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緊急消防援助隊の合同訓練

 11月18日午前、17日から実施されている「平成30年度緊急消防援助隊北海道東北ブロック合同訓練」を参観しました。
 この訓練は、大規模災害時における緊急消防援助隊の技術及び連携活動能力の向上を目的に、総務省消防庁が主催して、平成8年度から全国を6ブロックに分けて毎年実施しています。
 被災地の要請で都道府県域を越えて、空や陸から駆け付ける消防の応援部隊が「緊急消防援助隊」であり、いわき市でも21隊84名が登録されています。
 今年度は、いわき市の開催となり、東北6県に北海道、新潟県を含めた1道7県の緊急消防援助隊のみなさんが集結。本市の消防訓練としても、過去最大規模となりました。東日本大震災以降、津波被災地での実動訓練は初めてです。
 訓練は、21世紀の森公園をメイン会場に、小名浜港2号埠頭、マリンブリッジ、小名浜石油などで、津波災害救助救出訓練や多重衝突事故救助救出訓練、石油コンビナート火災対応訓練、高所救助救出訓練などが本番さながらに実施され、隊員の真剣な訓練を見学させて頂きました。また、21世紀の森公園には、救助犬や資機材の広報ブースなども設けられ、地域の女性の会のみなさんを中心とした赤十字奉仕団によるカレーや豚汁などの炊き出しも行われました。
 参加したみなさま、それぞれのポジションで2日間ご苦労様でした。

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# by kazu1206k | 2018-11-18 22:36 | 防災 | Comments(0)

南白土墓園の納骨堂型合葬墓地

 11月17日午前、いわき市南白土墓園にできた納骨堂型合葬墓地の披露式に出席しました。
 いわき市には、東田墓苑と南白土墓苑の二つの市営墓園がありますが、空き区画もなくなり、墓地の増設用地も残されていないことから、一つに共同で埋葬する合葬墓地を整備しています。納骨堂型と樹木葬型の2種類あり、南白土墓苑の納骨堂型の完成に伴い、披露されたものです。
 式では、南白土青年会のじゃんがら念仏踊りも披露されました。18日から20日の10時から15時まで、市民のみなさん向けの内部見学会も実施しております。

詳しくは、下記リンクの市営墓園(南白土・東田)の使用者募集について
 南白土墓園納骨堂型合葬墓地を、ご覧ください。
 http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1467254574823/index.html


●南白土墓園

所在地いわき市平南白土字赤坂地内
電話番号0246-21-5005
開設年昭和53年
総面積18.3ヘクタール
区画墓地
  規格墳墓 6.0平方メートル(2.0×3.0) 2,940基
  自由墳墓 12.0平方メートル(3.0×4.0) 445基
合葬墓地
               納骨堂型合葬墓地 5,000体(うち納骨堂1,500体)
               樹木葬型合葬墓地 2,500体

使用料
               規格墳墓 23万円
               自由墳墓 61万円
               納骨堂型合葬墓地 
                納骨堂を利用する場合  1体につき9万円
                納骨堂を利用しない場合 1体につき4万5千円
               樹木葬型合葬墓地    1体につき12万円

管理料規格墳墓 年額 2,590円
   自由墳墓 年額 5,180円

申請窓口市民協働部 市民生活課 市民生活係(本庁1階)
電話番号:0246-22-7446

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# by kazu1206k | 2018-11-17 22:53 | 文化 | Comments(0)

