。これは、原発を運転すると必ず出てくる放射性廃棄物をどう考えるのか、誰にとっても、知らないでは済まされない難問のひとつである。わたしの考えを以下に述べてみよう。
かねてより経産省は検討委員会をつくって、トリチウム水をどうするか、5つの案を検討してきた。地層注入、海洋放出、コンクリート固化して地下埋設、水蒸気にして大気放出、水素にして大気放出についてだ。長期に保管する案はなかった。技術的課題、処分期間、監視期間、処分費用などが議論されてきた。(注1)
他方、原子力規制委員会の田中前委員長・更田現委員長は、トリチウム濃度を告示濃度以下に薄めて海洋に放出せよと発言してきた。
海に出して捨てていいか、8月末に福島県富岡町、郡山市および東京都内の3会場で、経産省は公聴会を開いた。公述人44名のうち42名が反対の意見を述べた。当室の伴英幸・共同代表もそのひとりである。(注2)
三重水素とも言うが、トリチウムは半減期が12.3年でベータ崩壊をし、ヘリウムになる放射性物質である。いくら薄めるとはいえ、いったん海洋放出されれば海中生物だけでなく陸上の植物や生物への影響がありえる。漁業にもダメージを与える。生物濃縮も懸念される。水なので人体に取り込まれて遺伝子を傷つける恐れがある。生命系に対して安全とはいえない。こういう反対意見が次々に述べられた。

薄めれば安全といえるか
トリチウムに限らず、放射性物質に関しては、排液中のその放射性物質の濃度を制限する告示濃度というものが法律で定められている。公衆の安全を守るための判断基準である。だが、この基準値をきめることは厳密には不可能なのである。一口で言えば、条件が複雑すぎて、計算できないからである。因果関係が一筋縄ではいかないので果たして信頼できる数値かどうか、誰にも証明できない。多分、その辺りだろうくらいの判断になる。推進する側も努力を重ねるが、疑いのない唯一の数値を得ることはできない。新しい見方、考え方が出てくれば、また、観測や測定によって新たなデータが得られれば、改訂せざるを得ない。それはより厳しい数値へと改められる。その作業に終わりはない。
ある濃度の放射性物質が入っている水を、生まれてから70歳まで飲み続けると仮定して、1年あたり1ミリシーベルトの実効線量限度に達するときの濃度が濃度限度とされる。ただし、放射性核種は1種類であると仮定している。ここで、1ベクレルの放射能が何ミリシーベルトになるか、換算の線量係数という値を用いる。これはもちろん核種によって異なる。
こう聞いて、たちどころに疑問が湧いてくるだろう。他の核種が入っていたら? 被ばくする人の健康状態がいろいろだったら? 吸入摂取か経口摂取かの違いは考慮されてはいるが、線量係数は一意的にきめられるか? シーベルトで表される被ばく線量は人の被害の程度をあらわしているか? そもそも、1年あたり1ミリシーベルトというのは甘すぎるのではないか?
告示濃度以下に薄めて海洋放出せよとの規制側の考えは、なんと大雑把な考え方かと思う。報道によると、更田規制委員長は、トリチウム水の保管が長引けば長引くほど廃炉に影響が出る、と記者会見で述べたらしい。原子力規制委員会の姿勢がわかる。 手元に、さまざまな放射性物質のクリアランスレベルの評価値の変遷を示したデータがある。クリアランスレベルとは、原子力施設の解体や運転中に出てくる放射性物質で、これ以下なら公衆の健康への影響は無視できるとされる境界の値のことである。複数の放射性核種が存在する場合は全核種を考慮に入れる。算定の目安値は、現実的なシナリオに対しての個人線量基準は10マイクロシーベルト/年、発生頻度の小さいシナリオでは1ミリシーベルト/年とする。ストロンチウム90やセシウム137などに比べると、トリチウムは格段に基準値が大きい。広く文献を参照し、また、摂取する経路を考え直し、原子力安全委員会の部会ではkg当たり71ベクレル、200ベクレル、60ベクレルと二転三転してきたが、けっきょく100ベクレルとされたのである。

