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福島第1原発1・2号機排気筒の上部解体工事

 東日本大震災と福島原発事故から、今年の3月11日で丸8年が経とうとしています。
 依然、あの日発令された政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されておらず、福島第一原発の事故収束作業は続いています。
 事故の際に、大量の放射性物質を環境中に放出するベントを行い、腐食による倒壊の危険性が指摘されてきた、福島第1原発1・2号機の排気筒(鉄骨構造・高さ120メートル)の地上60mから120mまでの上半分を、3月から、大型クレーンなどで筒身や鉄塔の切断を実施する解体工事が始まります。
 福島第1原発1・2号機の排気筒は、高さ約66メートル付近の接合部で、支柱の破断が5ヵ所、変形が3ヵ所確認され、45m付近で「V」字形に取り付けられた支柱の一本の接合部が完全に切れ破断していることなどが確認されてきました。
 排気筒の亀裂ついて、東京電力は、東北地方太平洋沖地震の揺れと水素爆発を受けているにもかかわらず、30年の経年劣化も考慮せずに、施工当時の数値で支柱破断の影響を見る耐震評価を行い、東北地方太平洋沖地震と同程度の最大加速度600ガルの地震動に対し健全性は保たれると強弁し続けました。そして、「点検の結果、初回点検時に確認された変形や破断箇所以外には、新たな損傷は確認されません」と繰り返してきましたが、外部のマスコミ等の指摘で損傷確認が追加されるという、依然杜撰な点検体制の不備が指摘されきました。
 もともと、1号機の高経年化に関する技術評価書では、排気筒の推定耐用年数は20年、内訳は塗膜が16年、鋼材が4年で、塗膜の効果がないと4年で鋼材の断面積が平均10%減少すると推定。2007年の塗膜は、2011年爆発で損傷しており、損傷箇所の鋼材は6年間、塩分を含む風雨に曝され、断面積減少、鋼材の腐食による強度の不足が懸念されてきました。原子力規制庁も、排気筒の亀裂問題について、判明した2013年9月に倒壊に伴う環境影響評価を示すように東京電力に指示してきました。
 排気筒の線量率は、東京電力によれば地上120mでは毎時0.5ミリシーベルト、地上60mでは毎時1.5ミリシーベルト程度とされますが、排気筒の下は、致死量を超える毎時25シーベルトもの高線量地点(2013年12月東電調査)があり、依然として立ち入り禁止区域として危険な環境にありました。排気筒が倒壊すれば、排気筒内部や下部に蓄積されたベントの際の大量の放射性物質が飛散するばかりか、メルトダウンが最も進んだ2号機の建屋が一部でも破損すれば、建屋内に滞留している大量の放射性物質のダストが、近隣に大量の放射性物質のプルームとして流れ出す危険性が指摘されてきました。
 排気筒の亀裂問題は危険な状態が続いており、地上60mから120mまでの上半分を解体する方針ですが、ベントの際の大量の放射性物質のダスト飛散を防止する対策を徹底することが求められています。また、高線量エリア近接作業のため、作業者の被ばく線量の徹底した管理と被ばく低減策が求められています。さらに、危険除去のため全面解体を求める声もあります。
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# by kazu1206k | 2019-01-03 22:41 | 脱原発 | Comments(0)

「かずよしレポートNo.54」を発行

 「かずよしレポートNo.54」を1月1日付けで発行しました。
 いわき市議会11月定例会(11月29日〜12月13日)の全体概要と私の一般質問と質疑の主なやりとりを収録しました。

 いわき市議会11月定例会は、市長提出の73議案と福島県獣医師会いわき支部などが請願した「『(仮称)いわき市動物愛護センター』の早期建設を求める請願書』や「東京電力福島第一原子力発電所からのトリチウム水の国民・市民の理解が得られていない海洋放出については慎重に決定することを求める意見書」など6意見書を可決しました。
 議案は、「市幼稚園型認定こども園等の認定の要件を定める条例」制定1件、市下水道条例など条例改正10件、小・中学校空調設備設置事業費や本庁舎等耐震化改修事業費などの平成30年度いわき市一般会計補正予算(第3号)など補正予算が17件、「指定管理者の指定について」など、その他39件、教育委員会委員の任命の同意など人事6件です。
 創世会は、補正予算の本庁舎等耐震化改修事業費について、補正が軟弱土の判明を理由とするものの、軟弱土は業者が設計時に予見可能であり、発注者負担に無理があるとして反対しました。