原発事故被害者に安心して健康に生きる権利を!院内集会開く

 11月13日午後、院内集会「原発事故被害の可視化に取り組もう!」が開かれました。集会は、原発事故被害者の救済を求める全国運動の主催で、「原発事故被害者に安心して健康に生きる権利と知る権利の保障を-原発事故被害者の救済を求める全国運動第四期請願署名-」のキックオフが目的で、来年3月末を期限に署名を集約して、4月には通常国会に請願する予定です。
 2013年8月より始まった全国運動は、被害当事者・支援団体はじめ生活協同組合、貧困・平和・人権など多様なセクターの運動と連携、2013年8月26日に第1期の署名をキックオフして以来、原発事故子ども・被災者支援法の幅広い適用と具体的な施策の実施を求めて、請願署名や政府交渉、全国集会、各地での周知活動を行ってきました。署名は三度に渡り合計約50万筆以上集まり、国会に提出してきました。
 集会は、佐藤和良共同代表の開会あいさつ、福島瑞穂参議院議員、岩渕友参議院議員のあいさつ に続いて、「避難者の実態把握と支援」と題して、避難の共同センターの瀬戸大作さんが、「相談拠点から相談の限界、経済支援、生活支援を求める報告が福島県に上がっている」「母子世帯、単身世帯の避難者が行き場をなくしている」「生活保護の適用の困難さー車、避難元の資産」「住宅を追い出されて、ホームレスになった避難者の保護」など、住宅無償提供の打ち切り等の公的支援終了したあと、避難継続をしている人たちの中に孤独や孤立に悩み、経済的に困窮している人たちの実情を報告し、支援の必要性を訴えました。
 また、「甲状腺検診の現状と支援」と題して、関東子ども健康調査支援基金の佐藤登志子さんは、「基金として、各地の検診団体を支援する。受診者、これまで9210人」となったことや「自治体への要望で、自治体主導の検診」の実現もしていること。パルシステム神奈川ゆめコープからは「検診者933名、延べ1280名。医師または技師の2名体制で説明」していること、「運営は、受付から検査技師まで組合員のボランティアで」実施していること。生活クラブ栃木の渡部加奈子さんは、「放射能汚染は終わったことでも、なかったことでもありません」ときっぱり。北海道から兵庫県までの21地域の生活クラブ生協で60ヶ所の医療機関で実施」していること。大熊町かた新潟県に避難中の大賀あや子さんは、「汚染状況重点調査地域における甲状腺検査」と「費用助成、一般会計と震災復興特別交付税」の実情を報告しました。
 さらに、モニタリングポストの継続配置を求める市民の会の人見やよいさんは、「福島から〜モニタリングポストの継続配置を求める声」として、原子力規制委員会の避難指示区域外のモニタリング・ポスト2400台を2020年度末までに撤去する方針に反撃する活動を紹介、「撤去反対自治体が多数。国会でもちゃんと議論してほしい」と訴えました。
 FoE Japanの満田夏花さんは、「どうなる?ALPS汚染水の放出、除染土の拡散」と題して、経済産業省、原子力規制委員会による、福島第一原発敷地内タンクにためられている、1,000兆ベクレルのトリチウム及び複数の核種を含むALPS汚染水を海洋放出しようとして現状、環境省の除染土を、全国の公共事業や農地造成などに使う方針に対し、「タンク汚染水の85%が基準値超えの放射性物質。規制委員会委員長前のめり」「資源エネルギー庁は諦めていない」「除染土の再利用問題、二本松市の農道での実証実験への反対」と、現状と今後の闘いについて報告しました。
 報告と質疑に続いて、郡山市から静岡に避難している長谷川克己さんが、署名の呼びかけを行い、原発事故への大人としての責任、今の生活、家族への責任、自分がいなくなった後の子どもたちや世の中への未来への責任として、決して諦めてはいけない、と呼びかけました。

 第四期請願署名の請願項目は以下の内容です。
1.原発事故避難者の実態把握に基づく支援の実施を求めます。
2.健診の福島県外への拡大、内容の充実、医療費の減免、子どもたちの保養のための措置を求めます
3.モニタリング・ポストの継続設置を求めます。
4.ALPS汚染水の放出・汚染土の再利用による放射性物質の拡散をしないでください。

 
「原発事故被害者の救済を求める全国運動」第4期請願署名にご協力を!
締め切り: 2019年3月31日

原発事故被害者に安心して健康に生きる権利と知る権利の保障を

署名用紙のダウンロード(PDF)はこちら 
http://act48.org/wp-content/uploads/2018/11/716d437ee947176f9bb9e6c982091dda.pdf

注意事項:請願署名ですので、都道府県から番地までしっかりご記入ください。
〃は無効です。

——-署名の解説のリーフレットは作成中ですので、少々お待ちください。

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# by kazu1206k | 2018-11-16 23:47 | 脱原発 | Comments(0)