科学的に考えると
自然界には、宇宙線によって生ずるトリチウムがある。環境中には、核実験と原子力施設で人為的につくり出されたトリチウムがある。原子力発電では、重水を使うCANDU炉(カナダで開発された)からの放出が大きい。軽水炉では、加圧水型炉のほうが沸騰水型炉よりも多く発生する。再処理工場では桁違いに大量のトリチウムが発生する。
水の分子式はH2Oだが、水素Hが1つだけトリチウムTと入れ替わったものがHTOであり、これがトリチウム水である。また、有機結合型トリチウムOBTと呼ばれる物質がある。これらの環境中における振る舞いや魚類、貝類、植物、動物など生態系への影響については多くの研究があり、科学論文として発表されている。それらは、個々のケースの研究である。おおむね、注意して対処できるとの報告である。
しかし、カナダ、日本、ドイツ、アメリカ、イギリスなどの原子力施設近傍の住民に小児白血病、新生児死亡、遺伝障害などの増加が観察されている。

これらも個々のケースの研究ではある。原子力推進もしくは容認の立場からは、無視されるか、否定的な扱いを受けている。不都合なデータとみなされているふしがある。
このような、評価が分れるケース研究の場合、科学的に明快で統一的な結論をみちびくことは困難である。経験と根拠に基づき、論理的・体系的に、機序を明らかにして判断しなければならないからだ。実験室内でも条件を厳密に設定することに苦労するが、自然界ではそれが不可能である。因果関係を突き止めようとしても、原因となる要素が無数にあるのが通常のことで、しかも思い及ばない要素もありうる。それぞれの軽重の判定にも価値判断が入る。だが、観測事実を否定するわけにはいかない。
放射線被ばくの影響を考える際の、「直線しきい値なしモデル」(LNTモデル)は、“いくら低線量であっても、放射線の影響を無視してよいというしきい値は存在しない”という考えだ。
故アリス・スチュアート博士は「たとえ1本の放射線であっても、ピンポイントに遺伝子を破壊することがあるのです」と明言している。
海洋に出たトリチウム水が均一に薄められるという保証はない。出入りの複雑な海岸があり、その沿岸を流れる海水の挙動は多様である。シミュレーションもいろいろである。海水の大循環は自転する地球に大きく影響されている。台風も異常気象も制御はできない。海は静かで無限に広いのではない。当然のことだが、計算通りにはいかない。
世界中の原子力施設から一定の濃度制限のもとに放出されたとしても、総量が何処まで増えるだろうか。どこかの濃度が際立って大きくなる心配がある。総量に対する規制も不可欠である。
わたしたちには、大気が汚染され、川と海が汚染され、公害にひどく苦しんだ経験がある。人為的に作り出された放射性物質は、環境に漏れ出ないように、厳重に閉じ込めておくしかないのである。それができないなら、原子力をやめるしかない。

(注1) 経済産業省,トリチウム水タスクフォース報告書
www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/tritium_tusk/pdf/160603_01.pdf

(注2) 本号9ページ, 谷村暢子, 「福島第一原発事故 汚染水処理問題の現状と市民の反応」
NIT,No.186,2018 The Fukushima Daiichi Nuclear Accidennt ; Current State of Contaminated Water Treatmennt issues and
Citizens’Reactions
伴英幸,「【トリチウム公聴会】発言者のほぼ全員が反対! トリチウム等汚染水の海洋放出」 cnic.jp/8163

(山口幸夫)

『原子力資料情報室通信』第532号(2018/10/1) より

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by kazu1206k | 2020-03-20 22:54 | 脱原発 | Comments(0)

判例時報の「東電刑事裁判」特集号

 判例時報誌の「東電刑事裁判」特集号が発売されました。海渡雄一弁護士からのご案内です。

「昨年9月19日に言い渡された判決の全文が収録されているだけでなく担当裁判官が書いたと思われる解説と特集論文が6本という大特集です。
 特集論文を執筆しているのは、刑事法学者と元裁判官(刑事と民事)と被害者代理人であった私も「東電刑事無罪判決に書かれなかったことー被害者参加代理人として法廷に立ち会ってー」と題した論考を寄稿しています。福島原発事故とこの刑事裁判に心を寄せてくださる多くの皆さんに、手に取っていただき、ご感想をいただければ幸いです。
 定価は税込みで1700円。
 おおきな書店でもお求めになれますが、アマゾンなどでも買えます