 私の一般質問では、「1 いのちを守る、医療・福祉の充実と原子力災害対策について」「2 いのちを守る、子育て環境の整備について」「3 いわき市の再生と地域課題の解決について」を大きなテーマに質問を行いました。
 掲載した質問項目は、1のうち「いわき市医療センターの開院、医師の確保は」「高齢者を支える住民支え合い活動づくり」「重度心身障害者交通費の助成増を」「福島第一原発・排気筒解体工事に伴う放射性物質の飛散防止対策を」「東海第二原発の再稼働に反対を」。2では、「幼児教育・保育の無償化と担い手の確保を」。3では、「中小企業・小規模企業への経営発達補助、伴走型支援の強化へ」「いわきバッテリーバレー構想と企業誘致へ」などです。

 質疑では、「議案第5号 いわき市下水道条例の改正について」で「公共下水道使用料の平均14.8%引き上げの理由」、「議案第9号 平成30年度いわき市一般会計補正予算(第3号)について」では、本庁舎等の耐震化改修費の補正について、「工事請負費や委託料など補正額の積算内訳」、「昭和45年と平成26年の地質調査報告書を資料とし、実施設計時等に地質調査、土質試験等を実施して、軟弱土の状況は確認でき、自己の確認不足で、費用負担を請求する事業者は信義則及び善良な管理者の注意義務に反するのでは」などの質疑を掲載しました。

 「かずよしレポート」は、1月4日のいわき民報など新聞折り込みのほか、郵送または手配りしております。下記にご請求いただければお届けいたします。
 また、議会報告会は1月8日から15日まで、5カ所で予定しておりますので、お出かけ頂ければ幸いです。
議会報告会のお知らせ
●1月8日(火)午後6時30分 
   平月見町 26区集会所
●1月9日(水)午後6時30分 
    小名浜 小名浜公民館
●1月12日(土)午後2時
    鹿島町 鹿島公民館
●1月12日(土)午後6時30分 
江名 江名集会所
●1月15日(火)午後7時 
    常磐 常磐公民館


〒971-8144
福島県いわき市鹿島町久保字於振1-2
電話&Fax0246-58-5570

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# by kazu1206k | 2019-01-02 20:12 | 議会 | Comments(0)

いのちを守る!2019年に

 2019年1月1日、清々しい元旦を迎えました。
 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 旧年中のご支援と励ましに感謝申し上げます。

 本年も、いのちを守る!ため、元気に頑張ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 早朝、燈明をあげ、若水を汲んで、ご先祖様に御礼と新しい1年の誓いをを申し上げました。午前5時から朝起会の元朝式に出席。午前6時半過ぎ、江名女性の会のみなさんが甘酒を振る舞う江名港に伺いました。午前7時近く、風もなく素晴らしい初日の出を、多くの市民の皆さんとお迎えした後、小名浜諏訪神社に初詣。年来の感謝を申し上げ、諏訪神社のみなさまにご挨拶致しました。午前9時からは、鹿島町久保1区の御霊神社の元旦祭、午前10時すぎ下蔵持区の新年会に伺い、ご挨拶申し上げて、鹿島町での昨年の活動、これからのまちづくりなどについて、大いに語り合いました。


 来たる3月11日には、東日本大震災と福島原発事故から、丸8年となります。ハード面の復旧・復興は進んできましたが、未だ、多くのことが取り残されている現状にあります。未だに、政府の原子力緊急事態宣言は解除されず、事故の収束作業が続いています。復興の加速化の名の下に、拙速な帰還政策が進められていますが、長期の低線量被曝の受忍と被害者・被災者に「寄り添う」という言葉とは裏腹の被害者の切り捨てにつながっています。


 わたくしは、「いのちを守る」という原点にたち、引き続き、福祉と医療の充実、子育て環境の整備、原発事故対策、農林水産業・中小企業の活性化など「5つの約束」の実現に向けて、いわき市民のみなさんと手を繋いで活動を進めます。市民の皆さんの切実な願いや課題の解決に向けて、今年も、あきらめず行動していく決意です。

 子どもたちの未来のために、平和で安心して暮らせる社会を目指して、一緒に力を合わせて、一歩一歩前進してまいりましょう。どうか、本年も変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

 みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

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# by kazu1206k | 2019-01-01 22:55 | 地域 | Comments(0)

裁判所は被害者と遺族の無念に応えて!代理人意見陳述

 12月27日、前日、業務上過失致死傷罪の法定刑として最大の禁錮5年が求刑された、東電福島原発事故で強制起訴された元東電幹部3被告の第36回公判は、被害者参加人である事故被害者遺族の代理人として、福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団の弁護団である、海渡雄一弁護士、甫守一樹弁護士、大河陽子弁護士の3人が意見陳述をしました。
 被害者遺族の代理人は、「被害者は、福島第一原発事故が起きたために、双葉病院から避難せざるを得なくなり、約10時間もの長時間にわたって、水分も栄養分も摂取できず、寝返りさえ打てずに、ずっと同じ姿勢で、排せつのケアもされることなく、ただバスに乗せられたまま、避難を続けた。しかも、原発の爆発が何度も起き、放射線量が平常時の数十倍から数千倍もの高く、汚染が極めてひどい状況だった。そして、極度の脱水、極度の栄養失調に陥り、体重で圧迫されている部位は痛み、排泄のケアもされず、バス車内の臭いにも耐えなければならない。ようやくバスから降ろしてもらっても、医療設備もなく、暖房設備もなく、寝具すらない、入院患者がおよそ滞在できる環境ではない悲惨な環境に置かれた。
 被害者は,こうした極めて過酷な避難によって体力を奪われた末に、命までも奪われた。
 このようにして被害者の命を奪った原発事故を引き起こした被告人らの責任は、極めて重大である。」と、被害者の被害の原点から説起しました。
 その上で、「推本の長期評価を取り入れて対策することは平成20年2月の御前会議で方向性が合意され、3月の常務会で決定されたこと」「津波対策先送りは武藤の単独判断ではありえない」など、これまでの証言と社内資料やメールなどの証拠をひきながら詳細に経緯を解き明かし、被告人ら3名の刑事責任を明らかにしました。
 そして、「原発事故を引き起こした者の責任が明らかにされなければ、命を奪われた被害者の無念は晴れない」として、この思いを裁判所はしっかりと受けとめて、指定弁護士の求刑通り、厳正な判決を求めました。
 意見陳述は、以下の項目でした。

 第1 双葉病院などの避難は放射能によって阻まれた
   1 福島第一原発事故前の平穏な生活
   2 福島第一原発事故の発生,避難指示
   3 第1陣避難
   4 自衛隊が双葉病院へ向けて出発,原発爆発
   5 半径20km圏の避難指示
   6 自衛隊は丸一日以上待機
   7 輸送支援隊の再度の出発,双葉病院に到着
   8 第2陣避難,被害者もバスに
   9 原発2度目の爆発,受け入れ先がない,高い放射線量
  10 いわき光洋高校に到着,被害者の死
  11 小括

 第2 過去の事故の教訓が生かされなかった
   1 チェルノブイリ原発事故
   2 柏崎刈羽原発の被害
   3 小括

第3 当時の国の方針と科学的知見からすれば福島沖に大きな津波を想定すべきで あった  
   1 科学的な根拠のある予測に対しては謙虚になるべき
   2 神様はチャンスを与えた
   3 土木学会の津波評価技術
   4 長期評価について

第4 地震津波対策に関わるバックチェックには3年の期限があった。それが守られていれば津波対策実施は行われていたはず
   1 スマトラ島沖大地震・津波と保安院による検討要請
   2 保安院からの検討要請
   3 溢水勉強会における審議経過
   4 津波を含む耐震バックチェックの開始
   5 保安院はバックチェックにおける厳しい津波対応を求めていた
   6 保安院の耐震バックチェックスケジュールの遅れがなければ津波対策は完了できた

第5 土木調査グループの津波検討は遅れて始まった
   1 中越沖地震の発生と柏崎・刈羽全機停止の持っていた意味
   2 「中越沖地震対応打合せ」が開催されるようになる
   3 「中越沖地震対応会議」=「御前会議」の開催とその意味
   4 東電福島津波対策はいつ始まったのか
   5 酒井氏の振り返り説明
   6 高尾氏の津波対策開始時の説明
   7 平成19年11月1日東電土木グループと東電設計間の打ち合わせ
   8 平成19年11月19日東電設計文書の作成過程
   9 東電設計の概略計算結果
  10 平成19年12月11日太平洋岸4社の推本(三陸沖~房総沖)津波に関する打ち合わせ