「母は東電に殺された」法廷に遺族の叫び

 福島原発事故で強制起訴された東京電力3被告の刑事裁判は、11月14日に第34回公判が東京地裁で開かれ、被害者遺族の意見陳述が行われました。
 福島第一原子力発電所から南西約4.5キロメートルに位置する医療法人博文会双葉病院と南西4キロメートルに位置する医療法人博文会介護老人保健施設ドーヴィル双葉の患者や入所者が2度の爆発によって避難を余儀なくされ、その避難の過程ないし搬送先で、次々と44人の尊い命が奪われました。
 この日の公判では、被害者遺族5人のうち、2人が直接意見陳述を行い、3人の意見陳述書が被害者代理人や指定弁護士から読み上げられました。
 最初に、ドーヴィル双葉に入所していた両親を亡くした女性が「私が経験した東日本大震災と事故後の生活」を話しますとして、事故後7年の時が経つが、避難中で何も変わらないこと。避難は放射能汚染のためで、当時原発から3キロの大熊町熊川地区に居住しており、「事故がなければ、あの地を離れることも両親がなくなることもなかった」と述べ、「死に目に会えず、通夜も葬儀も出せなかった」と辛い胸の内を語りました。
 そして、「東京電力を許すことはできません。対策をとっていれば、女川や東海のように事故を防げたと思うと悔しい」「今、自宅の周りは中間貯蔵施設となり、土地を手放しました。原発事故で町から追い出されるとは思いませんでした」「わかっていて爆発したのは未必の故意です。私は死んでも許すことはできません」と述べました。
 次に、ドーヴィル双葉に入所していた祖父母を亡くした男性は、「祖父母が死亡したこと。その悲しみ、後悔は時間が経っても消せません。原発事故は、想定外では済まされません。祖父母は放射能さえなければ死なずにすみました。祖父母の死の責任はあります。そのために裁判に参加してきました」とのべ、「そもそも対策を取る気があったのか。責任を取ってもらえないと教訓にならない」と処罰を求めました。
 被害者参加代理人が読み上げた意見陳述書では、双葉病院に入院していた父親が寝返りも打てず、2時間ごとに体位交換を受けていた中で、避難を強いられ、搬送中にカテーテルを抜かれて10時間も水分も栄養補給もできなかったという悲惨な状況や原発を不安視していた父親の言葉が紹介され、事故発生からご遺体に対面するまで「地獄のような毎日」で「生きた心地がしなかった」ことが説明されました。
 さらに、指定弁護士は、双葉病院から避難した兄を亡くしたご遺族と双葉病院で母を亡くしたご遺族のお二人の意見陳述書を読み上げました。
 お兄さんを亡くしたご遺族は、1980年代に福島原発で働いた経験を踏まえて、「旧経営陣が他人事のようだった。原発の構造や危険性を理解せずに経営に当たっていたことに驚いた」とし、「慢心があった。公共性高い企業は、利潤追求より安全管理を願う」と述べました。
 また、双葉病院で母を亡くしたご遺族は、発災当日、双葉病院に迎えに行くも道路陥没で途中引き返し、翌日避難指示が出された、痛恨の思いを語り、4月8日に浪江警察署から連絡があり川俣警察署に搬送されたこと。対面した時「骨と皮でミイラのようだった。被告人はこの時の気持ちがわかりますか。被告人は聞いてください。」「『部下に任せているから自分の責任ではない』としか思えません」と訴え、経営破綻の企業の社長が「私らが悪い。社員は悪くない」と会見したことに触れながら、「素直に全責任は我々上層部にあると、なぜこのくらいのことが言えないのか」「母が死んだのは急性心不全ですが、東電に殺されたと思っています」と厳しく非難しました。
 勝俣被告は表情一つ変えず、書面を見ていました。
 裁判は、これで全ての証拠調べを終了しました。11月16日予定の期日は取り消されました。次回は、12月26日27日、検察側指定弁護士による論告求刑となります。さらに、来年3月12日13日が最終弁論の予定で、結審を迎えます。
 無念の死を迎えた被害者遺族の証言を踏まえ、厳正な判決を求める署名を拡大して各地での報告会を広げ、厳正な判決を求める世論を盛り上げていきましょう。
 署名要旨は以下からダウンロードお願いいたします。
https://shien-dan.org/wp-content/uploads/syomei-A4.pdf
# by kazu1206k | 2018-11-14 23:15 | 脱原発 | Comments(0)

入管法等の改正法案で意見書、日弁連

 日本弁護士連合会は、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する意見書」を11月13日付けで法務大臣及び衆参両院議長宛てに提出しました。以下に、紹介します。

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する意見書
                                                 2018年(平成30年)11月13日 日本弁護士連合会