判例特報・特集
判例特報東電福島第一原発業務上過失致死傷事件(東京地判令1・9・19)...5
特集東電福島第一原発業務上過失致死傷事件一一経営陣を無罪とした第1審判決の検討
①福島第一原発水素爆発事件・東電元副社長ら強制起訴事案第l審判決と過失犯についての見せかけのドグマ….......古川伸彦...46
②東電無罪判決雑感............................小林憲太郎...48
③東電無罪判決の手法について ..........福崎伸一郎...53
④東電経営陣の無罪判決について…………樋口英明…58
⑤福島第一原発事故と東京電力の責任民事判決との対比から一一… … … ……… … … … … 大塚正之…63
⑥東電刑事無罪判決に書かれなかったこと一一被害者参加代理人として法廷に立ち会って一・・・・海渡雄一...68

 大変力の入った特集です。判例時報社には感謝の言葉もありません。この裁判の控訴審での争点を理解するための必携書です。

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by kazu1206k | 2020-03-14 22:56 | 脱原発 | Comments(0)

『人間の復興』の実践と被災者支援を継続、日弁連会長談話

 日本弁護士連合会は、3月11日、被害の事実が一層風化しつつあるのではないかと危惧するとして、「復興は憲法が保障する基本的人権を回復するための『人間の復興』であるべきことを強調してきたが、その第一歩ともいうべき住宅再建については、今なお仮設住宅での生活を余儀なくされている被災者が多数存在し、災害公営住宅の家賃引上げや、収入要件を理由とする立退き要請も見受けられる。他方で、災害公営住宅への入居がかなわず、過酷な住環境に置かれたままの在宅被災者も少なくない。」などと指摘、「東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から9年を迎え、『人間の復興』の実践と被災者支援を継続する会長談話」を公表しました。以下に、紹介します。


東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から9年を迎え、「人間の復興」の実践と被災者支援を継続する会長談話


東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から9年が経過した。被災地では今なお多くの被災者が困難の中にあるが、10年の節目を前に被害の事実が一層風化しつつあるのではないかと危惧される。

当連合会は、これまで災害からの復興は憲法が保障する基本的人権を回復するための「人間の復興」であるべきことを強調してきたが、その第一歩ともいうべき住宅再建については、今なお仮設住宅での生活を余儀なくされている被災者が多数存在し、災害公営住宅の家賃引上げや、収入要件を理由とする立退き要請も見受けられる。他方で、災害公営住宅への入居がかなわず、過酷な住環境に置かれたままの在宅被災者も少なくない。

また、災害関連死を可能な限り減少させることは最重要課題の一つである。東日本大震災における災害関連死の本格的な実態調査等の結果はいまだに公表されていないが、今後の災害発生時における災害関連死の防止の観点からも、早急に調査結果の分析とこれに基づく対策が必要である。

さらに、原発事故からの復旧・復興も、いまだ十分なものとは言えない。避難指示が解除された自治体への帰還率は、現在も決して高いとは言えず、帰還した被害者もインフラが十分に整わない環境での不便な生活を強いられている。他方で、避難を続けざるを得ない被害者も多数存在し、避難の長期化による孤立・差別・いじめの問題や公的支援の打切り等により、精神的にも経済的にも厳しい状況に置かれている。事業者についても、いまだ商圏も十分に回復せず、風評被害も継続している中、営業損害賠償の打切りが通告されるなど、今後の事業継続に大きな不安を抱えており、原発ADR(和解仲介手続)についても、被害者救済のためにはより一層の充実した運用が求められる。

時間の経過に伴い被災者の課題はますます個別化し、支援の在り方も個々のケースによって異なりつつあり、被災者の「人間の復興」を実現するためには、一人一人の被災状況を的確に把握し、様々な支援施策や福祉施策を組み合わせて個別の生活再建計画を立て、人的支援も含めて総合的に被災者を支援する仕組み(災害ケースマネジメント)を全国的に実現することが有益である。

昨年も、全国各地で大規模災害が相次ぎ、令和元年台風災害の被害発生を受け、当連合会は、直ちに災害対策本部を設置し被災者支援に取り組んだ。

東日本大震災以降にも大規模災害が相次いでおり、今後も高い確率でその発生可能性が指摘されていることに鑑みれば、東日本大震災及び原発事故の被災者に対する支援は、これらの災害復興支援の先駆例となるべき位置付けにあると言える。

よって、当連合会は、今後も、「人間の復興」の実践を目指し、全国各地の経験と英知を結集して被災者支援を継続していく所存である。

 2020年(令和2年)3月11日

日本弁護士連合会

会長 菊地 裕太郎








by kazu1206k | 2020-03-13 23:00 | 脱原発 | Comments(0)