第6 2008年1月の推本の長期評価を取り入れた津波計算の依頼は会社としての意思決定であったこと
   1 東電から東電設計に対する津波評価委託
   2 平成20年1月23日酒井メール
   3 平成20年2月1日福島第1・第2耐震バックチェック説明会が開催される
   4 平成20年2月4日酒井メール

第7 推本の長期評価を取り入れて対策することは平成20年2月の御前会議で方向性が合意され,3月の常務会で決定された(山下調書は信用できる)
   1 会社幹部の取調供述は会社の強力なコントロールにあったはずであり,その ような状況で明確に経過を認めた山下氏の供述には高い信用性を認めるべきである
   2 山下調書は客観的な証拠と符合し,信用性が高い
   3 平成20年2月1日,1F現地 耐震バックチェック説明会
   4 1F2Fの幹部に対する説明について,武藤副本部長に対して事前に説明さ れている
   5 武藤被告人は,4m盤上でポンプ建屋を囲う対策を示唆していた
   6 平成20年2月16日御前会議で津波対策は議論された
   7 2月16日の御前会議で合意されたこと
   8 御前会議の決定を受けた対策の具体化
   9 今村氏の示唆
  10 武黒被告人から,福島バックチェックについて,常務会に上げるよう指示
  11 2.16御前会議で津波対策が議論されたことを示す数々の傍証
  12 3月11日常務会での合意
  13 3月18日東電設計から計算結果が納入される
  14 3月20日の御前会議について
  15 3月20日に津波対策が話し合われたことの動かぬ証拠の酒井メールと酒井証言
  16 御前会議の議事メモからは,津波のことは除かれるのが原則化していた
  17 QAの充実化
  18 29日の御前会議は議事メモ自体が残されていない.
  19 福島県に対するバックチェック中間報告の説明

第8 2008年3月の津波計算結果は社会的に公表すべきであった
   1 10m盤を超える津波についての検討の開始10m盤に防潮壁を設置した計算の納入  
   2 10mの防潮壁は東電設計の津波対策案の提案である
   3 津波高さの低減と対策の検討.
   4 役員は15.7mの津波高さの報告をいつ受けたのか
   5 6月10日の武藤第一次会議は,津波対策を決めるための場であった
   6 6月10日の経緯についての山下調書の内容
   7 6月10日についての酒井の証言
   8 津波高さ計算結果を公表していれば,津波対策を早期に講ずることとなった はずである

第9 津波対策先送りは武藤の単独判断ではありえない
   1 7月21日の御前会議
   2 7月23日の太平洋岸4社連絡会
   3 7月31日の会議の準備経過
   4 7月31日の経過についての高尾氏の証言
   5 7月31日の経過についての金戸氏の証言
   6 7月31日の経過についての酒井氏の証言
   7 山下調書の説明する方針転換の過程
   8 山下調書と高尾,金戸,酒井証言の相違点
   9 あまりにも手回しが良すぎる酒井7.31メール
  10 7月31日以外の多様な話し合いの場の可能性を示唆する吉田調書
  11 津波対策先送り後の方針の無理を自白している四社情報連絡会会議録
  12 新方針が住民・国民の納得を得られないものであることを悩む高尾氏,こ れをなだめる酒井氏
  13 酒井氏は高尾氏が公益通報することを恐れて情報をコントロールしていた
  14 東電の隠蔽体質は極めて根深いものがあることを前提に証拠を読むべきだ