 政府は,本年6月15日,「経済財政運営と改革の基本方針2018」(以下「骨太の方針」という。)を閣議決定し,深刻な人手不足を背景に,「真に必要な分野に着目し,・・・外国人材の受入れを拡大するため,新たな在留資格を創設する」ほか, 「外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組む」こととした。これを受けて,11月2日,新たな在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」を創設すること,新たに「出入国在留管理庁」を創設すること等を内容とする 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)が閣議決定され,第197回国会に上程された。
 改正法案は,外国人労働者の受入れが目的であることを正面から認め,制度構築を行っているものであり,その方向性は正しいと考える。しかし,改正法案については以下の問題点があるので,当連合会は,次のとおり意見を述べる。

 第1 技能実習制度との関係
 技能実習制度は,名目上は日本の技術を国際的に移転させる国際貢献のための制度であるとされているものの,実態は非熟練労働者の受入れのための制度とな っており,技能実習という目的のために,原則として職場移転の自由が認められず,不当な処遇や権利侵害を受けた労働者であっても帰国を避けるためにはこれ を受忍するほかないという構造的問題を抱えている。このような技能実習制度は直ちに廃止した上で,非熟練労働者の受入れを前提とした在留資格を創設し,外国人を受け入れることについて,その是非,その範囲などを,外国人の人権にも配慮した上で,国会などの場で十分に検討するべきである。改正法案は,非熟練労働者を含む外国人労働者の新たな受入れ制度を創設するものであり,なおさら 技能実習制度は直ちに廃止されるべきである(その際,既に現実に在留している技能実習生が不利益を被らないような措置を採るべきである。)。いわんや新たな在留資格の対象職種に合わせて,技能実習制度の対象職種を拡大するような運用はすべきでない。

 第2 職場移転の自由の保障
 前述のとおり技能実習制度では,原則として職場移転の自由が認められていない。
この点,改正法案では,入国・在留を認めた分野の中での転職を認めることとされており,一定の評価に値する。ただし,職場移転の自由を実質的に確保し, 保障するためには,ハローワーク等が特定技能所属機関(以下「受入れ機関」と いう。)としての条件を満たす同一分野の事業者のリストを公開し,転職相談を受けるなど,公的機関による転職支援を行うことが重要である。このことは,国内における悪質な紹介業者を排除するためにも必要である。

 第3 送出し国におけるブローカーの排除
 技能実習制度では,技能実習生がブローカーに多額の渡航前費用や保証金,違約金等を支払わされることなどが横行していた。外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下「技能実習法」という。)により一定の対応がなされたが,いまだ後を絶たない。このような問題を起こさないためにも,外国人労働者の募集と送出しを日本の出先機関(例えば,新たな独立行政法人等)又は送出し国の公的機関に担わせるべきである。公的機関による斡旋が困難な場合には,日本と送出し国の二国間協定により,高額の手数料や保証金を取ったり違約金を定めたりする民間仲介業者を排除するよう合意するべきであり, 排除が不十分であるときは当該国からの受入れの停止も可能とすることを検討すべきである。

 第4 受け入れた外国人に対する適切な支援
 新たな在留資格制度は,受入れ企業から費用を受領する登録支援機関が,外国人材の適切な支援を行うこととしているが,同機関は登録制であり,一定の欠格事由や一定の体制の不備等の登録拒否事由がない限り登録が可能となっている。 ところで,技能実習制度においては,「技能実習生の保護について重要な役割を 果たすもの」(技能実習法5条2項)とされている監理団体が実習実施機関を監督・指導することとなっている。しかし,監理団体は,実習実施機関から費用を受領して運営されているという構造的な問題もあって適切な監督・指導等を行えず,むしろ監理団体が技能実習生に対する人権侵害を放置する例もあった。この点も技能実習法により一定の対応がなされたが,いまだ後を絶たない。新たな在留資格制度における登録支援機関についても,同様な問題が生じないよう,その担い手は公的機関や適切な人的物的資源を持つNGO等となるような制度として,その厳格な運用を行うべきである。
 支援の内容についても,「一号特定技能外国人支援計画」(改正法案2条の5第6項)において,日本語教育や社会生活上の教育などについて基準を設けるべきである。
 支援の内容は,「職業生活上の支援」を含むものとされるが,職場における処遇に関する相談や紛争処理を,受入れ機関が自ら行うことや,受入れ機関から費用を受領して受託する登録支援機関が行うことは不適切であり,これらの支援は, 多言語による法律相談を,国,自治体等から委託を受けるなどして,弁護士会・ 弁護士が行ったり,労働基準監督署などが行ったりすることが必要である。
 このように,あらゆる支援を受入れ機関や登録支援機関に委ね丸投げするのではなく,国や自治体,NGO,弁護士会,法テラス等が連携して,支援の内容に応じて適切な仕組みを構築するべきである。