第10 2008年8月に震源を延宝房総沖にしても津波高が13.6mと分かっ た段階で直ちに津波対策に取り掛かるべきであった(津波対策を先送りにすること は許されなかった)
   1 8月 延宝房総沖波源の計算
   2 土木学会への検討依頼は時間稼ぎだったかもしれない
   3 延宝房総沖で計算しても13.6メートル
   4 13.6mまでしか津波高さを低減できないことは直ちに被告人らを含む幹 部の間で共有されたはず
   5 9月2日の常務会と7日の御前会議について
   6 9月10日福島現地での耐震バックチェック説明
   7 9月30日の常務会
   8 阿部先生と高橋先生の異論
   9 貞観の津波についてもバックチェックに取り入れないこととする
  10 バックチェックの延期は津波対策の完了ができていないことを隠すための 方策であった
  11 平成21年2月11日御前会議における議論について
  12 武藤被告人が津波を心配していたとする平成21年3月9日酒井メール 
  13 吉田部長らによる武黒被告人への説明
  14 平成21年6月24日の酒井氏から武藤,武黒に対するメール
  15 株主総会手持ち資料に敷地レベルを超える津波の危険性が明記されていた
  16 バックチェック審査で貞観の津波が取り上げられる
  17 平成21年9月6日御前会議
  18 貞観の津波に関する保安院対応と平成21年9月24日 酒井メール
  19 津波対策ができていない事実の露見をひた隠しにしていた東電と被告人達

第11 東海第二原発の経緯は福島でも対策が可能であり事故の結果が防げたことを裏付けている
   1 津波対策の検討
   2 東電の方針変更には納得していない
   3 多重の津波対策工事の完了
   4 工事期間はごく短期間
   5 対外的対応と社内での対応が異なる
   6 小括

第12 本件原発が30m盤を20m掘り下げたところにあり津波に特に脆弱な敷地となっているこ

第13 敷地前面に防潮堤はつくることができたし,大震災までに完成できた
   1 防潮堤はどこに作ることとなったか
   2 防潮堤は実際に作ることができたか
   3 防潮堤建設は地震と津波に間に合ったのか?4年は沖合防波堤工事の場合
   4 防潮堤建設は地震と津波に間に合ったのか?東海第二は約一年で工事完了

第14 機器の対策は当時の他の原発を見てもあり得たし,現実に実行可能であっ た .
   1 防潮堤以外の対策でも本件事故は回避できた
   2 溢水勉強会での国のお膳立て
   3 防潮堤以外の対策は実際に考えられていた
   4 日本原電は長期評価に基づく津波対策を進めていた
   5 なかなか進まなかった福島地点津波対策ワーキング

第15 津波計算結果を公表すれば地域住民や福島県は原発の停止を求めたはずで原発を停止することは架空のものではなく,このような事態を「停止リスク」として危惧していた証拠はたくさん残っている
   1 津波対策を行わないことが原子炉停止につながるリスクがあることは何度も 話し合われていた
   2 安全上の理由で原発を止めることは普通のことである
   3 上津原証人も津波対策ができていないことが明らかになれば,原子炉を停止 させていたはずと供述している
   4 定期検査後の再稼働は自治体同意が原則であった
   5 平成23年2-3月にも,原子炉を停止する機会はあった

第16 被害者の心情と意見
   1 危険を認識しながら対策を講じなかった被告人達
   2 各被告人毎の責任を基礎付ける事実
   3 御前会議の議事メモには情報隠蔽の疑いがある
   4 裁判所は被害者と遺族の無念の思いに応えて欲しい

 いよいよ、来年3月12・13日には、被告人の弁護人による最終弁論を経て結審となります。
 最終局面を迎えた東電刑事裁判。わたしたちは、東京地裁が厳正な判決を行うことを求めて、最後まで気をぬくことなく活動を進めます。3月の結審に向けて、厳正な判決を求める署名活動を行なっています。ぜひ、ご協力をお願い致します。
https://shien-dan.org/wp-content/uploads/syomei-A4.pdf

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# by kazu1206k | 2018-12-29 23:36 | 脱原発 | Comments(0)

禁錮5年の求刑、情報収集義務怠った責任極めて重い

 12月26日、とうとう、東電福島原発事故で強制起訴された元東電幹部3被告に、業務上過失致死傷罪の法定刑として最大の禁錮5年が求刑されました。
 2011年3月11日の事故以来7年9ヶ月、福島県民そして全国から1万4千余の人々が告訴して、2度の不起訴、市民による検査審査会の強制起訴と、粘り強く、あきらめず事故の真相と責任を追及してきた結果です。
 26日の第35回公判では、検察官役の指定弁護士による最終意見である論告が、午前10時から午後5時過ぎまで行われました。
 論告の冒頭、石田省三郎指定弁護士は、はじめにとして、被告人質問での3被告の謝罪について「とても虚しい気持ちで眺めていたのは、我々だけではないと思います」と切り出し、「自らの事故の責任を否定し、他者にその責任を転嫁しようとする供述ばかりで」、「原子力発電所の運転・安全保全業務をその重要な責務とする原子力事業者の最高経営層に属するものの態度としては、到底考えられないもの」と強く批判しました。
 そして、原子力発電所は、「極めて重大な潜在的危険性を内包し、一度事故が起きれば取り返しのつかない結果を引き起こし、永遠に故郷を奪い、多くの人々を生命の危険に曝し、おびただしい損害を与える」ことから、「万が一にも、このような重大事故を引き起こすことがあってはならない」とし、「被告人らに『できないことをやるべきだった』と言っているのではなく『できることがあったのに、それをしなかった』」「被告人らには、当然でき、なすべきことであったのに、何もしなかったのではないか、何もしないで、漫然と福島第一原子力発電所の運転を継続することにより、本件事故を引き起こし、多くの人々を死に至らしめ、負傷させ、そして、これに関係する人々にも塗炭の苦しみを強いることになったのではないか」と指摘しました。
 検察審査会の皆さんの判断について、「極めて常識的で正鵠を得たもの」、「当初の不起訴の判断は全くの誤りであった」と評価。
 「東京電力から押収された多くの資料、会議録、メールなどを時系列的におっていくと、被告人らが、巨大津波の襲来を予見できる様々な機会を持ちながら、これをないがしろにし、もっともらしい理由をつけて、防護措置をとることを引き伸ばし、怠っていたことが、浮かび上がってきました」としました。
 そして、被告人らの過失責任を問うための一つのキーワードが、「情報収集義務」としました。
 それは、原子力発電所に存在する潜在的、抽象的危険性に関する危惧ではなく、「一定の重要かつ具体的な情報に接し、あるいは接する機会があったことを契機として、東京電力の最高経営層に課せられる具体的義務があり、これを怠ったとして、その刑事責任の存在を指摘」したものです。その「具体的情報の典型が、『O.P.+15.707m』という情報であり、『中越沖地震対応打ち合わせ』つまり『御前会議』の席上に提供された様々な客観的情報」であるとしました。その上で、「これらの情報を契機として、被告人らが他者に物事を委ねることなく、自らその権限と責任において、積極的に情報を取得し、これらの情報に基づいて的確かつ具体的な対策を提起し、これを実行に移してさえいれば、本件のような世界に例をみない悲惨な重大事故を防ぐことができたのです」と結論づけました。
 論告では、この情報収集義務」の契機となる具体的な諸事情に焦点を当て、法廷での取り調べた証拠によって、被告人らの刑事上の過失責任が証明されたことが、以下の点で詳細に論証されたのです。
 第1 本件事故の経過と原因
 第2 被害の状況
第3 被告人らの立場と「情報収集義務」契機となる事実
第4 地震対策センター土木調査グループの活動
第5 長期評価の信頼性
第6 結果回避義務の内容と結果回避の可能性
第7 被告人らの「情報収集義務の懈怠と過失責任
第8 情状
 最後の情状で、被告人ら3人の犯情について、結果の大きさ、被告人の地位・立場・権限の大きさ、注意義務懈怠の大きさの3つの要素がいずれも極めて大きく、業務上過失致死傷罪の中でも、極めて重いとしました。
 その上で、過去の裁判例も3つの要素がいずれも大きなものは厳しい量刑がされているとして、45名死亡22名負傷の川治プリンスホテル事件が禁固2年6月の実刑、32名死亡24名負傷のホテル・ニュージャパン事件が禁固3年の実刑だったことを挙げ、被告人らは「やるべきことはやってきた、だから全く責任を負うものではないといって、なんらの反省の態度も示していません」「被告人らに有利に斟酌する事情は何ひとつないのです」「また、被告人ら3名の責任の大きさに差をつける事情もありません」として、業務上過失致死傷罪の禁固刑としては法定刑の上限となる5年を求めたのでした。

 27日は、被害者遺族の代理人として、福島原発告訴団以来、頑張ってきた海渡雄一弁護士、甫守一樹弁護士、大河陽子弁護士が意見陳述し、来年3月12・13日の最終弁論を経て結審です。
 わたしたちは、東京地裁が厳正な判決を行うことを求めて、署名活動を行なっています。ぜひ、ご協力をお願い致します。
https://shien-dan.org/wp-content/uploads/syomei-A4.pdf

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# by kazu1206k | 2018-12-28 23:38 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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