 第5 家族の帯同
 自由権規約23条,児童の権利条約9条は家族が共に暮らす権利を保障している。また,ILO条約143号(未批准)13条は,移民労働者の家族の同居の促進を定めている。さらに,ヨーロッパでは,欧州人権条約8条は家族生活の尊重を規定している。アメリカの非熟練労働者受入れ制度(H-2A・H-2Bビザ)は家族の帯同を認めている。これに対して,政府は,技能実習修了者が特定技能 1 号で就労する場合,最長で10年という長期にわたり日本に滞在・就労することになるにもかかわらず,家族の帯同を認めないとしている。このような長期間の家族帯同禁止は,上記の国際条約の趣旨に沿わないものである。家族の帯同を認めないという方針は,家族と共に暮らすという人間の自然な在り方に反するものであり,看過できない。
 よって,特定技能1号の場合でも,少なくとも一定期間以上滞在した者などについては,家族の帯同を認めるべきである。

 第6 在留基準の透明性・客観性
 改正法案では,受入れの基準は,法務大臣がその案を作成して閣議決定した「基本方針」と,法務大臣が,所管する関係行政機関の長,国家公安委員会その他の大臣と共同して制定した「分野別運用方針」によって定められることとなっているが,特定技能1号の「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」,特定技能2号の「熟練した技能を要する業務」の認定などの具体的基準は示されていない。
 このような状況では,行政庁による恣意的な運用がなされるおそれがあるので, 客観性・透明性のある基準を設けるべきである。

 第7 雇用形態
 改正法案に先立って政府が発表した政府基本方針(骨子案)は,雇用形態に関して,原則として直接雇用であることとしながら,分野の特性に応じて派遣形態も可能としている。しかし,派遣労働は低賃金・不安定雇用を固定化するものであり,専門職以外にはこれを認めるべきではない(当連合会の2010年(平成 22年)2月19日付け「労働者派遣法の今国会での抜本的改正を求める意見書」 など)。専門職とはいえない,特定技能の在留資格の労働者についても,派遣形態は認めるべきではない。

 第8 共生のための施策の位置付け
 外国人労働者を正面から受け入れることとなる今こそ,外国にルーツを持つ人々の権利を守り,差別を解消して社会での共生を実現する共生政策は国の責務である。骨太の方針においても,「法務省が総合調整機能を持って・・・関係省庁, 地方自治体等との連携を強化する。・・・外国人の受入れ環境の整備を通じ,・・・ 外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組んでいく」としていた。しかし,改正法案においては,外国にルーツを持つ人々と共生できる社会の 実現という点は触れられていない。法律において共生政策の実施を国の責務とし て明確に位置付け,財政的な手当てをすることが必要である。
 このような国や自治体の体制を整備するためには,共生政策のための基本法(仮称「多文化共生法」)を制定することが喫緊の課題となる。
 また,新たに設置する庁の任務として共生政策の実施,総合調整機能を明記するべきである。

 第9 国際人権基準に適合した出入国在留管理行政の実現
 骨太の方針を受けて本年7月24日に外国人の受入れ・共生に関する関係閣僚会議に提示された「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)」では,「不法滞在者等への対策強化」などの新たな在留管理体制の構築が検討されている。これに対して,出入国に関係する退去強制手続について,人権上の要請に基づく改正は予定されていない。しかし,出入国管理における身体拘束制度は,収容の必要性や相当性に関する要件や期限を設けないものとなっており, 国際的な基準に適合しているとは言えない(当連合会の2014年(平成26年) 9月18日付け「出入国管理における身体拘束制度の改善のための意見書」)。現 に,東日本入国管理センターでは,1年以上の被収容者が7割以上を占め,3年 以上収容されている者も10名以上いる(2018年7月31日現在1)。また, 在留特別許可の基準も,国際人権法上の要請を満たすことを明示していない(当 連合会の2010年(平成22年)11月17日付け「在留特別許可のあり方へ の提言」)。
 本改正案によって新たな在留資格で外国人を受け入れるに当たっては,国際人 権基準に適合した出入国管理行政を実現すべきである。

以上
# by kazu1206k | 2018-11-13 23:48 | 雇用 | Comments(0)

佐藤かずよし


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